BOSS RV-3の修理とちょっとした調整
コンパクトタイプのデジタルエフェクターが出始めた頃のBOSSの自信作です。Number Girlの田淵ひさ子さんなどの使用でも知られています。
「on/offのスイッチの効きが悪い」ということで修理を依頼されました。そちらは電子スイッチを新しいものに交換するだけでしたが、楽器でテストしているうちに気になることがありました。
ハムバッカーなど出力の大きいピックアップで低音弦側を弾いたり、ベースで使ったりするとディレイ音が若干歪んでしまいます。入力ゲインに関する当時の仕様上の問題と考えられるので不良とは言えない範囲だとは思いますが、あまり音楽的に意図しない音色になってしまうので、気にせず使えるように改善を試みます。
回路上でバイパス音のルートとエフェクト音のルートが分岐した直後のオペアンプで、増幅率を少し低くすることでデジタル回路に入るときの信号が過大にならないようにしてみます。反転増幅回路なので増幅率は抵抗値の比、今回はR49/R48で決まります。当時のBOSSの技術の粋が詰まった表面実装基盤ですが、現在の最新モデルに比べてそこまで部品が混み合っているわけではないです。
色々と値を試してみて、最終的にR48を47kΩから220kΩへ,R49は22kΩのままとすることで、エフェクト音の歪みが気にならなくなりました。かわりにエフェクト音が元の状態に比べて少し小さくなりますが、balanceノブで調整可能な範囲に収めた結果この数値となりました。手をつけていない状態でもbalanceノブをセンターにすると結構エフェクト音が大きいので、そこの調整もついでにしたとも言えます。
改めて試奏してみて、やっぱり90年代のデジタルエフェクターらしい良い音です。チープな音と表現されることもありますが、時間が経って「あの世代に独特のあの音」として積極的に利用されるようになるといいですね。