初めての練習試合は、さっそく人脈を披露
新チームになったら、最初の公式戦は新人総体と思うでしょうが、それは9月中旬。
夏休み中の8月に、その前哨戦としての準公式戦が開催される。仮称、サマーカップとしておこう。
サマーカップは予選と本戦があり、3チームずつ4グループのリーグ戦を勝ち上がった8チームが本戦に出られる。
これで優勝しても、その上位大会はなくて、これでおしまい。
各グループ最下位の4チームは、本戦で補助員(得点板、ラインズマン、記録員)を務めることとなる。
抽選の結果、我々はさっそく強豪の北中と、中堅の山方中と同じグループとなった。
本戦に進むためには、北中には勝てないから、山方中に勝つしかない。しかし相手の実力は未知数。
けれど、なんとしても本戦に進み、貴重な試合経験を一つでも多く積ませたい!
まあ、2戦2敗の可能性の方が高いだろうけど、とにかく私のポリシーとして、いくら大差で負けようが、選手たちに恥をかかせてはいけない!という強い思いがあった。
というのも、これは今は高校生の長男が小学校5年生の時、郡内の陸上大会を観戦した際のちょっとしたアクシデントが、いつも思い起こされるからである。
わが子は出なかったが、トラック周回の男子1,000m走?ちょっと距離は覚えていないが、3周くらいする種目があって、観ていたら、当然ラスト1周で手持ちの鐘がガランガランと鳴らされた。
そうしたら、トップを走っていた子が、ゴールしたと思ったのか、走るのをやめたのである。
その子は5人ほどに追い抜かれてから気づき、走り直したのだが、結局上位には入れなかった。
なぜ、指導者は、鐘が鳴ることを教えていなかったのか?
せっかく努力してきたのに、可哀想じゃないか!
子供に恥をかかせんなよ!
と、人の子なのに腹が立った。
バレーボールで言えば、ローテーションやサーブ順といった基本ルール、さらにはサーブレシーブ位置と、その後ラリーが続いた場合は各自が得意な位置に移動してレシーブや攻撃をするのだが、そうした実戦での動きは、頭で理解するよりも、実際に体を動かして、ミスを修正しながら覚えるしかない。
それが近道なのだ。
普通なら、先輩チームに加えてもらっていた子が数人いるとか、Bチームとしてレギュラーチームの相手をしていたとかで、すんなり行くはずなのだが、この新チームの2年生たちは球拾いだけだったから、基本ルールくらいしかわかっていない。
そして、9人しかいないから、6人vs3人でやるにしても、うち初心者が6人と多過ぎて、ゲームのカタチにならないだろう。
これは、ちゃんとしたチームに相手してもらいながら、私が逐一修正指導するしかない。
と、ここでさっそく、人脈があるところを保護者、選手たちに示すことができた。
北中の次くらいの強さの、南中の監督は、私の大学バレー部の後輩なのである。
彼とは同じ社会人バレーチームに所属しているし、何度も一緒に試合に出ている。
4歳下だが、親友だと思っている。
彼にお願いして、練習試合をしてもらったのである。
普通は、まだカタチになっていない初心者チームといきなり練習試合してくれる所なんて、なかなかないし、あったとしても日程が合わなかったり、互いに下手過ぎてサーブが入らず、ゲームらしいカタチにならなかったりするはずだ。
これには、保護者たちも安心したようだった。隣の中学校の先生が友達なら、新コーチも信用できる、と思ったようだった。
私自身も、普通なら弱過ぎてかなり恐縮するところだが、自分の方が先輩だから、それほど気をつかわず、ラリーが終わるたびにコート内に進入し、個々に要点を指導することができた。
夏休みで、風が入らないようにした体育館。もちろん冷房はなし。
すごい汗だくだったのを覚えている。
いや、頭を使って、喋りまくっての精神的な汗も、だいぶ入っていただろう。
5セットくらいやって、全敗したが、サマーカップへの課題は見えたし、貴重な試合経験を得ることができたのだった。