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【紹介】浦島太郎について

私は筒井康隆が好きだ。
この話は、浦島太郎が筒井康隆に書かれたらどうなるかを想像して執筆した小説である。

子供の頃、「家族八景」と「七瀬ふたたび」を読んで、筒井康隆の大ファンになった。
本屋で筒井康隆の名前を見るたびに「違うのを読みたいなあ」とずっと思っていた。
そしてある日小遣いをためて、念願の筒井康隆の小説、「笑うな」を買った。
「笑うな」を読んで、なにが面白いのかさっぱりわからなかった。
「これは、なんなんだろう?」
と思った。
何度も何度も意味を考えた。
考えているうちに、だんだん腹が立ってきた。
俺はこんなものを買うために、なけなしの小遣いをはたいたのか、と。
怒りはだんだん膨れ上がり、とうとう我慢ができなくなって、本をびりびりに引きちぎって捨てた。

大学生になり、本屋で「笑うな」を見つけた。
小説の内容はあまり覚えていなかったが、子供の頃に怒髪天を衝くほど怒ったことだけは覚えていたので、本を購入してみた。
なぜそこまで怒り狂ったのだろうということに、逆に興味を惹かれたからだ。
読んだら、メチャメチャ面白くて、笑いが止まらなくなった。そして「筒井さんスゲー」となった。

以来、本格的に筒井康隆作品を読み漁った。
「乗越駅の刑罰」などは、腹を抱えて笑った。
あの駅員の揚げ足を取る感じや、なんとも言えない不条理さ、何度も何度も読み返した。
筒井康隆作品は、かなりの数読んでいるのではないだろうか。
「おれに関する噂」、「熊の木本線」、「大いなる助走」、「将軍が目醒めた時」、「俗物図鑑」……など少し思い出すだけで、枚挙に暇ない。

なぜ子供の頃「笑うな」にそこまで怒ったのか?
なぜ大学生になり「笑うな」を読んで、笑いが止まらなくなったのか?

私の不思議な経験の一つだ。


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