アジアの味とお薦め書籍
10月から11月にかけて韓国とシンガポールに行ってきました。
毎年トロントとモスクワには行っていますが、それ以外の国に行くのは数年に一度。韓国もシンガポールも初めてなので、久々に慣れない土地へのシステマ旅です。韓国ではシステマコリアのジムでクラス、シンガポールではダニールセミナーへの参加です。韓国クラスを主催してくれたキムさん、システマシンガポール代表のロンを始め、みんな歓迎してくれたのでとても楽しいひとときとなりました。どちらもまず食べ物がうまい。あと街に活気がある。世界より一足早く日の出を迎える「日出ずる国」である日本は、同じくひと足早く夕暮れを迎えつつあるのを感じます。おそらく韓国やシンガポールも今後、似た道を歩むと思うのですが、まだまだ社会全体が若い気がしました。身近にもたまにアジアにハマる人がいますが、なんだかその気持がとてもよく理解できます。なんだか元気がもらえるのですよね。
それにしてもLCC(格安航空会社)は世界の移動を変えました。東京からだと北海道や沖縄に行くよりも、アジアの方が安いんですから。ちょっとした休みにはベトナムやフィリピンなど東南アジアにぷらっと立ち寄って、うまいもの食べて帰ってくる、なんてプチ旅行が今後主流になる気がします。デフレと円安のダブル効果ですっかり物価が安くなった日本に、アジア圏からの旅行客が一挙に押し寄せているのも頷けます。
システマシンガポールはまたダニールを呼んでセミナーをやりそうなので、これに乗っかる形でシステマ東京シンガポール合宿とかやりたいですね。何人かで部屋に泊まれば滞在費も安くなりますから。何よりまたあの屋台村で美味しいものしこたま食べたいです。
月末から春にかけて仙台、札幌、旭川、秋田とめぐり、さらに3月末には郡山と宇都宮クラスも追加できそうです。北関東以北はシステマグループの少ない空白エリアが広いので色々巡って、出会いと食を楽しみたいと思います。
ところでしばしば、お薦め書籍について尋ねられるのでリストにまとめました。
ミカエルの話ではロシアの歴史やフォークロア、正教の聖人などがしばしば引用されるので、それらを調べる上で役立った本です。Twitter(https://twitter.com/systemaTYO)のbotにも追加したので見た方もいるかと思いますが、こちらにもまとめておきます。
【ロシア関連】
〈コサック〉
○コサックのロシア―戦う民族主義の先兵
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…システマとリャブコ家のルーツとされるコサックの歴史が詳しく書かれています。日本語の書籍としては一番わかりやすくまとまっているのではないでしょうか。
〈歴史〉
○図説 ロシアの歴史 (ふくろうの本)
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…ロシアの歴史で外せないのはクリコヴォの戦いと第二次世界大戦です。前者はタタール人支配からの、後者はナチスドイツからの解放を勝ち取った記念すべき戦いとして位置づけられているためです。
クリコヴォの戦いでタタールの猛将チェルベイと一騎打ちしたペレスヴェートの肖像画はモスクワ本部でも観ることができます。また近世ですが「無敗の将軍」アレクサンドル・スヴォーロフの言葉をミカエルが引用したことがありました。スヴォーロフも調べてみるとなかなかおもしろい人物です。
〈ロシア軍〉
○イラストでまなぶ! 軍事大国ロシア
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…ロシアの軍事事情は小泉悠さんの著作が分かりやすいです。
○カラシニコフ 松本 仁一
カラシニコフⅠ https://amzn.to/2QJMyiU
カラシニコフⅡ https://amzn.to/2QLf3wF
…旧ソ連が生み世界各国へ広がった自動小銃カラシニコフ。いろんな意味でソ連らしさが詰まった武器な気がします。読み物としてもおもしろいです。
〈文化・民話〉
○イリヤ・ムウロメツ (講談社文庫) 文庫 – 筒井 康隆 (著)
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挿絵が手塚治虫という豪華版。モスクワ、トロント両本部のロゴに描かれている戦士その人です。
○ロシア英雄叙事詩ブィリーナ 中村喜和
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イリヤ・ムウロメツを始めとするロシアの英雄譚を多数収録。
○ロシア好色昔話大全
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ロシアの下ネタ集(笑) ロシア人のユーモアのツボを知るのにちょっと役立ちます。
〈正教〉
○祈りの心身技法―十四世紀ビザンツのアトス静寂主義 久松英二 (著)
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正教会の一部に伝わる神秘主義「ヘシュカスム」の技法についての数少ない著作の一つ。
○オーソドックスとカトリック―どのように違うのか歴史と多様性を知る 及川信 (著)
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正教会(オーソドックス)とはどのようなものか。日本人が漠然とイメージする「キリスト教観」との対比を通して説明しているのでわかりやすくてお勧めです。
○ギリシャ正教 (講談社学術文庫) 文庫 – 高橋 保行 (著)
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正教について知るならまず読んでおきたい定番の本。著者の高橋氏はニコライ堂の聖職者として多数の著作を残されています。他の著作もぜひ。
○孤高の祈り ギリシャ正教の聖山アトス 中西裕人 (著, 写真)
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日本人カメラマンが聖山アトスの様子を撮った作品。写真集+読み物という体裁でミカエルやヴラディミアも巡礼に通う聖なる山の様子がよく分かります。
◯聖書 旧約続編付
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正教会では後のカトリックやプロテスタントでは外典とされてしまった文書も一部、正典として採用されています。旧約続編付の聖書には、全てではないものの正教会で採用されているテキストが含まれています。
【自然科学】
未知なる広大なものに科学者達がどう向き合ったのか。その態度はシステマと向き合うシステマーと重なるように思います。
○部分と全体―私の生涯の偉大な出会いと対話
W.K. ハイゼンベルク (著), Werner Karl Heisenberg (原著), 山崎 和夫 (翻訳)
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○コペルニクス革命 (講談社学術文庫) トーマス・クーン (著), 常石 敬一 (著)
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【身体・身体論】
このあたりは北川が体のことを調べていく中で知った本。体や運動の構造、体とメンタルの関わりなどについて考えるのに適していると思います。
○アウェアネス介助論―気づくことから始める介助論 【上巻】解剖学・生理学と基礎的理解
澤口 裕二 (著)
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○痛みと身体の心理学 藤見 幸雄
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○バイオエナジェティックス―原理と実践 アレクサンダー ローエン
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他に自律神経の働きや神経回路と動作学習の関連などざっと調べておくと良いと思います。ミカエルが「なんか不思議なこと言ってるなあ」と思う時も、あとで調べてみると「なるほどそうか」と真意が理解できたりします。
【その他】
○シッダールタ ヘッセ
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…「車輪の下」で有名なヘッセの短編。だいぶ前に某ヨガの指導者に教わって読んだ際に影響を受けました。「日常に活かせねば意味がない」というシステマの考え方に共感したのも、それ以前にこの本の影響を受けていたからのような気もします。
こうして書いてみると武術系、軍事系より宗教、文化、医学系が多いですね。現在はキリスト教が入る以前のロシア文化について調べています。988年にキエフ大公ウラジーミル1世が受洗したことでロシアにキリスト教が入りましたが、土着の文化を一部取り込む形で広まりました。なのでスラブ神話にキリスト教以前のロシア人の考え方が垣間見えてきそうな気がします。
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