ビジネスパーソンの焦りと不安からの「ファスト教養」ブーム
最近レジー『ファスト教養 10分で答えが欲しい人たち』という本を読みました。去年読んだ、稲田豊史『映画を早送りで観る人たち ファスト映画・ネタバレ―コンテンツ消費の現在形』にも通ずる本です。
教養は必要だと思うけど、最近の教養本にもやつきを感じていました。この本では「過去の「教養」という言葉と比較して、今の「教養」が特に色濃く帯びているもの。それは、ビジネスパーソンの「焦り」である」と指摘しています。この本を読んでいると、不安とビジネスの相性の良さに、少し暗くなる部分もあります。不安を煽る(それも声高にではなく、匂わせる感じで…)内容そのものはインプレッションを獲得しやすいので、そういう本がよく出版されてしまうのだなと…。
また、ファスト教養は「無駄でないもの=ビジネスやお金に関係すること」に変えようとするムーブメントでもあるという指摘もされており、ちょっとした得意や好きをお金に変えようという、昨今の副業ブームにも繋がっているのかなと思いました。お金を稼ぐ工夫自体は、時に面白いこともあるとは思うのですが、ファスト教養、副業やリスキリングブームはどちらかというと私は強迫観の印象が強く、現役世代の余裕のなさの表れのように感じています。
本の中にAKBに関する記述もあり、単純なメンバーや秋元康批判になっていない内容で面白かったです。AKBはファンのお金の投入具合によってメンバーの人気が数字として可視化してしまったので、常に不安に苛まれ、自己成長を続けなければならないという自己責任をメンバーに負わすという点で罪深いものだったのではないか、というものでした。そのシステムに10代の頃から参加させるのは、あまりにも酷に思いました。
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