【緊急事態】新NISAで日本は浮上する可能性すらなくなります
日本の失われた30年の0成長の原因は企業が国内投資の為に借金を増やさ(せ)ないことです。政府は民間の信用残高の減少によって低下し続ける名目GDPを0成長になる程度にまで国債を発行してかさ上げしてきました。
名目GDPの推移(単位兆円)
企業が借金を増やせなくなった理由は、90年代後半よりBIS規制に加えて厳密に定義された不良債権の比率を下げることを行政側が銀行に強要すること(金融ビッグバン)で、貸せば貸すほどBIS規制に基づく自己資本を銀行が棄損してしまい、信用創造が一定以上にできないようにしている貸出総量規制を日本政府自らが邦銀に掛けているからです。
企業の負債(信用創造)残高の推移(単位兆円)
BIS規制や不良債権の経済抑圧の仕組みは下記の記事をご覧ください
・竹中金融行政がデフレを長引かせている ─ 国内銀行の自己資本比率規制を廃止せよ 鈴木よしお
さらに深く知りたい方はこちらの書籍もお勧めします
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金融庁という経済破壊システム 失われた30年の真犯人
※コロナ下のゼロゼロ融資で企業の負債残高が増え名目GDPが伸びましたので、現在は賃上げが可能となりましたが、この金融行政は変わっていないためゼロゼロ融資の終了とともに再度停滞傾向に戻ると考えられます。
銀行は失われた30年で莫大な流動性をため込んできた
政府が銀行の信用創造を抑え込んだ結果、日本の銀行は莫大な投資に回らない資金(流動性)をため込んできました。
預金に対して貸し出しに回っているお金の割合を預貸率と言います。預貸率が低いと、銀行が預金に対して貸し出しをあまりしていないという事になります。
預貸率の推移(単位%)
※98年ごろの金融ビッグバンからの急降下をご覧ください!
預貸率の低さは世界最低レベルまで落ち込んでいます。
預貸率世界ランキング
また、異次元緩和政策で日銀が銀行が持っている国債を買い取っても、銀行の信用創造の拡大を阻むBIS規制や不良債権比率の低下を銀行に強要する金融行政を原因として、その買取金額は、投資に向かわず、ほとんどは銀行の日銀当座預に豚積みとなっています。
日銀当座預金残高の推移(単位兆円)
逆に言えば邦銀は巨額の貸し出し余力=経済成長余力を持っているという事
日本の銀行は日本人による数千兆円の預金を持っており、さらに預貸率が世界で最下位レベルで低く、膨大な日銀当座預金を保有しているという事は、逆に言えば、世界一レベルで企業の国内投資の為の貸し出し余力を持っているという事です。(政府が封じ込めさえしなければ)
※余談ですが企業の借金が増えると給料も増えます
邦銀の持つ巨額の貸し出し余力は、日本人が耐えに耐えた失われた30年の成果ともいえます。
しかしそれが今新NISAによって他国に盗まれようとしています!
新NISAという国富収奪システム
新NISAは、資産運用立国とかいうコンセプトの元、金融庁が計画建て統括している、岸田政権で始まった、株で儲けたお金がある程度非課税になる仕組みです。
このNISAによって投資されている物のランキングを見てみます。
このランキングの2位と3位はアメリカ株ですね、1位のSLIM 全世界株式も6割はアメリカ株で、日本はわずか6パーセントです
新NISAの投資先は9割が日本ではなく、海外に、そしてその内訳はアメリカ株が最も大きな比率を占めていることがお分かりいただけましたでしょうか?
年間2.4兆円が、国内投資に向かわず、海外の株式に投資されてしまうという事です!そして新NISAは始まったばかりですので、この金額はもっと増えていくでしょう!
この仕組みを放置すれば、失われた30年の成果(邦銀の莫大な国内投資の為の貸し出し余力)がすっからかんになるまで、日本人の金は世界(主に米国株)に流れ、国内投資拡大の道が完全に閉ざされることになるでしょう。
新NISAという史上最大の売国政策
他にも新NISAは日本人の為にならない様々な弊害があります。
・海外株に円が流れるとその国の貨幣と交換して株が買われる為、円が売られその国の貨幣が買われる。つまり円の価値が低くなる(円安になり国内生活者の為の交易条件が悪化しインフレが加速する)
・新NISAに流れた金が国内で使われず、その分国内消費が落ち込む
・ほかの国に投資されるので、その国の国力を増大させ、相対的に日本の国力は低下する
こんなことを政策としてやる国は致命的馬鹿です。そしてこのことを国会で指摘している議員は私の知る限り米山議員一人です
しかし新NISAは個人個人(ミクロ)で見ると非常にいい仕組みで、この記事で記載した大きな弊害は個人個人が合理的な行動をした結果、合成の誤謬として発生してしまうものです。
もはや個人個人が日本の為に合理的な行動をしないで戦うという方法しかなくなってきました。私たちにそれができるのでしょうか?
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