第3の考具つくる旅 〜紙とペンの次を作りたい〜
【追記履歴】
2024.01.01 『1.自己紹介』を最新に更新
自分がやりたいことは何かを明確に書いておきたいと思い、
初めてのノートを作成しました。
思考、特に企画を担当する方に、『第3の考具』を提供し、面白い世の中をどんどん作っていくのが自分の仕事です。
これからの時代において、紙とペンの次に、
最高の思考体験を提供するツールには何が求められているのか、これまで考えた思考の型を踏まえて書いてみました。
1.自己紹介
これまでの経験を簡単にご紹介します。
【幼少期〜大学時代】
スターウォーズに憧れて、将来はスターウォーズの世界になるのだと信じ、宇宙工学の道を目指す。
大学入学後は、宇宙活動への参加人口を増やそうと、イベントなどを主催。
その後、起業するも、売上が数百万しか立たず、清算。
●主な活動(宇宙関連のイベント開催の支援が多い)
※前身となる社会人学生コラボから、よりマーケットに認知されるために、就職活動イベントに切り替え、宇宙就活をスタート
※能代宇宙イベント2007の事務局を担当しました。
【コンサルタント時代】
日本能率協会コンサルティング(JMAC)にて、戦略領域のプロジェクトに従事。特に、ビジネスモデルをフック・ロック・チャージのパーツで考えることで、持続的に稼ぎ続けられる「プロフィットデザイン」を中心としたコンサルティングを展開。
大企業の事業開発支援や中堅中小の経営全般の支援を通じて、
経営課題を解決する人工知能(AI)への関心が強くなる。
●主な活動(あんまりメディア露出がない)
ビジネスモデルデザインの設計思想であるプロフィットデザインの普及
台湾におけるプロフィットデザインの支援
戦略プロフェッショナル育成コース 研修講師
【事業開発時代】
コンサル時代に得たノウハウを活かし、経営意思決定の自動化という最終ゴールを実現するために転職。テキスト情報を数値・ビジュアルに転換することで、気づいていない示唆を提供するBIツールの提供とコンサルティングを実施しているVALENEXにて本部長代理兼事業開発責任者を経験。
●主な活動(メディア露出が増え始める)
日経クロステックでの執筆
【VALUENEX株式会社 田中和生氏】AI Meetup#5
After コロナ/With コロナ時代におけるウイルス対策技術をVALUENEXの俯瞰分析とイーパテントの統計分析から解き明かす-田中 和生 氏(VALUENEX株式会社 ソリューション事業本部)
※その他の登壇/執筆
【PMM→CMO時代】
第3の工具を作るために、AstrategyのPMMとしてストックマークに転職。
自然言語処理技術(NLP)、今は生成AIと言った方が多くの方は理解しやすいかも知れませんが、言葉のAIを活用することで、思考支援ツールの社会実装を推進。
生成AI×SaaSでの事業開発(Bizdev)をやりながら、事業サイドとしてのPO(プロダクトオーナー)を経験。
プロダクトの次の価値を検証し続けるために、Bizdev比率高めのCMOとして活動中。
●主な活動(メディア露出だけで振り替えれる)
2.思考、特に企画について
2−1.思考と意思決定の関係
経営意思決定の自動化を目指していたはずなのに、なぜ「思考」という言葉になっているかというと次のチャートを見て頂きたい。
思考した結果に基づいて、意思決定が行われるというのは正しそうではあるが、実際には違う。
思考の最中に細かい意思決定があり、それによって思考の範囲・深さ・視点・切り口が変わってくる。つまり、思考と意思決定は連続的なプロセスであり、完璧な思考が終わった後に意思決定がされるのではなく、思考と意思決定を繰り返しながら最終的な得たい意思決定、現実世界での行動に繋がる。そこまでいかないと単なる妄想であり、現実世界における「企て」にならない。
2−2.思考(企画)の型
思考、特に企画の型についてはいろいろな考え方(フレーム)があるが、基本的な型はこのようになっている。(オレンジの文字で表現されることもあるため、併記しておく。)
①論点設定
まず、何に対して考えるかを決めるというステップが発生する。当たり前のことを言っているようであるが、ここが企画全体を左右する。ある目的が設定されたときに、それを達成しようとした時に、どこまでを介入する世界として設定するか、それが大きすぎても小さすぎてもいけない。大きければ介入する力が弱まるし、小さすぎると介入できたとしても目的(例えば売上目標)を達成することは難しい。常に、思考する前提となる情報の棚を作っておき、目的に応じて、どの棚から情報を得て、論点を決めるかを考える。それが最初のステップになるため、情報をシャワーのように浴びておき、自分の情報の棚割の妥当性と最新の見出しを検証しておくことが重要になる。
②理想構築
論点を決めた後に、目的の青写真を作る。この理想の構築は得意・不得意が出やすい。普段から理想を考えるのが好きな人は苦労なく、目的が達成された状態を描くことができる。一方で、苦手な人は理想をそもそもどのように描けばよいのかというところで止まってしまう。
模範解答的な言い方をすれば、この理想は「これまでの原体験という点」と「現状という点」と「目的という点」を繋いで構築されるものであり、描けない人はどれかが不足していることが多い。長くなるので、理想の構築は別の機会に詳しく説明する。
③GAP設定
理想が描けた後に、現状を分析し、理想と現実の差を確認する。解決策を考えるのはまだ早い。ただ、事実として理想と現実は何が違うのか、間違え探しをする感覚で何が違っているのかを洗い出す。この工程は、現実を正しく捉えられるか、理想と現実の差を解像度高く捉えられるかが勝負になる。(細かく言えば、現状把握、GAP設定だが、他のプロセスとの兼ね合いで1つに統合した)
④要因特定
そして、その差がなぜ生まれているのかを考える。なぜ、理想の状態ではないのか、何が不足しているからなのか、どのような制約によって理想の状態にはならないのか、常識を捨てて、なぜを問い続ける。この工程はロジカルシンキングの相性が特によく、ロジカルシンキングの練習によって克服可能ではあるが、経験の差が出やすい。
⑤方向性設定
いよいよ、解決に向けたステップになるが、まだ具体的な解決策を考えるには早い。アイデアベースで具体案を出すのは良いが、そもそも要因に対して、どのようなアプローチで解決するのが良いのかという大きな方針(=方向性)を決めることが重要になる。特定の顧客セグメントの購買頻度が競合製品のキャンペーンがきっかけで落ちているという事実に対して、要因は自社の商品が価格しか優位性がなくなっていると分析した場合、商品開発という方向性もあるが、いっそのことその商品の価値自体を新しいものにして競争軸をズラすという方向性もある。その次元でロジカルシンキングを活用して一度考えてみる。
⑥解決策設定
そして、最後に向けて具体的な施策を考える。ここもロジカルシンキングによって、常識的な具体策だけではなく、抜け漏れダブりのない施策案を出し切ることが重要になる。良さそうな解決策に縛られないためにも、アイデアは書き出して直ぐに忘れる。そこからロジカルシンキングに戻っていろいろな視点から案を出す。
⑦選択肢評価
出揃った解決策に対して、目的を達成することを絶対条件としつつも与えられた条件の中で最も良いものを選ぶ。思考者が1次評価し、それを踏まえて組織として2次評価し、最終的には意思決定者によって決定されるのが一般的である。
非常にシンプルに書くと、このような形で企画の方は出来上がっており、デザインシンキング等で、顧客起点で企画を考えるという昨今の方法においても上記のプロセスの顧客密着度を上げた手法論と見ることもできる。
ロジカルシンキングによってコモディティ化したアウトプットになるのではという懸念があるかもしれないが、それはロジカルシンキングの問題ではなく、短時間でできる浅いロジカルシンキングでは誰もが同じような思考になりやすいだけである。そもそも、ロジカルシンキングは抜け漏れなく思考する考え方であり、基本的な思考をした上で、さらにその枠組みを超える思考をするための手段である。
2−3.思考(企画)のループ構造
これらのプロセスが一方通行かと言うと、そうはならない。特に、次の3つのループは発生しやすい。
1)そもそも目的を達成できる問題を発見できたか?
問題を発見することはできるが、それが達成したい目的に至る本当の問題なのか?大きすぎず、小さすぎない適切な問題になのか検証するループ。
2)目的を解決する具体策が発見できたか?
設定した問題に対する要因特定から得られた要因を解決すると本当に目的は達成するのか検証するループ。面白い要因や具体策に囚われ、いつの間にか目的達成に至らない行動になっていないかの検証が必要。
3)本当に成果は実現できたのか?
思考の結果、行動が決まったとしても、思考と行動の間には時間があり、常に情勢は変化している。その中で、組織を動かす場合は計画を立て、プロセス指標(KPI)を管理し、狙いの成果が得られていなければ得られるように具体策を是正する必要がある。それを繰り返すループ。PDCA、最近ではOODAというフレームで捉えることも増えてきている。ここも別途説明する機会をつくりたい。
このようなループ構造の中で、思考をし続けるのは相当な体力が必要であり、それを短期間で実行しないと、情勢変化によって思考自体が無駄になる危険もある。急ぎたい、でも思考の型を踏まえて考えたいから時間が必要、このトレードオフの状況が思考(企画)をハードなものにしている。ハードだけならまだしも、恐れずに言うならば、「雑なものにしている」とも見える。魂が抜けたやっつけ仕事。前例踏襲主義。名前を変えたらどの会社、製品でも通用する企画。本当はもっと良い企画にしたいと思っていたのに、思考が深まらずに時間切れになってしまう。誰しも一度は経験した道ではないでしょうか?(私は一度ではありません)
自分一人であれば、その思考から生まれた企画をやりながら良くすることに全責任を持てるのですが、組織となるとその企画に基づいて動くため、当然雑な成果になる。そうやって社会は回っている。
それで良いのか?それで本当に面白い未来に近づいていると言えるのか?
だからこそ、今の時代にあった思考ツール、むしろ思考パートナーが必要なのではないかと思い、それをつくる旅を続けている。
3.最高の思考体験が断固たる決意を生み出す
思考の話を書くと、「最終的には行動」「行動のみが世界を変える」「やりながら考える、アジャイルでやろう」という声が聞こえる。実は、私も正直そう思う。このような思考自体に正直価値はない。現実世界の行動に繋がり、何かを生み出した時に思考は価値があったと言える。
ただ、最後までやり抜くという意思決定をするためには、自分自身がこれをやりたいと心の底から納得する必要がある。表面的に、「市場が伸びているから」「成功企業があるから」という気持ちでは、VUCAの時代において、困難を乗り越えていくことは難しい。
断固たる決意をつくるためにも、ある企てを実行するための思考、すなわち企画においては3つの問いが有名である。
個人の圧倒的なやりたい思いによって、非合理にことはなされ、現実世界に結果として残る。多くの有名経営者の中にはそういうタイプもいて、憧れや神格化されている人もいる。それも事実だと思う。
しかし、魂を込めて、断固たる決意を持って企画を作り、大企業を変えていこうという人にとっては、上記の3つの問いに対して、人を巻き込む(共感させる)答えを提示しないといけない。
論点を見出すための情報の「探索」活動、そして、得られた点の情報を1つの目的を達成するためにストーリーという線にしていく「検証」活動、そしてその結果をより多くの人に共感してもらうための「合意」活動、
最高の思考体験とは、「探索」「検証」「合意」において、思考者が「やりたいけどできない」あるいは「やりたくない」ことを代替し、現実世界において「成果を出せる」体験と言える。
そのためには
といった機能が第3の考具には必要だと私は考えている。
思考はアートであり、それを自動化すると人の思考という楽しみに奪ってしまうのではないかという心配もある。しかし、人はもっと思考できると思う。もっと思考するためには、思考すること自体を標準化し、それをアートによって破壊し、その瓦礫の上に標準化を作っていくことの繰り返しだと思っている。
人類はもっと賢く思考し、もっと世の中を変えていける可能性があると思っている。だから、賢く思考しつつ、思考自体も楽しめるパートナー『第3の考具』をつくりたい。
今後も思考に関するノートをアップしていこうと思いますので、応援頂けると幸いです。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。