【JMS#06】"超合金"をまとったニッポンのミニカー
メジャーメーカーのジャンクの中に、どこかふっくらとしたフォルムが印象的なクルマが1台紛れ込んでいました。シャシー面を見ると"SHINSEI"の文字が。MADE IN KOREAの表記もあったので韓国メーカーかと思って調べたら数奇な運命を辿った日本のメーカーでした。
◉プルバックする"超合金製"ミニカー
JET MACHINE「MERCEDES BENZ C111」(197?~1990)
プルバック(ゼンマイ)といえば、日本のミニカーコレクターなら『チョロQ』をすぐに思い浮かべると思いますが、今回ジャンクの中に紛れ込んでいたベンツのコンセプトカーは、後輪がプルバック式のゼンマイで駆動するようになっていました。トミカやホットウィールよりも少し大ぶりのボディには"S=1/53"の刻印もあり独特のサイズ感です。特徴的なガルウィングは可動するようになっていて、ヘッドライトもクリアパーツがはめ込まれています。インテリアもハンドル部分が別パーツになっていて、メッキが施されており、結構、コストをかけて作られているのが伺えて、非常に気になってしまいました。「韓国でこんなクオリティのミニカーを製造してたのか?」
◉シンセイは、のちにポピーになる会社だった
というわけで調べてみたところ、韓国のメーカーではなく、日本のメーカーの海外生産品だということが解りました。ネット上での情報は非常に限られていて、不明瞭な内容もあるのですが、Wikiの記載によれば、シンセイとは正式社名"新生工業"で、1988年(昭和63年)からバンダイと共同でファミコンソフトを販売しはじめる会社ですが、それ以前はミニカーやラジコンカー、電子ゲームなどの製造・販売をしていたようです。僕が手にしたのは、その頃の主力商品だったと思われるダイキャストミニカーシリーズの1台なのでしょう。
その後1990年(平成2年)、大阪の玩具メーカー「ユタカ」に吸収合併され新生工業の名前は消えているので、この"SHINSEI"の名前が入ったミニカーが出回っていたのは、遅くともそこまでということになりそうです。
ユタカはその後2003年(平成15年)、皆さんも聞き覚えのある「ポピー」という名前に改名します。その後のポピーの変遷について書き出すと、ややこしくなりそうなのでやめておきますが、のちにダイキャストのことを"超合金"と名付けて大ブレイクをしたポピーにちなんで、シンセイさんのミニカーを「超合金製ミニカー」と呼んでみました(笑)
◉美品が欲しくなって買ってしまいました・・・
JET MACHINE「MERCEDES BENZ C111」(197?~1990)
そんなこんなで調べていたら、意外と美品がお安いのを知ってしまい(1台1000円程度)ヤフオクでポチってしまいました(笑) 断捨離は本当にどこへ行ってしまったのか・・・。自分に失笑ですw
さっそく美品のベンツC111と比べてみましょう。
日焼けもしていないので、写真では解りにくいですが、青いクリアパーツの濁りもないですし、インテリアも綺麗なブルーだったということが解ります。ハンドルのメッキも剥がれず綺麗なままです。
パッケージはこんな感じです。
「ダイキャスト」ではなく「ダイカスト」と印字されているところに時代を感じますが、パッケージのどこにも製造年が解る表示はないんですよね💦 ただWikiの記述に
とあり、『対決!スーパーカークイズ』の放送時期が1977年(昭和52年)7月から1978年(昭和53年)10月なので、その頃の製品だと思われます。しかし、この番組気になるなー。
実は同じ出品者さんが白い個体も出されていたので、セットでゲットしてしまいました💦
◉その他のラインナップも調べてみた
そんなシンセイさんの<ジェットマシーン・ミニ>シリーズ、そしてその親シリーズでもある<ジェットマシーン>シリーズですが、それぞれ品番は400番台がつけられているので「結構な数あるのかな?」と思って調べてみました。
結果から行くと、ネット上で確認できたのはこんな感じです。結構頑張って調べたのですが、それでも400番台以外のアイテムがヒットしないということは、便宜上400番台にしているだけで、そこまで車種は出していないのかもしれません。シンセイさんは他にも<MINI POWER>シリーズという働く車のラインナップも展開されていたそうなので、そういった他のシリーズと区分する意図もあったのかも。あくまで憶測ですが。
◉"BACHMANN"ブランドで海外展開も
調べていてわかったのは、当時、"BACHMANN(バックマン)"という、主には鉄道模型を手掛けているドイツの会社と提携販売をしていたということです。
先ほどのパッケージを見るとドイツ以外にも、アメリカ、イギリス、香港、スペインでも販売していた形跡が伺えます。バックマンでの販売は、ミニのほうはブリスターパック、親シリーズのほうも日本とは違うデザインのパッケージで販売されており、上の一覧の中で「9X-93XX」のナンバリングを振っているものは、日本版では見つからなかったけれど、バックマン版で確認できた車種になります(コルベットやファイアバードとか)。
個人的には、童夢・零が気になってしまいました。欲しいなあ・・・。
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