早稲田大学文化構想学部の現代文【大学入試現代文analyze⑫】2023版
前回の分析
〇マクロ分析【問題構成など】
・年度別受験者平均点と合格点の想定
2023 50点/75点(67%)
2022 48点/75点(64%)
2021 49点/75点(65%)
2020 42点/75点(56%)
ここ三年間の受験者平均点は早稲田の中でもやや高めの部類である。文化構想学部を併願に組み込む受験生はそもそも国語はある程度出来るということも考えられる。なんにせよ「難しい」(のではないか)という受験生のイメージとは裏腹にそれなりに高得点が求められる試験なのだ。
さて、ここから合格に必要な点数を考える。2023年のデータをもとに算出する。
2023年入試の合格最低点は131点である。
公表されている英語、国語の平均点と社会の平均点を均した数値を足すと115点となる。
両者の差の16点を配点(英語75 国語75 地歴50)で傾斜配分すると、国語で6点の加算が欲しい。つまり、56点(75%)となる。
よって、65~75%、すなわち国語でだいたい50~55点をとることが目標となる。
・大問の分析
<2023年> 大問1 現+文語文 大問2 現 大問3 現+古+漢
<2022年> 大問1 現+文語文 大問2 現 大問3 現+古+漢
<2021年> 大問1 現+文語文 大問2 現 大問3 現+古+漢
<2023年> 大問1 現+文語文 大問2 現 大問3 現+古+漢
出題形式は安定しているが、大問2を除いて厄介と感じるのではないだろうか。今回は分析は大問2を中心に、大問1と大問3は最後の対策法で意識すべきことを述べていくようにしたい。
・設問構成
【分析】
①設問数は2021年以降は7。
②選択肢問題が中心。
③脱文挿入と文整序が隔年?2024年は文整序??知らんけど。
④記述問題なくしちゃったか……文学部同様に。残念。
〇ミクロ分析【文章/設問の分析】
<文章>
【分析】
・文章量 : 少な目
→2023年は外れ値でかなり短い。他の年度は3,000字程度である。
例年通りであれば5-6分程度が通読時間の目安だ。
・文章の傾向:人文学(芸術寄り?)系統
→学部の特性からしても芸術論は多めなのかな。こういう文章が苦手なら……文化構想学部の受験そのものを検討し直した方がいい。
<設問>
【漢字】やや難しいが、できれば全問正解を。
【選択肢問題】
<換言問題> 35%
<理由説明> 43%
<内容一致> だいたい毎年1題
→換言問題はほとんどが比喩換言である。文学部が定義語換言が多めであることとは差別化されているように思われる。本文内容を踏まえて比喩表現を通して何を言いたいかを考えることが求められる。
その意味で、傍線部分析が非常に大切である。
【空欄補充問題】
語句を挿入する問題が多い。文章の場合も短文であることが多い。そして、選択肢の語彙が難しい。ここら辺は単純に語彙力の有無を問うてきている印象。合格ラインも高いので、こういう問題でとり切れるように語彙力を増やしておこう。
〇対策法
・想定時間配分
試験時間:90分
想定時間配分
大問2 25分以内
大問1・3 50分以上
→大問2をいかに手短に終えるかがポイントである。実際は20分ぐらいで終えたい。やはり大問1と3は時間がかかる。
・文語文について
一橋大学の分析でも伝えたのだが、「分かるところを押さえつつ、なんとなく大意を把握しつつ読み進めていく」ことが出来そうならば頑張る、難しそうならば他の問題の正解に全力を尽くす、という方針でいいと思われる。
設問を見る限り、そこまで難しいことは問われていない。過去問を解きながら慣れていくことで本番も何とか突破する……という構え方がよさそうである。
・古文・漢文との融合問題について
大問3は現代文の引用として古文/漢文が来る場合(甲・乙のパターン)と三つの独立した文章(甲・乙・丙のパターン)に分類される。
前者の場合はあくまでも古文漢文は現代文の引用なので、「何を説明するための引用なのか」を意識して読解する。まずは単独文の読解に注力する。その上で、設問において文章を横断して考える必要があると指示されている場合は、文章を横断して考える。そして、設問を見る限り、基本は単独文の読解である。あわてずに処理していこう。
・タテ?ヨコ?
タテ(過去問を古い年度まで掘り下げて実施)は3年分でいいだろう。比喩換言は教育学部の現代文でも比較的多く出題されるので、ヨコ(他大学・他学部の演習)は早稲田大学教育学部がおすすめ。また、文語文は2020年以前の上智大学経済学部の問題が入手できれば練習になるのでぜひとも解いてみるといいだろう。
以上。次回は東北大学の分析です。