転び方が上手い子は、レシーブが上手くなれる

中学生の頃、体育で柔道をやらされた。
私たち昭和世代は、男子だけ柔道だった。女子はその時何やってたんだろう?

まあその時、最初は必ず受け身を教わった。
後ろに転がったら頭を打たないように顎を引いて、両手で畳を叩いたり。
前回り受け身では畳を叩いて立ち上がれるかやったり。
ま、立ち上がるのは蛇足だろうけど。

自分は中学校にバレー部がなかったし、めちゃくちゃ人数の多いマンモス校だったので、人数が比較的少ない、体操部に入っていた。
前宙返りやバク転を覚えるのに夢中だった。
幼稚園の頃から跳び箱が得意だったので、跳馬も好きだった。

毎日マットで前転、後転、倒立、側転といろいろやっていたので、柔道の受け身も覚えが早かった。

大学でバレー部に入った時、レシーブ練習として毎日スリーメンをやらされた。
5分くらい延々と、球出しされるボールを3人で繋ぐ。
これが非常に厳しくて、飛び込んで取るフライングレシーブをとにかく泣くほど何度もやらされた。
ヘトヘトになって立てなくなるまで。

肘サポーターとか買わずに、暑くても寒くても同じ厚手のスエットシャツを着て、それだけが打撲、擦り傷防止策だった。
胸からフロアに着地してスライディングするのだが、何度か顎を打って流血した。縫うほどの傷はなかったけど。

半年くらい経って、だいぶ飛び込めるようになった時、これは体操部のマット運動の経験が活きているなと気がついた。

ボールを追いながら低い姿勢でフロアに飛び込むのは、飛び込み前転の入りに似ていた。
転がってもすぐ起きる時の動きは、回転しても着地を止めてきた、平衡感覚が役に立った。

いつのまにか私は、初心者なのに、レシーブ練習の滑り込みや起き上がりが上手い、補欠選手になっていた。

というわけで、自分の経験上、転ぶのが上手い子は、レシーブが上手くなれる。
私はそう信じている。

だって、レシーブが上手い子は、どんな飛び込み方をしても、ゴツンとか音がしないし、しなやかに転んで、滑った後にはもう、速やかに立ち上がるんだもの。
それは受け身が上手いからだよ。

受け身が上手いということは、自分が飛び込んだ時、痛くないように滑る自信があるということ。
これまで何度か飛び込んでみて、痛かった所を、次は打たないように、都度修正してきたということだ。

これは、今までに経験してきたスポーツや遊びに大きく由来するものだと、私は考える。
とにかく親がいろんな所に連れて行って、転んでも自分で起きさせた子は、自然と受け身や立ち上がりが上手くなるはずだ。
逆に転ばないように気を配ったり、転んだらすぐに抱き起こしたりすると、子供はきっと、転んだということさえ理解できず、なぜかわからないけど、ただどっか痛いから泣く。泣けば誰かが助けてくれる、の悪循環となって、受け身が上手くならないし、起き上がり方も学べないだろう。

我がチームの初心者にも、膝立ちからの滑り込みをやらせたのだが、結局はキレイに習得できなかった。
というか、その前に、普通のレシーブがまずちゃんとできない子が多くて、そこにまで時間をかけていられなかった。

それに、暑い季節には滑り込むと汗がフロアに残って、滑り過ぎて危険だ。
我が校の体育館にはエアコンがないのだ。
汗をかく時期は、滑り込み練習は中止せざるを得ない。
振り返って、飛び込みレシーブを練習する機会は少なかった。

本当は、寒い季節にマットを使って、受け身から段階を経て練習しないと、打撲をしてしまう。
多いのは、顎と腰骨。
女子の顎に絆創膏はかわいそうだ。
それに、体操のマットって、滑らないんだよね。それが一番のネック。

いずれにせよ、受け身の上手い下手には、個人差があり過ぎる。
だから私は、最低限の受け身ができれば、まあよしとした。
肘や膝を付いて、ケガをしないで転ぶことができれば、まあいい。

それよりも、低い姿勢のままボールの落下点に素早く移動する、立ち姿勢のサイドステップを重要視するようにしている。

やはり、自分が大学で一番経験したスリーメンで鍛えている。3分で終わるけど。
取れそうで取れない所に打ってやって、その時のステップや転び方を見て、逐一指導している。
この球出しの感覚も、経験した者にしか分からない、職人技があると思っている。

そこから先は、もう本人の努力次第だ。
うちの娘は果敢に飛び込むタイプで、見よう見まねでやってるうちに、フライングレシーブができるようになってしまった。

でも、フライングレシーブができなければ、バレーができないわけじゃない。

苦手なプレーがあるのなら、得意なプレーで挽回すればいいんだよ!

バレーボールは助け合いのスポーツ。
だから仲間を尊敬できる。
素晴らしいよね。

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