【コラム】世界保健機関WHOテドロス事務局長による「新型コロナに関する #国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態 」解除宣言を受けて #今日もコロナの下で
以下は昨日ロングツイした内容に改めて加筆修正してまとめたものです。
はじめに
2023年5月5日付でWHO世界保健機関 が発した「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」(PHEIC)宣言の解除は、新型コロナパンデミック それ自体を脱したことを宣言するものではなかった。
三年前の2020/3/11に発せられた以下の『 パンデミック宣言 』は依然有効なままで、今後国際社会は、「緊急対応態勢」から「長期対応態勢」に移行しながらも、 グローバル・パンデミック に対する備えを怠らず、警戒を緩めないことを求められることになる。
その中で我が国日本は、連休明けの5/8にも新型コロナの感染症分類を季節性インフルエンザと同等の『5類』に移行し、これに伴い公衆衛生態勢も、医療保障態勢も、大きく変わる。
医療の現場は業界を挙げてこの移行に抵抗してきたが、外遊中の岸田総理は今週中に、容易く、5類移行の最終決定を下すだろう。
WHOが発した警告
今回の『緊急事態宣言』の解除に当たり、WHOは次のような警告を発した。「構築した制度を解体してはならない」と。
以下、WHOテドロス事務局長の発言の抄訳。
我が国が行おうとしていることは、これに真っ向から反する。ゆるやかに現行制度下で移行するのではなく、実質的に各種制度を『解体』してしまい、国民や医療に負担増を求めるのだから。
◇減退する個人と社会の感染対策意識
我が国は世界に先駆けて所謂『三密』を避けるための「3つのC」という公衆衛生上の感染対策の基本となる世界標準を作り上げた。
この標準はあらゆる業界や産業で実践され相当な感染抑制効果をもたらした。 かくいう私の妻の職場も、この「3C対策プラス換気対策」の徹底により、今に至るまで感染者ゼロを維持できている。
しかし5類移行の方針が検討され始めててからというもの、飲食も、食品業界も独自にこれら標準対策を緩和し始め、『3C』の社会的な徹底は最早望めない状況となっている。
私の勤め先でも、会議室利用に関する人数規制が撤廃され、飛沫防止策のアクリルボードも連休中に完全撤去されようとしている。この点は妻の職場も同じだ。換気は維持するがボードは撤去するらしい。
つまり、制度の『解体』以前に、社会的に、公衆衛生強化に必要な対策の緩和が各方面で進み、いわば公衆衛生対策=感染予防意識が緩み始めている。 そんな中で『5類』移行により制度的にもコロナ対策が緩められようとしている。
こうして社会的な対策と国の制度が同時並行的に緩和されるということは、最新の「スイスチーズ式ウイルス感染防御対策」に準えるならば、社会の責任が限りなく減退し、個々人の責任が相対的に増大するという、 「個人負担増」を意味する。
しかし実際は、マスク着用の原則自由化等により、個人の自由度が高まる故に個人の責任すら軽くなってしまっているのが現状だ。最近はトイレで 手指洗い を徹底している人すら少なくなっていると感じる。それでいて、飲食や食品も消毒液などを置かなくなっている。
【参考道】ANAが空港から消毒液を撤去する報道(2023/5/7追記)
つまり、個々人とともに社会の責任が大幅に減退しているのが現状だ。「スイスチーズモデル」的には、『穴だらけ』の状態に陥ることになる。頼みの綱は、高い接種率による集団免疫の獲得だが、これも今後、外来の変異株が持ちこまれればイタチごっこになる可能性がある。
◇「変異株は渡航者とともに来る」
このことは、 #クルーズ船 の寄港が解禁された後、2か月足らずで184名(2023/5/5時点)の外来陽性者が発生し、その大部分が #変異株 に感染していたという厚労省の統計からもわかる。
しかもこれは「海港検疫」の結果でしかなく、クルーズ船感染者は感染者統計から除外される。そんな中で、連休明けには感染者統計それ自体が日時的に発表されなくなり、まったく感染実態を把握できなくなる可能性がある。
「空港検疫」の結果も、「ぽぽ」さんのように探し出して把握することはできても、政府当局もマスコミもろくに公表しなくなるだろう。『5類』の感染症の発生をわざわざ報告する報道など、これまでなかったのだから。
おわりに
社会や個人の責任や対策意欲が減退する中で、我が国政府はこの風潮に呼応するように「5類移行」による実質的な『制度解体』に向け進んでいる。
WHOは今日この日、一年の評価期間を経て、「 国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態 」を解除しながらも、警戒を怠らず、これまで構築してきた制度、すなわちヒト・モノ・カネの資源を『解体すべからず』という警告を発したが、我が国は『解体辞さず』の姿勢を国内外に示すこととなる。
これが吉と出るか凶とでるか。政府の博打に付きあっている余裕は経済的にも社会保障的にもないのだが、個人としてでき得る感染防御対策を引き続き徹底して心掛けるしか防護策はないだろう。すなわち、個人負担増である。
このことがあるから、私たちは警戒を緩めない。
巻末資料
WHOテドロス事務局長の発表内容のハイライト抄訳スレ
noteをご覧くださりありがとうございます。基本的に「戦う」ためのnoteですが、私にとって何よりも大切な「戦い」は私たち夫婦のガンとの戦いです。皆さまのサポートが私たちの支えとなります。よろしくお願いいたします。