見出し画像

JHSによるBOSS DS-1のモディファイ

いまや人気ブランドとなったJHS Pedalsですが、最初はBOSSのエフェクターの修理とモディファイから始まっています。ブランド開始初期にはカスタムメイドの改造を受け付けており、ハンドペイントの筐体にリケースするなどもしていたようです。その後定番のモディファイを代理店を通して販売していました。現在ではモディファイ品の取り扱いは全体的に終了していますが、代表的な過去のラインナップはメーカーサイトから閲覧できます。

BOSS、electro-harmonixなどが多いですが、DS-1にはJHS Pedalsを名乗る前、JHS Modsというステッカーが貼られている時代から作っていたLexi Driveと呼ばれるモディファイがあります。それに加えて、モディファイ終了まで扱っていたのがSynth Drive Modです。この辺りはJHSのYoutubeでしばしば語られています。

Synth Drive Modに施されている改造は、コンデンサの変更、サーキットベンディングの要領で回路中の複数箇所をショートするスイッチの増設、クリッピングダイオードの変更です。(改造の内容は時期によって異なる可能性があります。以下では2005年台湾の個体におけるパーツ番号を参照しています)

コンデンサの変更

  • C1を0.1μFに変更

  • 電解コンデンサC2、C8、C14を無極性の1μFに変更

  • C3、C11を0.047μFに変更

  • C5、C13を0.1μFに変更

回路ショートスイッチ

筐体側面から3つのトグルスイッチが飛び出しており、それぞれ中域が強調されたり、より強い歪みになってファズのように使えたり、自己発振したりします。回路上での各スイッチに関わる配線は下の図のようになっています。

SW1、SW2、SW3それぞれは上ポジションにすると回路図中での端子2と端子3が短絡します。
基板裏の配線はこんな感じ

クリッピングダイオード

  • D4を1N4140から1N4001に変更

  • D5を1N4140から2個直列の赤色LEDに変更(直列に二つ並んだLEDのうち一つがToneノブの近くから顔を出しているので、入力の音量に応じて光ります)

オペアンプ後段のダイオードが変更され、歪みのキャラクターが変わっています。なお、2017年頃から通常仕様のDS-1が表面実装基板に変更された後にも、BOSSのコンパクトエフェクター40周年記念モデルのDS-1-4Aはスルーホール基板を使い続けていたため、こちらのモデルを素体としたSynth Drive Mod Deluxeが作られました。DeluxeではクリッピングダイオードD5を{2個直列のLED、並列の1N4001+1N4003、ダイオードなし}の3種類から選択できるスイッチがコントロールノブ付近に追加されています。

実際のモディファイ個体を元にして、台湾製スルーホール基板の時期の通常のDS-1をSynth Drive Modにしてみました。よりハイクオリティのディストーションという方向性ではなく、アバンギャルドな音を出すために作っているという印象の音です。シンセで作った矩形波のような歪みになり、自己発振の音程はGainノブでコントロールできるため、ギターに限らずノイズマシン的にも使えます。筐体に穴を開けてもいい個体がある方はやってみてはいかがでしょうか。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?