
続・正体がわからない背中のできもの。
↓前回の続きです。
1月16日、紹介状を持ってとある市立病院の皮膚科へ。
背中、両側の肩甲骨のちょうど真ん中、背骨の真上にあるできものと右二の腕にあるできものを切ってもらうための診察。やっと切ってもらえる、やっと終わりが来る?という期待と不安でいっぱい。前回の、カチカチのものが表皮の端っこを突き破って飛び出た、とんがりコーンみたいなのは取れてなくなってしまった。寝ぼけながらできものを弄る癖がついて、指先でつまんで、ぴーっと引き抜いてしまったところで目が覚めた。完全に取れてしまった。取れた後の表皮を触るとぶよぶよして、裂け目がちょっとヒリヒリした。弄る癖は絶対治さなくてはと思う。
当日はやはりすぐ切られることはなく、できものの写真を撮られる。傷にまつわる後遺症やケロイド状になるかもしれないという説明を受け、最後に糖尿病がないか調べるための血液検査の採血をして、初日は終了した。糖尿病だと傷のくっ付きが悪くて傷口が開いてしまうので、切除手術は一旦キャンセルとなるという説明を受けた。
幸い、糖尿病にはなっていなかった。たまにとても疲れている時に血液検査を受けると、血糖値が少し高いから甘いものや飲酒は控えてと指導されることがある。
これも橋本病の影響か、遺伝性のものか、はっきりしないけれど気をつけている。甘いもの好きで、ビールも好きだけど、気をつけてと言われてから一年間、ビールも梅酒もワインも飲まなくなった。焼酎は糖質ゼロ。飲むなら断然、焼酎だな。
1月20日、午後から市立病院皮膚科へ。
切除手術と生体検査の同意書や、皮膚組織が何らかの研究のために使用されるかもしれない時のための同意書等、何枚か同意する旨のサインを済ますと、処置室へ。
うつ伏せになって背中と腕を出してスタンバイする。皮膚の消毒、麻酔の注射...うわ痛い。結構ぶっすりぶすぶす...。麻酔はよく効いた。
何をされているかまったく見えない。直線に切るのではなく楕円のように切り取られるらしい。ハサミも使っているようでチョキチョキチョキ...という音も聞こえてくる。
「真皮が分厚くなってる...」というつぶやきが聞こえた。ふむふむ。表皮は普通に柔らかいのに、その中に固いブツ(角化細胞)が。


ターンオーバーが何らかの原因で狂い、角化した細胞が角層の上層に到達せず、剥がれ落ちることなく皮下に積み重なった。ターンオーバーのサイクルが部分的に壊れた結果?
切除手術中や傷の縫合は、麻酔が効いて痛くないけれども、やはりメスが入るというのは怖い。「怖いよ、イエスさま助けて」と、ヒーーーっと慌てつつも、冷静を取り戻そうと、「執刀するドクターたちの手の技を最後までお支えください。見守っていて下さい。痛い人苦しいすべての人々にも心の平安を与えて下さいますように」と主にお祈りを。もう祈られずにいられない。切ってほしいと訴えたのは自分なのだ。
1時間もかからず終了した。抗生剤と痛み止めのカロナールを処方される。カロナールは私には効かないんだけどなぁと思いつつ。
当日は違和感も痛みもなかったのに、翌日からかなりの傷み。背中の皮膚は動く範囲も広いし、仰向けになると下敷きになるし、仕方ないけれど少々落ち込む。
カメラロールの中に昔撮った背中の写真を発見。2012年の年末には点々と化膿した痕がたくさんあった。この頃の痛さと同じくらい。12年の間にずいぶんラクになった、これくらいの痛みには耐えて来た、大丈夫だと思うものの、なんでこんな長期に我慢しなければならなかったのかと思うと悲しくなって来た。もう痛いのは嫌だ。
皮膚も臓器のひとつと考えられている。癌にもなるし歳を取ればトラブルにも見舞われる。一見してもどういったトラブルかがわかりにくい。最悪の事態になったらどうしようかと不安にもなった。
一週間後、紹介状を書いてもらったクリニックで抜糸。糸は固い天糸みたいで引き攣られるのではやく抜糸してもらいたかった。そのときに生検の結果を聞かされた。
本当に書くのも嫌なんだけど...。
「検査の結果ね、老人性のいぼでした。悪いものではないからね。じゃ」
えっと?今、「プ」って、笑いながら言いませんでしたか?ドクター?気のせい?
何だ?いぼ?イボ?
私は12年間もいぼに苦しめられた?いぼに?
そういえば、私は保育園児だった時、おでこにプツプツが出来て「うわー、イボコロリ〜!」といじめられていたっけ。多分、いぼが出来やすい体質なんだろう。
老人性いぼは、別名、脂漏性角化症という。紫外線の影響、または老化現象としてフェイスラインに現れる少し盛り上がった、老人性色素斑から進展したもの。シミとは違うもの。
ついでに書くと、私の父は、眉間のど真ん中に褐色のイボが付いていた。それこそ仏像よろしく、何の裏打ちもないのに、なんだか神々しいようなファーストインプレッション。えぇ。何の裏打ちもまったくない。あれも老人性いぼだったんか!
もうなくなった背中と腕にあったイボたち。なんでそんな所に居座ったのか?そんな紛らわしいところにさ?もっと違うところなら切らずに共存(?)出来たんじゃない?最悪、床ずれか?とか真剣に悩んだよ。床ずれ防止マットとか敷いた方が良くないか?とか、悪性腫瘍だったらどうしよう?とかさ...。
結果として、脂漏性角化症は、イボコロリでも取れず、自然に無くなることはないそうなので、根っこから切ってもらったのは本当に良かった。共存()出来る箇所にあるならわざわざ切る必要もないかもしれないが、イボ持ってる本人にとって、本当に一大事だったのだ。笑い事じゃないのだ。無意識に掻きむしった結果、ばい菌が入ったり、何らかの感染症や真菌症の入口になりかねない。そういうことにならずにずっとイボのままで温存されていたことは奇跡的だ(大袈裟)。
傷は3か月から長くて半年で完全に回復するとの事。その間ケロイド防止のテープを貼れとの指導を受ける。自分で貼れる場所じゃないので家族の手を借りることになる。一人暮らしだったらどうすればいいのだろう?
ところで、皮膚科は女性医師の方が絶対に良い。悩みをわかって親身になってくれる。
絶対。肌の悩みはいろいろあるもんだ。
背中の痛みはまだ続いている。傷がある箇所ではなく、全体的に痛みは多少ある。これはどうしようもないものらしい。原因を突き止める前に、うつ病経験がある、今も薬を飲んでいることがわかるとドクターは、その先に進んでくれないからだ。時々、アメリカのドラマの中でヒントになるエピソードがあるものの、日本ではその病名を検索してもヒットしない。
END.