神戸大学の現代文【大学入試現代文analyze⑤】2023版
前回の分析
〇マクロ分析【問題構成(の変遷)】
・大問1【評論】
記述の字数は一定。記述の総量は400。
なお、以前は問1-3でも60字や100字の問題も出題された。
〇ミクロ分析【文章/設問の分析】
・大問1【評論】
<文章>
【分析】
・文章量 : 5,000字前後
→ 2021年は短めだが、文章内容は難しい。
文章を通読する場合、8~12分位かかるだろう。
・文章の傾向 : 哲学系が多い
→ そして、なぜだか北海道大学と出典が重なることが多い。2021年と2019年(食べることの哲学)で同一年度に同じ出典から出題されるという偶然が重なっている。
<設問>
【分析】
・漢字 : 標準的(全問正解を目指す)
→ 大学側は漢字の問題でも語彙力、思考力を問うていると言っているが、そこまで難しくはない。
・記述
(問1~3)
→比喩換言(33%)/指示語換言(17%)/定義語換言(33%)(理由説明(16%)という比率。
比喩換言が他大学に比べても良く出題されている印象である。
大学側も「思考力・表現力・判断力を問う」と宣言しているが、これはその謳い文句に違わぬものである。
(問4)
年度により設問の要求は異なるが、「文章全体を踏まえて」という条件は同じ。この条件の捉え方は後述するが非常に重要である。
〇対策法
・想定時間配分
試験時間:100分(経営学部80分/海洋政策学部60分)
想定時間配分
現代文(大問1)60分
古文漢文(大問2・3)40分
→大問3つで100分なので分量はやや多い。
ただ、現代文だけの海洋政策学部の試験時間が60分なので、現代文はそれぐらいかかる想定なのだろう。配点も現代文80点なので、比重は現代文多めでいいのではないだろうか。
・設問分析
①設問難易度のグラデーション
→ 神戸大学は科目別の平均点を出していないが、文系の合格最低点は50%台前半(共テ除く)で合格者平均点は50%台後半である。そこから考えると科目ごとに55%程度得点率が求められる。
そして、共通テストの比率が大きい。出来る限り高得点を目指すべきである。
そして現代文の問題はどれもこれも本格的なものである。旧帝大レベル(を超えている)問題が並ぶ。その際に気を付けることを2点だけ挙げておく。
⑴論のまとまりを意識する
→作題は「論のまとまり」ごとに行われている。よって、論のまとまりを区切っていき、その中で答えを考えるようにすべきである。
⑵傍線部全体の換言を意識する
→換言問題においては比喩や指示語のみに囚われて前後の内容をそのまま書き抜く(に近い)解答は作るべきではない。傍線部全体の構文を意識して、それと同じ内容を言い換えることを意識するといい。
②「文章全体」という指示について(問4)
→ 傍線部/設問指示に従って解答を導き出すのだが、その際に「これまでの設問の解答と根拠が重なる」=「これまでの設問で使った解答を使用する」という可能性が高いことを意識しておくといい。これは北大と同様である。
実際に、2023年の問4は問2を、2022年も問3を用いて解答を作ることが出来る。
以下、北大の分析でも書いた文章である。
そもそも受験生は「解答根拠が重なることはない」という「受験hack」のようなものを勝手に作り上げているのだが、そんなこと誰が決めたのだろうか。
・タテ?ヨコ?
基本的にはタテ(過去問を古い年度まで掘り下げて実施)がおすすめ。
ただし、先述の通り古い問題は80字記述ではない問題も多いので要注意。
ヨコ(他大学)の問題で練習をするならばおすすめは北海道大学の大問1。字数設定は異なるが、最終問題(文章全体)の問題は練習用として十分に利用できる。
以上。次回は早稲田大学社会科学部の分析です。