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#小説
レモンをしぼり塩を振る 第4章 すきもきらいも
笠間先生が林小学校最後の任期となった年だ。笠間先生の出身大学の先生が小学校に来るときがあったという。
「笠間先生、最近お元気ですか?」
その人は話し始めた。
「どういう意味ですか?」
レモンをしぼり塩を振る 第2章 上昇気流で雨が降る
笠間先生という人がどういう人なのかも知らずに来ていた。知らないから勝手にいろいろやれていたのかもしれないし、それが結果として近くの学校の担当医に選ばれることにつながったのかもしれない。小学校の担当医というのがどれくらいのことなのか全くわからなかったけれど、大学の頃の同級生の中で、自分以外にはそういったことを任されている人はいなかった。そんなことに誰も興味がないからやりたがらない、ということでもな
もっとみるレモンをしぼり塩を振る 第1章 からまわりとおまわり
子どもに無限の可能性がないことを教えてあげることが大人の役割だ。ずっとそう考えている。スポーツ選手やテレビに出ている芸能人たちは、公務員になる可能性を切り捨てている。はみ出しものしかあそこにはいないじゃないか。世間で羨ましがれている人は必ずしもすべての側面を褒められたものではないという視点だって必要だろう。かくいう僕も、世間一般から見たら「勝ち組」に見えるのかもしれない。
僕は歯医者だ。開業