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国公立大学入試分析⑩ 福島大学

みなさんこんにちは。

先ほどの記事にもあったとおり、ここに国公立大学入試分析を再開します。

問題を解くことで磨かれる感性は教える上でも非常に有効なものです。そこらへんのこともどこかで記事にする予定ですが。

今回は、福島大学です。まずは全体概観から始めましょう。

〇全体概観(2016~2020分析)

 ・時間 :  120分(60~70分位で解く)
 ・分量 :【2018年以前】4,000~4,800字【2019年以降】2,700前後
 ・文章 :     評論、随筆 【2020年】小説
 ・設問 : 記述5~6題/客観1題前後
 ・特筆 : 【2019年】に推論問題が出題

<コメント>
 2018年を境に大きく印象が変わっている。
 2018年までは長い文章を読み込み、そこから答えを考えていくイメージだったが、2019年以降は文章量が減り、その代わり出題方法に工夫を加えているようだ。
 特に、2018年の「推論」問題はその前年の「大学入試共通テスト」の大問二の問五において推論形式の問題が出たこととも関係性はあるのではないか。(2018年以降は国立大学を中心に推論形式の問題の出題が散見される

〇2016年の分析

【出典名】 『松風』 尾崎一雄(随筆)
【文章量】 4,800字
【設問数】    7問

【設問内容】
 問1  換言(内容説明)
 問2  換言(指示語説明)
 問3  換言(内容説明。解釈がやや難しい)
 問4  理由(心情の変化)
 問5  理由(様子の理由。文章の全体像がわからないと難しい。)
 問6  換言(文章が書かれた意図を答える。相当難しいと思うが、割と広く点数がつく気がする。)
 問7  換言(斎藤茂吉の韻文の引用の意図。文章中にある内容を元に説明。結構骨が折れる)
【難易度】★★★★☆(やや難)

〇2017年の分析

【出典名】『美の思索』石井洋二郎
【文章量】 4,700字
【設問数】    7問

【設問内容】
 問1  換言(比喩換言。文脈から理解できるか。)
 問2  換言(抜き出し。見つけやすい。)
 問3  理由(表現意図の説明。設問意図が掴めれば難なく解ける。)
 問4  換言(指示語換言。)
 問5  換言(直前の比喩の解釈が出来るか否か。)
 問6  換言(直前の内容の解釈。)
 問7  選択肢問題(内容一致。)
【難易度】★★★★☆(やや難)

〇2018年の分析

【出典名】『閾の思考』磯前順一
【文章量】 4,100字
【設問数】    6問

【設問内容】
 問1  換言(言葉の意味の解釈)
 問2  換言(直前の内容のまとめ)
 問3  理由(「還元」の意味がわかれば解ける)
 問4  換言(具体例の解釈。戸惑うかな。)
 問5  換言(具体例の解釈。良い問題。)
 問6  要約(文章の軸となる主張のまとめ)
【難易度】★★★☆☆  2016-17に比べると平易

〇2019年の分析

【出典名】『「論理」を分析する』八木沢敬
【文章量】 2,700字
【設問数】    6問

【設問内容】
 問1  換言(言葉の意味の解釈)
 問2  推論(ベン図はヴェン図っていうのね。推論問題。共通テストを意識してる問題。そして、共通テストよりも面白い。)
 問3  理由(具体例を踏まえた解釈。ややまとめにくい?)
 問4  理由(ちゃんと論理を追っていけばわかるが、ちゃんと追えるかは……)
 問5  換言(抜き出し。やや難しいかな。)
 問6  理由(最後はオーソドックス。)
【難易度】★★★★☆(やや難)

〇2020年の分析

【出典名】『私は生きる』平林たい子
【文章量】 2,500字
【設問数】    7問

【設問内容】
 問1  換言(表現意図の換言。)
 問2  心情理解(きっかけを把握すれば問題なし。)
 問3  換言(設問条件を押さえればなんとか書ける、かな。)
 問4  換言(比喩の解釈。それにしてもまあまあ難しい。)
 問5  換言(比喩の解釈。)
 問6  心情理解(きっかけの整理が大事。)
 問7  選択肢問題(内容一致)
【難易度】★★★★☆(小説の問題としてはかなり難しい部類。)

〇さいごに…(次回予告付き)

福島大学の現代文はかなり本格的な問題です。東北地方の大学の国語の問題は良問揃いですが、福島大学も負けず劣らず、良い問題です。文章の種類のバリエーションも豊かなので、旧帝大や一橋、神戸大、広島大あたりを志望している生徒は練習としてもよいかと思います。

次回は東北地方の最終回、東北大学を予定しております。

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武川 晋也
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