【JMS#08】タフガイたちのステイタスだったピックアップの未来は?
『ジャンク・モーターショー』ピックアップトラック編、後半は70年代以降に登場した、カクカクしたデザインのモデルを集めてみました。個人的には丸みを帯びたオールドモデルほど惹かれないですが、でっかくて頑丈なワイルド・アメリカンを体現する車というところにシビれます。
◉小さいけれどカラーリングが好きなシボレー
HOT WHEELS「'69 CHEVY -Retooled Versions-」(2020)
年式の古い順から。70年代以降といいながら、69年型のシボレー・C/K(C-10)ピックアップトラック(二代目)のカスタムバージョンです。ベース車輌からフロントマスクなどが大きく変更されています。僕のコレクションにあるモデルも初代キャスト(2002年(平成14年))を、再度作り直した二代目になります。パッと見は変更点が解りにくいのですが、グリルとバンパーの一部がシャシーと一体成型になって、全長が小さくなっているらしく、確かに他のモデルにくらべて可愛らしく見えます。(実車は二代目のほうが初代より全長は大きくなっているんですけどね)
オリーブドラブ系のグリーンに、山吹色とオレンジのストライプの配色が個人的には好きな組み合わせですね。ホイールの黄色いラインも可愛らしく、キャンプ場とかに乗り入れたら絵になりそう。ほのかに青いクリアスカイブルーのウィンドウ色もお気に入りポイントですね。
◉日本人デザインによる人気のタフワイルド
HOT WHEELS「'83 CHEVY SILVERADO」(2013)
2008年生まれのキャストで、これまでに40以上のバリエーションがリリースされていることからも人気がある車種なんだと思います。名前からしてウェスタンな香り漂う車で、対人安全第一になった現代のカーデザインにおいては狂暴にも思える角ばったフォルムが実にアグレッシブ。四灯のヘッドランプもヤンチャでワルそうな感じに拍車をかけているように見えますね。
このバリエーションでは、全面を覆う金ブチの黒いファイヤーパターンが、きらめくゴールドリムの大口径タイヤと相まってイキり度がアップしています。ローダウンスタイルもキマっていて、金のネックレスじゃらじゃらさえたガチラッパーが乗っていそうな仕上がりです♪
【TOPIC】日本人デザイナー、ジュン・イマイ
このシルバラードのデザイナーは日本人のジュン・イマイ氏。既にマテル社は退社されていますが、2005年から2018年にかけて、日本車のカスタムモデルやマッスルカーなど様々なタイプの車を数多く送り出しています。マテルを卒業後は、ロボレースや電気自動車開発などに関わり、現在は「KAIDO HOUSE(街道ハウス)」というプライベートブランドを立ち上げて、オリジナルのクオリティ高いミニカーやグッズ販売を展開されています。
実はこの『ジャンク・モーターショー』に使っている1/64サイズのフィギュアもKAIDO HOUSEの商品です。モデルはおそらくイマイ氏本人(とご子息?)。僕はフィギュアを買ったあとにその事実を知りました。
◉スリリングな物語を感じさせるダッジラム
HOT WHEELS「DODGE RAM 1500 TRUCK」(1999)
1995年にキャストされたダッジのピックアップ。これは4年後に「シティポリスパック」という5台セットの中の1台としてリリースされたバージョンです。このパック、爆弾処理班のトラックやビーチパトロールカー、ハイウェイパトロールカーなど魅力的なバリエーションが詰め合わされていて、欲しくなっちゃうのですが、いかんせんプレミア価格・・・手が出ません。
このダッジラムは「FEDERAL DRUG ENFORCEMENT(麻薬取締局)」の仕様になっています。実際には「DRUG ENFORCEMENT DMINISTRATION」、略称"DEA"という組織がアメリカにはあって、いろいろなディティクティブドラマにも登場しますが、この"FDF"は架空の組織ですね。
国連っぽいマークだけでなく、ルーぺで見ないと分からないような小さな文字で「麻薬犬を帯同させている」表示だとか、防弾ガラスであることを告げる表示がプリントされていて芸コマです。
ベースになっている実車は1994年に登場した2代目。ダッジにとっては予想以上に大ヒットして前年の4倍もの売上を叩き出し、その年の北米カー・オブ・ザ・イヤーのトラック部門も受賞したそうですが、それでもシボレーとフォードの牙城は崩せなかったとか。
◉圧倒的"中西部の父ちゃん"感がここにある
HOT WHEELS「1979 FORD TRUCK」(2002)
最後は荷台部分にルーフがついたタイプのキャストで、ベースになっているのは王者・フォードのF-150。Fシリーズの第6世代にあたり、"ブルノーズ"の愛称で親しまれた無骨なデザインの一台です。Fシリーズとしては初のフルモデルチェンジだったとか。
1979年型の解りやすい特徴は全てのモデルが四角いヘッドライトになったことでしょうか。それまでは丸目のモデルもあったそうなので。
マーキングは『BLACK HAWK MESSENGERS』のロゴと鷹のグラフィック。ボンネットに"02"のゼッケンや、"WannaB racecardrivers"という文字が描かれているところをみると、どこか(あるいは架空)のレーシングチームの仕様なのでしょうか。
ルーフのプラスチックがもう少し良い質感だったら、もっと印象が変わる気がします。同じ金型でツールボックスを積んだ、ルーフのないバリエーションがあるのですが、個人的にはそっちのほうが欲しいかも、です。
というわけでマイ・ジャンクの山から、ピックアップトラックだけをピックアップしてみました! あらためてオールドピックアップのデザインっていいなあと再確認。こういうデッカい車を、汚れるのも傷がつくのもお構いなしで、グイグイ走りまくる人生にもなんか憧れちゃいます(いろんな映画で見せつけられているせいもあるかも)。
アメリカにおいては比較的ランニングコストが安いというのも人気の理由だったそうで、その証拠に8割ほどが自家用購入で、商用の登録は少なかったというデータもあります。とはいえ、エコが叫ばれ、ハイブリッドや電気自動車が増えつつあるこれからの時代、アメリカン・ピックアップの大袈裟な存在感は、ちゃんと生き残っていけるのでしょうか? フォードとかは「ライトニング」というEVタイプも展開を始めているようですが、どうしてもタフイメージは目減りしますよね・・・。腹に響くような燃焼エンジンでいつまでも無くなって欲しくないカテゴリーです。