第14話 児童自立支援施設(教護院)の話〜脱走編〜
学園(児童自立支援施設)の居心地は、児童養護施設以上少年院未満の優しさに思えたり、児童養護施設以上少年院未満の厳しさに思えたりした。
いつも、どんな場所も、それは同じだろうと思う。
自分の心境によって心地良さとは変化するものである。
心理カウンセラーとの時間は非常に満たされたものだった。
箱庭やテストも楽しかったが、包み隠さず何でも話せる心地良さには依存性すら感じた。
母親から受けた虐待や、学校で受けたイジメ、そして首吊り自殺未遂に至るまで、抱えるあらゆる苦しみを一番理解してくれている相手はカウンセラーだと感じた。
学園を出た後もこの先生と繋がっていたい、そう思ったりもした。
寮の女性先生も優しかった。
年齢の割に縮毛をかけたりしているそのギャル感も好きだった。
浜崎あゆみのCDを貸してくれたり、生活相談に乗ってもらったり、まるで親戚のおばちゃんのような距離感で信頼する事ができた。
入園してまもない頃、悪夢に魘されて苦しんでいるとその先生が名前を呼んで起こしてくれて、私の目をまっすぐ泣きそうな眼差しで見つめながら「大丈夫か」と心配してくれて、集まった寮の仲間を気にする余裕などなかった私は号泣しながら子供のように先生に抱きついた。
先生は「おぉよしよし」と優しい母親のように受け止めてくれて、泣き止むまで離れないでくれた。
どうやら私は寝ながら「お母さん!お母さーん!」と何度も叫び、涙を流していたらしい。
なかなか起きない私のその様子は、心配して集まった同じ寮の仲間にずっと見られていたらしい、思い出すととても恥ずかしい。
とにかく初めはそういった良いところばかりが目に入って、とても居心地の良い場所だった。
そう、例の寮生にフェラを強要されるまでは…。
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