優勝に不可欠な第3のセットアッパーについて
優勝に不可欠な第3のセットアッパーについて
投手は完全分業制と言われる時代になった。
先発投手の評価にQS(6イニング以上自責点3以下)が設けられ、
これが最低基準となって評価されるようになったのだ。
となると、
7回以降の試合の組み立て方、
というのがとても大切になってくる。
そもそも、
『セットアッパー』という表現が、
8回を投げる中継ぎ投手(=クローザーへのつなぎ)に設けられていたのだが、
いまや、7回も8回もその重要性は変わらず、
リリーフエースは必ずと言っていいほどチームに2名は存在するようになった。
2005年に日本シリーズを繰り広げた、
阪神のJFK(ウィリアムス-藤川-久保田)と、
ロッテのYFK(薮田・藤田・小林雅)の勝利の方程式が、
のちのチーム構成に大きな影響を与えたといっても過言では無い。
また、ホールドポイントによる最優秀中継ぎ投手賞が選定されるようになったのも2005年からであり、
リリーフ投手への評価がより明確になったことで、分業が進んだとみられる。
ここで重要になってくるのが、
第3のセットアッパーである。
先発投手がQS達成目前でマウンドを降りざるをえなかった
従来のセットアッパーが打ち込まれた
セットアッパーの休養日
これらのシーンにおいて、
チームの勝利に非常に重要な役割を担う。
そして第3のセットアッパーは、
これらのような緊急事態に備えるべく、
いつどこで投げるか分からない状況の中、準備をしているのだ。
過去に投手王国と言われたチームには、
必ず彼らが存在に、数々の窮地を救っている。
比嘉幹貴 (オリックス #35)
オリックスでは、
ファンからの首脳陣からも絶対的な信頼を置く、
ベテランセットアッパーだ。
今年で40歳となるシーズンだが、
独特な投球フォームから、50km/h以上もの緩急を武器に、
打者の強振をかいくぐる投球が持ち味だ。
圧巻だったのは2014年。
金子・西の先発2枚看板を武器に2位だったが、
中継ぎは佐藤達を軸にフル回転した。
7回 馬原 55試合 33HP 防3.55
8回 佐藤達 67試合 48HP 防1.09
9回 平野佳 62試合 40S 防3.43
この3人を支えていたのが、
スーパーサブ的に控えていた、比嘉だった。
62試合 56回2/3 27HP 防0.79
ワンポイントも含め、
ホールドシチュエーションでなくても、
34試合連続無失点(当時のパ・リーグ記録)、という偉業を成し遂げた。
これに加え、
岸田も55試合15HPと控えていたことから、
リリーフの層の厚さがうかがえる。
比嘉は、
翌年以降も切り札的存在として、
21年にも「右のワンポイント」という珍しい継投を見せる場面もしばしばあった。
ここ2年間で、
52試合登板し5失点しかしていない安定ぶりだ。
今期も年齢を感じさせない、フル回転を期待したい。
ちなみに、
連続試合無失点記録は、
21年の平良が39試合登板連続無失点を達成しており、
藤川がもつセ・リーグ記録(38試合)も更新し、日本記録になっている。
ジェロッド・リガン (阪神タイガース #65)
すこし渋い助っ人を紹介したい。
2003年、
阪神タイガースにシーズン途中に入団した、
ジェロッド・リガンという助っ人だ。
2003年というと、
猛虎打線と称された打線で、リーグ優勝をした年である。
残念ながらホールドの記録はまだないのだが
29試合 35回2/3 3勝0敗 防1.51
と安定感を見せた。
シーズン途中加入で、
初登板が6月27日であり、
かつ来日初年度ということも加味すれば、
120点評価と言っても過言では無い。
2003年の阪神は、
吉野 56試合 防3.27
ウィリアムス 52試合(25S) 防1.54
安藤 51試合 防1.62
金澤 36試合 防2.75
と、ここでも強力リリーフ陣が存在したのだが、
リガンは、イニングまたぎも苦にせず、
第3のセットアッパーとしてリーグ優勝に貢献したのだ。
これらは、
ごく一部の例であるが、
こういった、本来スポットライトが当たりづらい選手を紹介していきたい。
個人的に、
野球の中でもリリーフ投手が最も好きで興味があるので、
その価値をもっと伝えていきたい。
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