なくてはならぬ人になる
なくてはならぬ
人になる
№156
2022.07.01
「国の宝とは何物ぞ、宝とは道心なり。道心ある人を名づけて国宝と為す。故に古人言わく、径寸十枚、是れ国宝にあらず、一隅を照す、此れ則ち国宝なりと」(伝教大師最澄『山家学生式』)
魏の国王が斉の国王に自慢をしました。
「私の国には夜も照らすような大きな素晴らしい珠が十個もある。」
斉の国王は答えました。
「私の国には、そんな素晴らしい宝物はありません。私の国の宝は、一つひとつの仕事をだれよりも一生懸命やって一隅を照らすような人たちです。そうした人たちこそが、わが国の宝なのです」
それを聞いた魏の国王は、斉の国王の前に手をつき、ひれ伏したということです。
道心(どうしん)とは、仏道を究めようと努め励む心のことですが、ここでは、与えられた仕事を天命として受け止め、その仕事に打ち込める心ととらえています。
自分ができること、すべきことを責任を持って行うことが、自分を輝かせ、周りを明るく照らしていきます。このような人々がそれぞれの場で輝き、それが国中に充満すれば、国は栄え、物心両面にわたって豊かとなる世界が実現していくことでしょう。
「一隅を照らす人」とは、自分の役割を責任をもって行う人。
責任をもって行う人は、人から必要とされる人。
人から必要とされる人は、人から喜ばれる人。
人から喜ばれる人は、なくてはならぬ人となります。
自分の役割を責任を持って全うできる人でありたいと思います。
最後までお読みいただき
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