慶應通信文学部第2類に合格したので志望理由書を公開する。
タイトルの通りです。公開する理由は4つありますが、さほど重要ではないので書きません。
筆者の経歴は定時制高校卒→一浪→慶應通信(合格時点で19歳)です。高校時代の平均評定は3.2以下2.5以上だと思います。
一番下に特に参考なった志望理由書へのリンクも貼っておいたのでぜひ見てください。
なお、本記事のうち僕が事実として保証できるのは合格したことと前述の経歴と志望理由書の内容だけです。それ以外の要素には大した意味はないので読み飛ばしても全く問題はありませんし、真に受けて落ちても怒らないでください。
本文中の段落に置いてある数字は解説をわかりやすくするために追記したもので、実際の志望理由書にはないものです。
志望した学部・類で何を学ぼうとしているのか、①過去の学習体験、②将来の展望、のいずれにも触れながら具体的に述べなさい。(720文字以内)
1)私は近代日本史、特に軍事史に興味があり、専門的な教育を受けるために文学部2類を志望している。以下では、その理由を論じる。
2)私は小学校3年生のときに、太平洋戦争に関連する本を読んだことで近代日本史に興味を持った。そして、中学生のときに広島の「加害」と「被害」について次のような意見をインターネットで読んだことで専門的な教育を受ける必要性を感じた。
3)広島では原爆を題材に平和教育を行うが、この都市は軍港として、軍民共同で50年以上に渡って日本の帝国主義を支えていた「加害」の歴史もある。これをもって原爆投下を正当化することは出来ないが、平和教育によって広島の「被害」を強調し、前述のことを言及しないのは、この都市が持つ「加害」の歴史を無視することにほかならない。
4)私はこの意見から始まった議論を通して、「歴史的事実について価値判断をすることは非常に難しい」ということを理解し、ついで自分が今まで歴史を、価値判断を含まない一面的な事実によって構成されているとみなしていたことを発見し、大きな衝撃を受けた。
5)人間は完全に客観的な視点を持たない。よって、物事について思考する際、価値判断を避けることは出来ない。しかし、専門的な知識を身につけ、物事を多面的に捉えることで、ある一定の客観性に基づいた、事実に近い理解を実現することは可能であると考えられる。私は将来、専門的な知識を身につけ、物事を多面的に捉えることができる研究者として近代日本史について可能な限り客観的な事実を探求し、日本が国際社会で抱えている問題の解決の一助になりたいと考える。
将来の展望は決まってたんですが、過去の学習体験が全く思いつかなくて苦心しました。
第三段落と第四段落はよく見るとあんまり関係ないです。第四段落と第五段落にいたっては全く関係なかったんですが添削してくれた友人Aの尽力によって関係が出来ました。本当にありがとう。
自分の学びたい学問領域に関わる書籍を一冊選び、概要を簡単にまとめた上で、自身の視点から詳しく論評しなさい。(720文字)
吉田裕『日本軍兵士 ーアジア・太平洋戦争の現実』(中公新書)
1)「はじめに」によると本書は『歴史学の立場からはあまり取り上げられてこなかった「戦史」を主題化する』こと、『「兵士の目線」を重視し、「兵士の立場」から戦場を再構成する』こと、『「帝国陸海軍」の軍事的特性が兵士たちにどのような影響を与えてきたのか具体的に明らかにする』こと、の3つの問題意識を念頭にアジア・太平洋戦争を新たな切り口から描きだすことを目的としている。
2)こうした目的はいずれも達成されているといって良いが、私が関心を抱いたのは『「兵士の目線」を重視し、「兵士の立場」から戦場を再構成する』という点である。これは従来の戦争史の手法では限界のあった、「兵士の目線」に焦点を当てることを目的にしており、他国戦史との比較による日本戦史の相対化、「兵士の目線」からみる「死の現場」の再構成という2つの手法を用いて語られている。私が特に注目したのは後者の手法で示される「兵士の目線」からみる「死の現場」である。従軍経験者の手記などを用いて物資不足による被服、装備品の質の低下、戦局の悪化に伴った人員増強で平時ならば徴兵の対象にならないような体格的に脆弱な者を動員したことによる全体の弱体化、長期に渡る戦闘行動による精神的疲弊に伴う逃亡者、自殺者、精神疾患患者の増加など、私が日本軍兵士に抱いていた「精強」というイメージとは大きく異なる実態が明らかにされていて、文字通り戦場が再構成される感覚を味わった。
3)以上から本書は非常に興味深い内容だったが、通史的性質と新書という媒体の性質ゆえに個々の事象についての掘り下げが浅いという問題を抱えており、ここで取り上げられた内容についてはさらなる個別具体の研究が必要だろう。
この小論はかなり怪しいです。概要を簡単にまとめることには成功してると思うんですが、自分の視点から詳しく論評出来てるようには思えません。
第二段落は概要をまとめる効果を果たした2文目以降は単なる事実の羅列ですし、最後は主観的な体験※1が潜り込んでて”自分の視点から”という言葉の意味を間違って解釈したとしか思えないです。どこに注目したのか最低限説明されてるのがせめてもの救いでしょうか。
あと第二段落は二文目までとそれ以降で2つに分割すべきでしたかね。
二ヶ月前の僕は100点中80点はとれるだろうと思ったんですが今見ると50点も怪しい気がします。よく通ったものです。
選書のときに気をつけたのはちゃんとした学者が書いたちゃんとした学術書を選ぶことです。文2の人なら中公新書か岩波から選んどけばだいたい間違いないです。なお、上記レーベルから選んで落ちても僕のせいにしないでください。評価が確定している古典的名著もありだと思います。
※1しかもこの体験は捏造です。何がしたかったんですかね。
なぜ慶應義塾大学の通信教育課程を選んだのか述べなさい。(150文字)
私が通信制大学を選んだのは社会経験を積みながら自主的な学習を行うことが出来ると考えたためである。
通信制大学のなかで貴学を選んだ一番の理由は学べる学問の幅広さにある。ひとえに歴史を学ぶと言っても様々な学問の知識が必要になるが、貴学であればそれらを同時に学ぶことが出来ると考えた。
第一段落は嘘※2で、第二段落は誤りです。一つの学部から学べる学問の幅広さでは放送大学のほうが上です。真面目に考えるなら慶応ブランドの価値(例:歴史性、権威)のなにかを魅力に挙げたほうがいいです。
※2僕は通学制の大学に通ってキャンパスライフを謳歌したかったんですが、志望校全てに落ちました。
まとめ
事実であるかどうかはわりとどうでもよく、設問に合った論理的で破綻のない文章が求められてると思ったのでそういう構成にしたつもりでした。実際には破綻だらけなので今見直してもよく通ったなと思います。逆に言うとこのレベルの文章でも通るということなので皆さんは是非励みにしてください。
特に参考になった志望理由書一覧
(おそらく)普通課程の方
https://gakkun33.com/keio-tsushin/1-1/
https://www.noah-17.com/keio-shigannriyuusyo/
https://rr-univ.hatenablog.com/entry/2020/07/21/201815
(おそらく)普通課程で不合格の方
https://ameblo.jp/hutaba-blog/entry-12585215987.html
僕が見つけた限り不合格で志望理由書を公開していた勇気のある方はこの方だけだったのでとても参考になりました。
(おそらく)学士課程の方
https://kojigen.com/keiou-6225.html
https://ameblo.jp/hozakik/entry-12580604486.html
http://ma2ko24.jugem.jp/?eid=7
https://yuuki4210.blogspot.com/2015/05/blog-post.html