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首都高速湾岸線の開通と、鶴見つばさ橋

首都高のなかで、湾岸線は比較的歴史が短い路線です。というのも、湾岸線が、横浜-東京間の開通したのは、レインボーブリッジ開通の翌年の1994年の出来事になるのです。

それ以前は、K1・横羽線が横浜-東京間の交通を担っていました。しかし、片側2車線で車線も狭く、線形もカーブ気味で、大型のトラックでは少し辛いものだったようです。

そのため、物流の高速化、効率化を図るうえで、横浜-東京間の高規格道路の整備が必須だったのでしょう。鶴見つばさ橋は、1994年に完成し、湾岸線が横浜-東京間を貫く、3車線で広く、真っすぐに近い1本道になりました。

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鶴見つばさ橋がある「大黒ふ頭」から「空港中央」の間には、数多くの運河があります。並行する横羽線は、こういった運河を嫌うように内陸側に設置され、列車による貨物輸送も盛んで、船から車というよりは、列車から車といった物流をイメージして作られていたように見受けられます。

湾岸線を海側に設置し、横浜-東京間を接続するということは、つまり、「トンネルと橋をいくつも作る」ということと同義だったというわけです。そして、次に話題になるのは、費用の話。工事としては、トンネルを掘ると、橋を架けるおよそ5倍もの費用になるという話があります。

しかし、羽田空港があるため、空には飛行機が飛び交います。港もあるため、大型の貨物船、横浜港には大型客船も出入りします。橋の条件を満たすために、高く設置すれば飛行機の邪魔に、低くすれば船の邪魔にと、広大な空間に見えて、非常に設計上厳しいのです。

そのため、羽田空港のある東京側はトンネル区間が多く、横浜港のある神奈川側では橋が多くなっているのが特徴です。

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※グーグルマップより

首都高にかかる橋としては、ベイブリッジやレインボーブリッジの陰に隠れ、あまりメジャーではない鶴見つばさ橋ですが、その周辺は工場夜景で有名なスポットが数多くある場所なのです。

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※横浜港(1988-1990)頃 国土地理院より

写真の下側に延びるベイブリッジ(工事中)と、右上に延びる鶴見つばさ橋(こちらも工事中)という写真です。工事が並行して進んでいることを考えると、横浜-東京間の、人や物流の支えになっている湾岸線は、ベイブリッジとセットの鶴見つばさ橋は必須の存在だったようです。

橋に注目していましたが、湾岸線には運河をくぐるように設置されたトンネルが3つあります。川崎航路トンネル、多摩川トンネル、空港北トンネルがその3つです。

物流として重要ではあるものの、東扇島ランプ(川崎)から、東海JCT(大井)間は、トンネル区間のため危険物運搬車両は通行禁止になっています。これは、湾岸線におけるネガティブなポイントで、空港があり万が一大きな事故の場合、煙などで空港の運用に影響が出ないようにとも配慮されたものだといえます。

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※東扇島入口の標識

左側に危険物進入禁止の看板と、右には通行できないトンネルの案内があります。割と最近完成した、山手トンネルや、横浜北トンネルの記載もありますね。

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※東扇島出口に設置される看板

トンネルの多い道路ならではの看板です。この看板を見つけたら、トンネルがそろそろあるんだなーと思ってもいいかもしれません。圧迫感があり、明反応や暗反応のあるトンネルに入るときは、注意しなければいけないポイントです。特に走り慣れていない人ほど戸惑うこともあるでしょう。

道路上にある、こういったヒントを上手に活用して、先を見越した運転が重要なのかもしれません。

ネガティブな部分があるとはいえ、横浜駅前や、その周辺の市街地を回避できるように作られたので、その目的はしかり果たしているといえるでしょう。

横浜-東京間といえば、国道1号線が、東海道として遥か昔から有名です。それに並行する国道15号線、横羽線は、東海道のバイパス路線としての役割を担って、交通渋滞、公害問題などと向き合いながら、街の発展を支えてきた幹線道路です。

その並行する道路のなかで、最も新しいといえるのが湾岸線で、それを支えるベイブリッジ、鶴見つばさ橋、各トンネルで構成されていると思うと、陰に隠れがちな、鶴見つばさ橋にスポットしてみるのも面白いかもしれません。

この先、第2湾岸道路をつくるといった話もうわさされており、どうなるのかまだ不透明な段階ではあります。今後こういった橋を中心にした、スポットができるのでしょうか。

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