【第六歩】「同期のサクラ」をきっかけに平井真美子の音楽に心酔するの巻
音楽家「平井真美子」を知る
2019年10月期のドラマ「同期のサクラ」は、放映開始当初、あまり好きになれなかったのだが、回数が進んでいくうちに好きになった作品だった。
それは、一般的な視聴者も同様だったようで、視聴率も話数が進むにつれ右肩上がりだった。
今年になってから、「同期のサクラ」のブルーレイBOXを購入した。
その大きな目的はメイキングを観ることなのだが、この作品では、北野サクラという超個性的なキャラクターがどのように生まれたかが垣間見られる。
事あるごとに登場するサクラの「ス〜〜〜」のシーンは、カメラワークを含め、さまざまなパターンを試しているのだが、そこは、とても興味深かった。
「同期のサクラ」の主題歌は、森山直太朗の「さくら(二〇一九)」であり、音楽(劇伴)は平井真美子によるものである。
この二人が夫婦であることは、おそらくは単なる偶然に近いものかと思う。
ワタシは、平井真美子という音楽家をこのドラマによって知った。
だが、より注目することになったのは、別のドラマがきっかけだった。
それは、杉咲花主演の「ハケン占い師アタル」だ。
このドラマは、「同期のサクラ」「過保護のカホコ」と同じ、遊川和彦脚本で、音楽も平井真美子なのである。
というか、ご存知の方はご存知のように、近年の遊川和彦の脚本のドラマは、ほぼ全部音楽(劇伴)は、平井真美子が担当している。
時系列で並べると、
「偽装の夫婦」
「はじめまして、愛しています。」
「過保護のカホコ」
「ハケン占い師アタル」
「同期のサクラ」
「35歳の少女」
「となりのチカラ」
「家庭教師のトラコ」
と、「同期のサクラ」以後も現在までそのコラボレーションは続いている。
さらに、2020年3月公開の映画「弥生、三月 -君を愛した30年-」は、遊川和彦が脚本と監督を勤めているが、これの音楽も平井真美子である。
ということで、主に音楽を目当てにここ数年、遊川和彦脚本作品を数多く観た。
やや癖のある脚本だけに、どうにもハマれない作品もある。
純粋にドラマとして、一番素晴らしいと思われたのは「はじめまして、愛しています。」だ。
養子縁組がテーマで、江口洋介と尾野真千子が夫婦役のドラマだが、近年の他の遊川作品と異なり、骨太の筋の通ったストーリー展開が素晴らしい。
このドラマは、純粋に「愛するということ」を考えさせられる。
親子愛、夫婦愛・・・結局、ひとがひとを愛するとはどういうことなのか?を決してシリアスになりすぎず、それでいて深く考えさせられるドラマだった。
おそらくは、遊川和彦はこのような「普通」のドラマはもう飽きてしまったのだろう。
あるいは、自身がやる必要がないとも思っているのではないだろうか?
期待して、「弥生、三月 -君を愛した30年-」も公開早々に観に行ったが、こちらはとても残念な出来であった。
ということで、ワタシは遊川和彦作品はいくつかは素晴らしいと思っているが、まったくハマれない作品もある。
その作品については、平井真美子の音楽はいいのだけれど、音楽だけを好きになれない。
やはり、ドラマがあっての音楽(劇伴)なので、切り離してというのは、難しい。
「ハケン占い師アタル」と「同期のサクラ」の音楽
やはり音楽として好きな作品は、ドラマとしても好きな「ハケン占い師アタル」と「同期のサクラ」となる。
ちなみに「過保護のカホコ」の音楽も素晴らしいのだが、このドラマにおける高畑充希の癖のある演技はどうにも好きになれない。
一般的に人気のある作品なのだが、ワタシにはハマらないようだ。
ワタシの音楽のツボは、基本的にピアノ・ソロ曲とピアノメインのオーケストラ曲であることで、それでいてポップであること。
では、実際に楽曲のリンクを貼っておこう。
「同期のサクラメインテーマ」
特にこのメインテーマは、最初聴いたとき、あまり好きになれなかった。
行進曲のように鼓舞するようなメロディに違和感があったのだが、全部聴いてもらえればわかるとおり、途中でジャズ風になったり、廊下の足音を想起させる靴音など、変化に富む曲になっている。
また、劇伴としても各話で登場する人物を応援しているかのように、元気を与えてくれる曲だと思える。
まさに、話(劇)に伴走しているような楽曲なのだ。
このドラマの重要な脇役が、この音楽だったようにも思える。
「アタル」
「『ハケン占い師アタル』メインテーマ」
「ハケン占い師アタル」は、占い師である杉咲花がオフィスの同僚のさまざまな人間関係の問題を解決していくというストーリーである。
「同期のサクラ」とは話として一切関係ないが、高畑充希と杉咲花とは「とと姉ちゃん」で姉妹であったわけで、どこかに繋がるものを感じてしまう。
各話の構造が一話一話ごとに、それぞれの脇役をメインにしているところは「同期のサクラ」同じである。
そんな「ハケン占い師アタル」は、基本的に全部の楽曲がピアノ・ソロとオーケストラのみで構成されている。
素晴らしい楽曲ばかりなのだが、やはりメインテーマとそのピアノ・ソロ曲は絶品である。
ワタシは、音楽理論などほとんどわかっていないが、この楽曲の魅力のひとつの要因は、黒鍵をまったく使っていないことのように思われる。
世の中の多くの音楽、特にポップ・ミュージックの多くは黒鍵を多用しているのは、よく知られるところである。
ほとんど黒鍵ばかりを使った曲も多いと思う。
しかし、この「アタル」に関しては、黒鍵を使っていない。
このことを知ったのは、下記の動画なのだけれど、果たしてそれがどのような効果があるのか?そこまではわからない。
ちなみに「アタル」は、ワタシは現在のスマホの着メロ(自作)しているほど、好きな楽曲である。
何度聴いていても飽きないし、最初に聴いた時期はかなりのヘビーローテーションであった。
shining girl
平井真美子は、オリジナル・アルバムを2枚しか出していない。
最新作は(と言っても2013年に発表なのだが)「夢の途中」である。
このアルバムの中の「shining girl」は名曲中の名曲だと思っている。
初めて聴いたときは、このような曲がピアノでできてしまうことに、演奏できてしまうことに、驚いた。
即興のような音が飛び跳ねるようで、何度聴いても飽きることがない。
確か初めて聴いたのは、以下のYoutubeではなかっただろうか?
アルバムの音とは、また印象が違うことと、平井真美子による演奏する姿そのものに引き込まれる。
昨年(2021年)、坂本美雨のアルバムにも「shining girl」が収録されているが、こちらはあまり好きになれない。
やはり、ピアノのみの方がこの曲に合っているように思う。
また、数年前のテレビ東京「ワールドビジネスサテライト」のエンディングテーマ曲にもなっていた手嶌葵「東京」の作曲は、平井真美子によるものだった。
この曲も大変素晴らしい。
最後に
ということで、今回は、平井真美子の音楽を紹介したのだが、高畑充希本人はといえば、椎名林檎作曲の新曲「青春の続き」をちょうど発表したばかりだ。
もともと歌唱力があるのは言うまでもないのだが、「ミス・サイゴン」などを経て、さらに凄みを増したような印象を受けた。
特に音源として、リリースされるのは、「ヲタクに恋は難しい」のサントラ以来となり、ファンとしてはたいへんありがたい。
それにしても、高畑充希は、音楽に関して運がいいと思う。
宇多田ヒカルは主題歌を2度担当しているし、藤井風は「旅路」という名曲を主題歌に提供した。
個人的には、「忘却のサチコ」のedda、連ドラ版でのオープニングのスカートは、すばらしい曲だったと思う。
また、これらについては、別に書いてみたい。
次回は、おそらく「楳図かずお」からみで書こうと思っているのだが、果たして・・・。