「ファスト教養」ブームから考える資本論
最近は白井聡さんの『今を生きる思想 マルクス 生を呑み込む資本主義』を読みました。その前に、レジー『ファスト教養 10分で答えが欲しい人たち』という本を読んだのですが、昨今の「教養」主義はビジネスパーソンの「焦り」によってもたらされているという内容でした。
ファスト教養は「ビジネスに教養が役に立つ」ということで人気があります。簡単に言ってしまうと、「ビジネスに役に立つ」=「金を稼ぐのに役に立つ」ということになります。でも、現代のビジネスパーソンがお金にしか興味がないから、このような事態を招いているかというと、私としては後期近代における資本主義の弊害、限界に直面しているからではないかと思い、積読になっていた白井聡さんの本を手に取りました。
資本主義社会は、何らかの有用性があるとみとめられるものならば、なんでも商品化される、かと言って資本主義は一部の資本家の問題ではなく、資本家も資本主義に包摂されている。つまりは資本家であるか、労働者であるかということは関係なく、誰しもが資本の価値増殖の運動の一部になってしまっている。
本書では生産力の増大や技術革新や発明は人間の幸福をもたらすものではなく、資本は「無限に終わらない価値増殖運動である」ということを分かりやすく紹介してくれています。昨今のAI技術の目覚ましい進歩も、結局は人間の幸福というよりは「価値増殖運動の一つ」と思うと、なんだか複雑な気分になります。
マルクスの文章はとても分かりづらいので、こちらの本はガイドブック代わりに読めるのでおすすめです!
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