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国公立大学分析⑤弘前大学(2016~2019)

こんにちは。

津軽海峡を越えて、青森県に到着しました。

ここまでの軌跡はこんな感じです。

 同じことを繰り返すにしても、少しずつクオリティを上げなくてはならないので、今回もマイナーチェンジを加えております。ご意見等あれば教えてくださいね。


〇2016年 問題分析

①全体分析
   ・出典:『未来の社会学』 若林幹夫
    ⇒同年の早稲田大学商学部、関西学院大学にて同一出典
  ・字数:4,200字 【標準
  ・記述分量 : 270字+α
  ・難易度 : 標準
  ・所要時間 : 35-45分
  <所感>
 ・文章は標準的な難易度。引用の処理がポイントか。
 ・予言と予測の文中での意味を押さえることがポイント。

②設問分析
    問1-2 漢字 : 標準   問3 接続語 : 標準
 
    問4 理由記述(80字)
 ・解答根拠の探索 : ★★☆☆☆
 ・表現の難易度  : ★★★★☆
    ・全体の難易度  : ★★★☆☆

  <所感>
     指示語内容である「その期待」の内容をまとめるのがやや難しい。
     「裏切られる」の内容を忘れずにまとめることが求められる。
   
   問5 語彙(一行記述) やや平易
  「紙幅が割かれる」の意味。文字面からもわかりそう。

   問6 空欄補充 やや平易
   あまり意図を感じない出題。

  問7 理由記述(90字)
  ・解答根拠の探索 : ★★☆☆☆
  ・表現の難易度  : ★★☆☆☆
  ・全体の難易度  : ★★☆☆☆

  <所感>
     根拠の範囲も難しくないし、字数もちょうどまとめやすい。
     という意味ではサービス問題なのかもしれない。やや平易。

 問8 抜き出し 平易
 灯台下暗し?近いとか遠いとか関係ないはずである。

 問9 空欄補充 標準
 並立と迷うかも。

 問10 換言記述(100字) 
  ・解答根拠の探索 : ★★★☆☆
  ・表現の難易度  : ★★★★☆
  ・全体の難易度  : ★★★★☆(3.5ぐらい)
  
<所感>
     かつての「占星術」についてはまとめやすい。
    「歴史的なもの」の意味が取れないと破綻するか。
 上記の内容が分かるとするっと解ける。字数は妥当。

 問11 空欄補充 やや難
 こういう空欄補充に足元をすくわれることもあるのである。

〇2017年 問題分析

①全体分析
   ・出典:『童謡の近代』周東美材
    ⇒2019年学習院女子大学にて同一出典
  ・字数:4,800字 【やや長い】
  ・記述分量 : 200字
  ・難易度 : 標準(2016よりは難しい)
  <所感>
 ・昨年に引き続き引用ありの文章
 ・「子供」のあり方から「近代」の特徴を紐解いていく内容。
 ・「近代」についてのテーマの文章は頻出の模様。

②設問分析
    問1-2 漢字 : 標準   問3 接続語 : 標準
 
    問4 
    ⑴ 抜き出し やや平易
    → 前近代の子供の捉え方。対比で処理できる。
    ⑵ 換言記述(30字)
 ・解答根拠の探索 : ★★☆☆☆
 ・表現の難易度  : ★★★★☆
    ・全体の難易度  : ★★★★☆(3.5ぐらい)

  <所感>
     根拠は複数箇所あるといってもいい。
     しかし、30字でまとめるのは難しい。
     「親にとっての生きがい」という方向性でまとめると減点される。
   
   問5 空欄補充 標準
  茶の間、というか居間を答えさせる問題の意図とは。
  しかし、ここから「雑多な知識」も求められる大学だとわかる。

   問6 選択肢 平易
   傍線部を見たときに、「記述だったら苦しいな」と思ったの。
 案の定選択肢問題に。そして選択肢にすると平易になっちゃう。

  問7 空欄補充 
  並立だから同内容を探す、という作業なのだが、これは…難しい。

 問8 空欄補充 やや平易
 四字熟語の問題。迷うものもない。

 問9 空欄補充 標準
 並立と迷うかも。

 問10 換言記述(70字) 
  ・解答根拠の探索 : ★★★☆☆
  ・表現の難易度  : ★★★★★
  ・全体の難易度  : ★★★★☆
  
<所感>
     「母性愛の神話化」という比喩は文脈で換言可能。
     そこに「背景」となる内容を入れると字数が苦しい。
     70字という字数は絶妙。

 問11 換言記述(70字) 
  ・解答根拠の探索 : ★★★★☆
  ・表現の難易度  : ★★★★☆
  ・全体の難易度  : ★★★★☆
  
<所感>
     指定語句のうち「童心」がまとめづらい。
     並立的にまとめていくことに気づくとよいが…
     なんにせよ、いい問題。字数も的確。

〇2018年 問題分析

①全体分析
   ・出典:『ポピュリズムとは何か』 水島治郎
    ⇒同年の島根大学にて同一出典
  ・字数:4,800字 【やや長い
  ・記述分量 : 190字
  ・難易度 : やや平易
  ・所要時間 : 35分
  <所感>
 

②設問分析
    問1-2 漢字 : 標準   問3 接続語 : 標準
 
    問4 空欄補充 標準
   → ここまで「まさに」を答えさせるのに丁寧な    誘導が要りますか?という問題。たまに意図が分からない問題を出してくるが、文法などの知識も大事ということか?

  問5 換言問題 (40字)
 ・解答根拠の探索 : ★★☆☆☆
 ・表現の難易度  : ★★★★☆
    ・全体の難易度  : ★★★☆☆

  <所感>
   ・根拠は明白
   ・40字にまとめるのがかなり骨折り
   ・比喩換言は良い問題作るなぁ

   問6 選択肢 標準
→根拠の取りにくい問題。選択肢もあまり良い表現と思えない。

  問7 換言記述(70字)
  ・解答根拠の探索 : ★★☆☆☆
  ・表現の難易度  : ★★☆☆☆
  ・全体の難易度  : ★★☆☆☆

  <所感>
・根拠はまあまあ取りやすい。
・記述答案の際の構文が作りやすい。
・そこそこのサービス問題。

  問8 
  ⑴ 抜き出し 平易
→ 当たり前のことを当たり前に出来れば出てくる。問題の聞き方はイマイチだが。

 ⑵ 理由記述(80字)
  ・解答根拠の探索 : ★★☆☆☆
  ・表現の難易度  : ★★★★☆
  ・全体の難易度  : ★★★☆☆

  <所感>
・記述問題のクオリティは非常に高い大学
・端的にまとめられると80字になる
・特に「プラス」の面のまとめ方がポイント

 問9 空欄補充  平易
→ 文脈でわかるかな。

 問10 抜き出し やや平易
→抜き出し範囲が限定されすぎている。

 問11 抜き出し 標準
→論理展開を追えば良い問題。

〇2019年 問題分析

①全体分析
   ・出典:『政治における寛容と不寛容』小林直樹
  ・字数:4,400字 【標準
  ・記述分量 : 200字
  ・難易度 :   やや平易
  ・所要時間 : 35分
  <所感>
  ・前年度と文章の傾向が似ている。
・そして、文の難しさを頭に入れているのか、設問が例年よりも平易

②設問分析
    問1-2 漢字 : 標準   問3 接続語 : 標準
 
   問4 抜き出し  平易
→客観問題が簡単すぎるきらいがある。

   問5 選択肢 標準
→ウとオで迷う。文章からするとウ、かな。

   問6 換言記述(50字) 
  ・解答根拠の探索 : ★★★★☆
  ・表現の難易度  : ★★★★☆
  ・全体の難易度  : ★★★★☆
  
<所感>
・「寛容」の意味の反映がやや難しい。
2016年以降では一番難しい記述問題では?

   問7 空欄補充 標準
→「宋襄の仁」という故事成語を知っているか、というより文脈で意味を捉える問題だと気づくといいのでは。

   問8  空欄補充  やや平易
→ もちろん、空欄補充なので前後の文脈を押さえて……とやるべきなのだが、そんなことしなくても入ると言えば入る。

   問9 換言記述(20字) 
  ・解答根拠の探索 : ★★☆☆☆
  ・表現の難易度  : ★★☆☆☆
  ・全体の難易度  : ★★☆☆☆
  
<所感>
・20字なので身構えたが、平易。
・模範解答(学校発表)を見ているとそんなに捻らなくても点が入りそう。
・毎年恒例のサービス問題。

   問10 換言記述(50字) 
  ・解答根拠の探索 : ★★☆☆☆
  ・表現の難易度  : ★★☆☆☆
  ・全体の難易度  : ★★☆☆☆
  
<所感>
・30+20字記述。
・問9と根拠も近い。
サービス……し過ぎ

 問11 換言記述(80字) 
  ・解答根拠の探索 : ★★★☆☆
  ・表現の難易度  : ★★★★☆
  ・全体の難易度  : ★★★★☆(3.5ぐらい)
   
<所感>
  ・なるほど、問9と10の問題はここへの誘導か
・「政治的不寛容さ」の問題をいきなり問うと正答率がボロボロになる可能性があるが、ここまで誘導するとちゃんと点差がつく、という設計なのかな。
数学のような誘導。嫌いではないが、ちょっと丁寧にレールを引きすぎでは?

〇4年間分析を踏まえた「タテ」の分析

記述分量は減少傾向。(これは多くの国立大学でも同様のイメージ。今後検証します)
テーマは社会科学的なものが多い。2016-2017は近代批判、2018-2019は政治学、2020はパーソンズに関する文章、つまり社会学というか、社会科学のテーマ。
比喩換言は良問が多い
・文法、言語事項についても確認が必要な問題が多い。

以上、地元のエリートを満足させる良問が多い印象でした。

次回は岩手大学を予定しております。

それでは。

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武川 晋也
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