減少し続ける測量業者。
測量士の八重樫です。こんにちは。
前回、「測量士と測量士補の違い。」というnoteでは、なるべく測量士を取って欲しいと書いたが、測量業が現在どういった状況なのかを知って頂きたい。
と、言うのも、「測量士と測量士補、どちらかと言えば測量士を取っておいた方がいいよ」とは思うが、現状では測量士を取得したからと言って、測量業に身を置くのはぼちぼちマゾい選択なのだ。
しかし、見ようによっては勝ち筋もないわけではない気がしなくもない。
測量業者登録
測量を業として行うには、国土交通省に測量業者登録をしなくてはならない。
そして、国や都道府県、市区町村に入札参加申請をし、入札によって業務委託を請ける。
昨今ではコンペ方式を推進したいなんて話もなくはない。
つまり、この測量業者登録をしている業者が全ての測量業者なのだ。
(その限りでない事もなくはないけど、基本的には必須。)
登録業者数の推移
国土交通省ではこの測量業者登録をした業者についてのデータ及び統計を公開している。
下の図は、国土交通省が公開している資料(建設関連業 登録業者数調査)を基に作ったグラフだ。
平成30年2月に、平成28年度までの登録業者数が公開されている。
見ての通り、平成15年度14750以降は完全に右肩下がりだ。
平成28年度は11952と、平成4年度の11958とほぼ変わらない数になっている。
業者数は減少し続けているし、今後も減少し続けるだろう。
減少し続ける測量士
平成26年度に国土地理院が「測量士・測量士補に関する実態調査」というアンケートを測量業者に対して行った結果が公開されている。
このアンケートは送付数12201通と、ほぼ全ての業者に送付され、その内5258通43.1%の回答が得られており、統計調査としての精度は高いと言える。
先ず、従業員数について54.7%が10人未満となっている。
当事業所もここに含まれる。
10人未満 2876 54.7%
10人以上30人未満 1425 27.1%
30人以上50人未満 417 7.9%
50人以上100人未満 282 5.4%
100人以上500人未満 184 3.5%
500人以上 44 0.8%
未回答 30 0.6%
また、測量士の年齢構成は以下のようになっている。
70歳以上 1232 3.8%
60~69歳 5963 18.4%
50~59歳 9471 29.2%
40~49歳 9045 27.9%
30~39歳 5787 17.8%
29歳以下 813 2.5%
不明 110 0.3%
50歳以上と、50歳未満を比べると
50歳以上が51.4%
と、半分を上回る。
この調査が行われた平成26年度~29年度までの測量士の合格者数は970人である。
近年、測量士の合格者数は増加傾向にあるが、それを差し引いても10年先には測量士不足は免れない。
まとめ
現状で、測量業者が減少している理由としては、技術者不足や後継者不足による経営者不足という事もあるが、同時に仕事不足でもある。
経営者の高齢化によりデフレが脱却できておらず、入札では下限ギリギリや、下限のない場合は赤字受託なんて事すらある。
システムの問題だ。
しかし、当然ながらシステムに問題がある事への対策がなにも取られていないという事はない。
実施例は多くないが、プロポーザル方式(要はコンペみたいな感じ)のガイドラインが制定され、採用の推奨もされている。(らしい)
測量は社会基盤において重要な業務であり、インフラの敷設や維持管理には必須である為、消滅する事は決して無い。
生き残る事さえ出来れば、もしかしたら…なのである。
最後までお読み頂き有難う御座います。モチベーション維持の燃料にサポートいただけると有り難いです。