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国公立大学分析⑨ 山形大学 (2016-2019)

みなさんこんにちは。

前回の国際教養大学はおかげさまでたくさんの方に見ていただけました。このシリーズの最高記録であった『国公立大学分析① 北海道教育大学』を一気に抜き去り、約二日間で3,000PVに迫る勢いです。(これは私の公開記事の総閲覧数の1/4を占める『早慶附属高校の雑感』以来のペース。)

では、今回も始めましょう。今回は山形大学です。

〇まず確認すべき山形大学国語入試の変遷

 今回、分析を進めるにあたって確認したのですが、山形大学の「国語」にまつわる変遷は極めて独特です。

① 医学部入試に国語を課している

② 文系学部(人文社会学部)の国語入試は2019年から(以前は小論文)

 他にも文系学部に数学を課すなど、個人的には「あるべき入試のかたち」をとっていると思いますが、それでも現行の入試の体制としては異色の大学だなあ、と思いました。
※ただし、古文漢文がないのは残念。東北地方の日本海側の国立大学の受験には古文漢文は不要、ということになってしまう。

〇医学部国語の分析

  ◎大問1<評論>
【出典情報】 
 2016 河合雅雄『日本人の生業と動物観』
 2017 池澤夏樹『春を恨んだりはしない』(韻文融合)
 2018 見城武秀『「他者がいる」状況下での電話』
 2019 野矢茂樹『心という難問』

【概要】
 
・ 記述問題は1題。字数は40~130字と幅広い。
 ・ 他は漢字と客観。語彙から文章内容の理解までバランスの良い出題
 ・ ただ、東京都立高校の独自作成レベルの問題。
 ・ 2019年は「推論」系の問題が出題。共通テストを意識している?

◎大問2<小説>
【出典情報】 
 2016 井上靖『風林火山』
 2017 吉本ばなな『TSUGUMI』
 2018 リービ英雄『星条旗の聞こえない部屋』
 2019 青山七重『かけら』

【概要】
 
・ 記述問題はない年もある。2019年から出題。
 ・ 漢字をまた聞くの?そして語句の意味を答えさせる問題もでる。
 ・ 医学部入試で国語を課すならばこれでいいのかもしれない。

〇人文社会学部の小論文と国語

【出典情報と問題内容】
  2016 岡本亮輔『聖地巡礼』<小論文>
 ・ 傍線部換言2題と現代における「聖地巡礼」を論じるもの
 ・ 総記述分量は1,050字

 2017 小沼純一『音楽に自然を聞く』<小論文>
 ・ 傍線部換言2題と「言葉と音楽」についての」自分の意見の表明
 ・ 総記述分量は1,050字

 2018 岡本亮輔『聖地巡礼』<小論文>
 ・ 傍線部換言、理由説明と国際化の中での地域文化を論じるもの
 ・ 総記述分量は1,050字

 2019 貴戸理恵『教育』<国語>
 ・ 大問1と2は医学部と共通。
 ・ 傍線部換言3題
 ・ 総記述分量は375字

〇地域教育文化と理学部地球環境学科の小論文

 ・ ともに資料をもとに推論や自分の意見を述べていく問題が並ぶ。
 ・ 図表が多いので就職試験のSPIのような問題である。
 ・ 処理能力が問われる問題も多い。

〇山形大学に向けた対策めいたもの

 <医学部>
  ・ 旧来のセンター試験レベルの評論、読解の徹底
  ・ 記述は過去問で練習
  ・ 漢字や知識問題で落とさないように日々練習

  <人文社会学部>
  ・ 同上に加えて2016~2018の過去問の問1-2を演習のこと。

  <地域教育文化と理学部>
   ・ 類題が少ないが、他科目の勉強をしっかりすることが大事。
       (過去問演習は遅めでもいいかもしれない)

理系だから国語はいらない、というような浅薄な考えではない、大学側の考え方が非常によくわかる試験科目構成であり、問題の作りだなあと感じました。

次回は少し間が空く可能性がありますが、福島大学を予定しております!それでは。


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武川 晋也
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