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なぜ「西とこ文化祭」を開催することになったか?

「西とこ文化祭」とは?

2022年9月17日(土)・18日(日)・19日(月・祝)に西所沢駅近辺の話題のスポット5箇所を会場とし、本・アート・音楽、そしてフードやマルシェを楽しめるイベントを開催することになりました。イベント名は「西とこ文化祭」としました。

西とこ文化祭のフライヤー

「西とこ文化祭」の開催のきっかけ

「9月にイベントします!」というと、「なんで、イベントを開催することになったのか?」とよく質問をされます。今日はイベントを目前に控えた中で、改めてイベント企画の経緯や、私個人のイベントに対する思いや狙いを説明できたらと思います。

「西とこ文化祭」のイベント企画のきっかけは、所沢在住7年目のライター・前原さんになります。前原さんも、イベントを企画した思いを記事にまとめているので、ぜひご覧ください。

「西とこ文化祭」の開催のきっかけは、1年前に行ったクラウドファンディング

私は埼玉県所沢市で建築設計事務所「シン設計室」と、私設図書館「シン図書館」を主宰しています。本業は建築設計の方になります。2021年の5月に設計事務所と私設図書館をオープンしました。私は所沢出身所沢育ちでしたが、典型的な「埼玉都民」で、埼玉に住みながらも、生活の大半を東京で過ごす生活を送っていました。

地元の所沢で設計事務所と私設図書館を開こうと思った経緯は、私設図書館を開館するにあたり実施したクラウドファンディングの文章を読んでいただければと思います。

私設図書館「シン図書館」のクラウドファンディングのリターンの中に、「シン図書館」を3日間貸し切りできる「図書館ご利用コース」というものを設けていました。このコースを作った理由としては、私設図書館を作り始めたのは自分一人だけれど、ゆくゆくは街の人の一緒に、コモンのような場所を育てるようなことができればと思っていたからです。

クラウドファンディングのリターンの一つだった「図書館ご利用コース」

実はこのコースを前原さん(正確にいうと前原さんの旦那さん)が選んで支援をしてくださっていました。前原さんからは「できれば知り合いの作家さんを読んでギャラリーとして展示をしたい」と聞いていました。

ただ、なかなかな作家さんの都合がつかず…となり、すでに1年が過ぎた今年の6月頃に前原さんから「クラファンのリターンについて相談したい」と連絡をもらいました。

前原さんが持ってきた企画書が「西とこ文化祭」の始まり

相談の日に、前原さんは「音楽と読書とアートの日」という名前の企画書を持ってきました。私は「お、作家さん見つかったのかな?」と思って、気軽な気持ちでいたので、正直企画書を持ってきたことに驚きました 笑。

前原さんが最初に持ってきた企画書

企画書の内容は、西所沢に面白いスポットが続々とできているから、その魅力を街の人や住んでない人にも知ってもらいたいというものでした。そして具体的な提案として、シン図書館でイラスト展示と同時に、サタデーブックスで読書会を、さらに近くの西乃処珈琲で音楽ライブを開きたいというものでした。

サタデーブックスはシン図書館の隣に入居している古書店です。土曜のみ開店する古書店ですが、店主の大竹さんとお喋りしに常連さんが足繁く通うお店になっています。月一でサタデーブックスとシン図書館共催で読書会を開くのが恒例となっています。

西乃処珈琲は、シン図書館から徒歩1,2分程度のリノベーションした民家の1階にあるカフェになります。店主の伊藤さんが片手鍋で自家焙煎珈琲を出すという面白いコンセプトカフェです。このカフェでは度々アーティストを招いたライブが行われています。

ぜひ、シン図書館でイラスト展示・サタデーブックスで読書会・西乃処珈琲で音楽ライブを同時に開催したいとの相談を受けました。企画書の熱量に驚くとともに、私は単純に「面白そう!」と思い、すぐに「やりましょう!」と返事をしていました。

「西とこ文化祭」に対する私の思い

私の運営するシン図書館も、隣のサタデーブックスも、近所の西乃処珈琲も、所沢に関心がある人にはすでに馴染みつつ場所であると感じつつつも、あまり住んでいる町に関心がない人にとっては存在すら気づかない場所であったり、気づいていても、少し入るのに勇気がいる場所になってしまっているのでは?という体感がありました。

シン図書館とサタデーブックスが入居する吉祥荘の入り口

私の開いている私設図書館はとても小さな空間です。一人で運営をしているので、告知もそこまでできません。でも、そんな中でも来館される人も多く、そういう人は「クラファンの文章見ました!」「取材記事読みました!」という方や、サタデーブックスのついでに寄ってくださる方です。

そういう方は、所沢に関心があったり、地域に関心がある方ばかりです。見つけてくれてありがとう!と、いつも来館者が来るたびに思います。ただ、昔の自分であれば、絶対に来ることがない場所でもあると思う時があります。

私設図書館「シン図書館」

私自身が、地元で開業&開館をするまで所沢に関心が全くない人間だったので、もう少し昔の自分のような人間が「あ、所沢にもいいところあるじゃん」と気づくきっかけになったり、「気になっていたけど、実は入りづらくて…」という方を後押しできるようなイベントにしたいと思いました。

そのために、「各スポットへの入場のハードルを下げるイベント」にしたいと思いました。本目当てでなくとも、気軽に私設図書館に入れるようにギャラリー展示をしたり、読書会だと本を読んだり、事前に申し込む必要があったりするので、随時参加退出okのワークショップに変えたり、3箇所だとイベント感が少ないから、STAR NEST CAFEやSAVE AREAにも声をかけましょう!など、前原さんと一緒に企画をブラッシュアップしていきました。

また同時に、「所沢って案外やるな!」と思わせるイベントにしたいとも思いました。私自身所沢に関心がなかった大きな理由は、所沢を「ダサい」と感じていた点です。所沢にダサさを感じる主たる理由が、独自の文化がないことでした。駅前通りはチェーン店が並び、「巨大資本に頼る感じ、どこにでもある感じ、ダサい」と思っていました。

所沢の駅前通り。チェーン店が多く並ぶ

「買い物をするのは東京で、アートや音楽など文化に触れるのも東京で」という感じではなく、「所沢でもかっこ良いことができるし、文化に触れる機会も作れる」ようにしたい。

「所沢の住人が頑張ってイベントやってみました!」というような、やったこと自体に価値を見出すほっこりイベントにはしたくない、やるならとことんクリエイティブにしたいと思いました。

企画書「音楽と読書とアートの日」から「西とこ文化祭」になるまで

各会場への来場のハードルを下げつつも、クリエイティビティを発揮できるようにと、前原さんが作成した企画書を前原さんと、時にはイベント参加者と一緒ににブラッシュアップしていき、今の「西とこ文化祭」となりました。

テーマは「Re-view」。イベントを通じて所沢の町を見直すきっかけになったり、音楽やアートに触れて普段とは違う視点を意識したりするきっかけになって欲しいという思いを込めて付けました。

また、イベント名は「西とこ文化祭」としました。文化に触れる機会になって欲しい、老若男女気軽に参加できるようなイベントにしたいという思いをこめ、「文化祭」というどなたにも馴染みあるワードをつけることにしました。

「イベントに気軽に参加してほしい」という願いと、でも「とことんクリエイティブに」という一見相反するようなものを同時に達成できるようにしたいという思いがイベント名とテーマに込めました。

デザイナーの酒井希さんが作成してくれたロゴ

そして、そんなイベントを体現できるようにロゴをデザイナーの酒井希さんに作成してもらいました。酒井さんは所沢と都内の2拠点で活動中のフリーランスのデザイナーです。酒井さんにイベント名とテーマに即したデザインを依頼したところ、このロゴを制作してくれました。酒井さんはロゴ制作に関して、このように説明してくれました。

イベント名の「西とこ文化祭」と、イベントテーマである「Re-view」の文字を重ね、「よく見てみると」別の文字がみえてくるデザインを考案しました。

「Re-view」の文字は、所沢の小学生に書いてもらいました。イベントロゴに用いる文字を書くことで、学校の人間関係だけではなく、別の形での大人や地域の人との関わりを実感する機会になれば、との思いからです。

テーマである「Re-view」、「今いる場所でも、よく見てみると新たな発見があるかもしれない」を表現できるようにと考えました。

デザイナー酒井希

イベントイメージを作るロゴから、HPインスタなどの告知もクリエイティブになるようにと準備してきました。

「西とこ文化祭」でシン図書館はアート展示

イベント自体ももちろんクリエイティブなものをという思いで、シン図書館では、テーマである「Re-view」に即したドローイングとインスタレーションを展示します。

Re viewー風景採集

狭山市出身のイラストレーター澤田昂明によるドローイングを展示します。澤田さんには既存作品に加え、「所沢の今後風景になりうるもの」というテーマのもと、新たに新作をお願いしました。

澤田さんの描いた「シン図書館とサタデーブックスが入居する吉祥荘」

風景というものは最初から存在しているわけではなく、人間が風景を発見し、それが他者にも共有され、定着していくことで風景となります。まだ風景にはなっていないけれど、今後風景になるかもしれない景色をスケッチしてもらいました。風景のスケッチを通して、身近な町を見直すきっかけとなるような展示にしたいと思っています。

コノトコロ

さらに、シン図書館とサタデーブックスは、吉祥荘という木造2階建ての古い建物の2階に入居しています。初めて訪問する方は、2階への階段に足を踏み入れることにハードルを感じると思います。

でも、そんな2階への階段が少し違った世界への入り口にもなっているようで、私的には気に入っている場所だったりもしたので、むしろ階段を使ったアートを展示できないかという思いで、所沢市出身のアーティスト代佑介に声をかけました。

代さんが2014年に長野県小諸市で制作した「表層のイメージ」

代さんはインスタレーションの作品を制作しているアーティストです。代さんであれば、階段の空間を活かした作品を制作してくれるに違いないと思い、新作の制作を依頼しました。

「西とこ文化祭」にぜひ遊びに来てください!

他のイベント会場であるサタデーブックス西乃処珈琲STAR NEST CAFESAVE AREAでもいきなりの声かけにも関わらず、素敵なイベントを用意してもらうことができました。

各会場、この場所なら面白いことをしてくれる!と思い、声をかけています。私自身が運営するシン図書館だけでなく、西所沢には色々面白い場所があると知ってほしいと思っていますので、できれば全会場足を運んでいただきたいです。

ここでは他の会場のイベントまでご紹介しきれませんが、各会場ならではのイベントを企画してもらいましたので、詳しい情報は公式HPとインスタグラムをご確認ください。

HP

Instagram

9月の3連休、ぜひ西所沢に遊びに来てほしいです。きっと何か違う新しい「view」を見つけることができると思います。お待ちしております。


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西とこ文化祭2022|イベント
埼玉県所沢市で開催したイベント「西とこ文化祭」の事例・写真です。西所沢駅近辺の話題のスポット5箇所を会場とし、本・アート・音楽、そしてフードやマルシェを楽しめるイベントを企画・運営しました。イベントの様子が分かる写真を掲載しています。


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高橋 真理奈/Marina Takahashi
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