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国公立大学入試分析⑪ 東北大学
こんにちは。
再開…を宣言しながらまた間が空いていましたすみません。
激務の余波が業務と身体に及んで8月の前半は授業以外はなんだか腑抜けておりました。
もろもろの雑務も本当に一段落したので本格的に再開できそうです。
前回の福島大学は……あまり反響がない。結構いい問題出す大学なんですよ?笑
でもこれは、連続して投稿しているとそのうちにPV数も増えるものともおもいます。
一応今後は毎日午前8時頃に投稿できるように調整しております。(宣言してしまった…)よろしければご覧ください。
そして、記事内容にマイナーチェンジをかけております。
記事内容についてもご意見あれば何なりとお申し付けください。
さて、今回はようやく東北地方最終回。杜の都、東北大学編です。旧帝大(と一橋と一部の大学)は10年分の分析をしています。
〇全体概観(2011~2020分析)
まずはこちらのデータをご覧ください。
・時間 : 120分(現代文は60~70分位で解く)
・分量
【大問1】(評論)2,000〜3,000字程度
【大問2】(小説)2,000〜4,000字程度
・文章
【大問1】が評論
【大問2】が(主に)小説
・設問
各大問ごとに記述が4~5題。字数指定あり。
<コメント>
評論と小説の二本構成である程度基本的なところから深い内容理解が求められるところまで幅広く聞いてくる。
記述は字数指定が厳しく、必要事項を簡潔にまとめる力が必要。なお、東日本の国公立大学は字数指定がやや厳しい傾向にある。
小説は非常にハイクオリティ。登場人物の心情把握から比喩表現の解釈、主題の把握まで様々に聞いているのが特徴的である。
〇各年度の短評
では、ここからは年度ごとに簡単に評価をしていきたい。このコーナーは東北大学志望者が過去問演習をした際の難易度の参考として使っていただきたい。
◆2011年 全体:やや難
【大問1】難
難易度
【文章】★★★★★
【設問】★★★★
<総評>
文章が非常に抽象的で難しい。設問はやや難しい。(特に問3)
【大問2】やや難
難易度
【文章】★★★
【設問】★★★★
<総評>
文章はまあまあ読みやすい。設問は難しいが、良問。(特に問5)
◆2012年 全体:やや難
【大問1】やや難
難易度
【文章】★★★★
【設問】★★★★
<総評>
前年に比べると読みやすいが難しい。設問はやや難しい。
筆者の論展開を答えさせる問5は面白い。
【大問2】標準
難易度
【文章】★★
【設問】★★★★
<総評>
文章は読みやすい。設問はやや難しいが、良問。(特に問4と5)
象徴を押さえ、主題を考える。中学入試でも使えるかも。
◆2013年 全体:標準
【大問1】標準
難易度
【文章】★★★
【設問】★★★
<総評>
文章は標準的。論理構造の把握がそこまで難しくない。
設問も指摘箇所が明確。平易ではないが難しくもない。
【大問2】標準
難易度
【文章】★★★
【設問】★★
<総評>
文章は時代背景がつかみにくいがそれ以外は標準的。
設問は問2が良問。
◆2014年 全体:やや難
【大問1】やや難
難易度
【文章】★★★
【設問】★★★★
<総評>
文章は標準的。論理展開も明確。
設問はやや難。「表現意図」の把握が難しい。字数も短い。
受験生が一番苦しむものの一つ。(詳細後述)
【大問2】やや難
難易度
【文章】★★★
【設問】★★★★
<総評>
文章は標準的。なお、小説ではない。
設問はやや難。
例年の大問2同様、表現意図を把握しないと厳しい。
◆2015年 全体:やや難
【大問1】標準
難易度
【文章】★★
【設問】★★★
<総評>
文章はやや平易。比喩表現は多いが理解可能。
設問は標準的。問5のまとめ方だけ少し難しい。他は平易。
【大問2】難
難易度
【文章】★★★★
【設問】★★★★★
<総評>
文章はやや難。表現の意図するところがわからないと厳しい。
設問は非常に難しい。問4は字数が短すぎる。
◆2016年 全体:標準
【大問1】標準
難易度
【文章】★★★
【設問】★★★
<総評>
文章は標準。とは言え、多くの受験生は経済の話は苦手の印象。
設問は標準。根拠となる部分が明確なものが多い。
【大問2】やや平易
難易度
【文章】★
【設問】★★★
<総評>
文章は読みやすい。過度に感情移入してしまいそう。
設問は標準。問5の「スライダー」の象徴がわかればOK。
◆2017年 全体:標準
【大問1】標準
難易度
【文章】★★★
【設問】★★★
<総評>
文章は標準。さすが高階秀爾の文章、論理展開は明快。
設問は標準。ただし字数が厳しい。(詳細後述)
【大問2】やや難
難易度
【文章】★★★
【設問】★★★★
<総評>
文章は標準。子供の視点で語られているので読みやすい。
設問はやや難。
子供の視点だからこそ、そこに込められた表現意図を考えるべき。
◆2018年 全体:やや難
【大問1】やや難
難易度
【文章】★★★
【設問】★★★★
<総評>
文章は標準的。設問はやや難しい。
入不二先生自身の解説もご覧ください。
【大問2】やや難
難易度
【文章】★★★★
【設問】★★★★
<総評>
文章は一見すると平易だが、実はやや難しい。
表現されているものの意味の把握がなかなか難しい。
設問も結果としてやや難。比喩の意図の理解が難しい。
◆2019年 全体:標準
【大問1】標準
難易度
【文章】★★
【設問】★★★
<総評>
文章はやや易しめ。
設問は標準的。問5の「岩にしみいる」の解釈だけやや難しい。
【大問2】やや平易
難易度
【文章】★★
【設問】★★
<総評>
文章も設問もやや易しめ。あまり東北大らしさを感じない。
◆2020年 全体:標準
【大問1】標準
難易度
【文章】★★★
【設問】★★
<総評>
文章は標準的。 設問はやや易しめ。高得点勝負。
【大問2】やや難
難易度
【文章】★★★★
【設問】★★★★
<総評>
文章はやや難。捉えどころのない随筆に思えるかも。
設問はやや難。特に問2、問4は解釈が難しいか。
〇過去問から考える東北大学が求める力
①高難度の評論を読み込む力
→文章内容は大学入試の中でも高難度の部類。
その文章を読み、理解できる受験生が欲しいのである。
②筆者が表現に込めた意図を考える力
→設問においては比喩をはじめとする文章表現の理解が求められる。
その表現を通して筆者が伝えたいことを考える力を鍛えよう。
③短い字数指定の中で必要な要素をまとめる力
→受験生にとってはこれが一番厄介かと。
根拠を発見してもまとめきれない、という事態が発生しがちである。
書くべき「コア」となる情報を考えていく力が試される。
〇東北大学の対策に役立つ他大学の過去問
①字数指定のある記述の練習
→ 北海道大学の問題を使いましょう。以下の記事も参照のこと。
問題構成、レベル感も大問1に近い。(やや東北大学の方が難しい)
②高難度の評論の練習
→神戸大学や一橋大学の問題を使いましょう。
(字数指定の幅がやや違うが、レベル感としては良いかと)
③小説問題の練習
→筑波大学・香川大学・広島大学の問題を使いましょう。
〇補足(高校入試とのリンク)
開成、筑駒、慶應女子、灘、東大寺学園あたりを受験する予定のある受験生は是非とも取り組んでほしいのが東北大学の問題です。
私がこのレベルのクラスの授業を担当するときによく使ったのが東北大学の過去問だったりします。
ようやく白河の関を超えました。あすは宇都宮大学の分析をアップいたします。
それでは。
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