杉山結人という男を語る。
2033年9月。暑さの残る奄美つむぎスタジアムに、背番号12番のその男はいた。
33歳となっても纏う穏やかな雰囲気は変わらない。でも、戦いの修羅場を経験した男の炎は、瞳の中に確かに宿っていた。
杉山結人、33歳にして今季の一軍出場はゼロ。誰がどう見ても、チームの中でも最も立場が危うい選手の1人だった。
それでも、ファンや我々応援団に向ける表情、チームメイトとの接し方、それら全ては初めて彼を見た2023年、10年前と何も変わっていない。いつでも彼の周りには笑顔があり、笑顔がある