「宗教2世」と「社会的カモフラージュ行動」について
私自身、宗教2世として育ち、その経験から公認心理師と社会福祉士の資格を取り、プライベートな時間を使い、同じ悩みを持つ方々のピアサポート的な支援を行っています。
今回はその経験を踏まえて、「宗教2世」と私たちが無意識に行っている「社会的カモフラージュ行動」について記事にしてみました。
宗教2世、特にカルト的な団体から離脱した人々が直面するのは、社会への適応です。私たちは、教団の中で「普通」とされることが、外の社会では全く異なるという現実に直面します。このギャップを埋めるために、私たちは「カモフラージュ」を学びます。カモフラージュは、時に自分を守るための必須のスキルとなりますが、同時に自分自身を失うリスクも孕んでいます。
「社会的カモフラージュ行動」とは?
これは、周囲の環境や社会に自分を合わせるために、自分の本当の思考や感情、経験を隠す行為です。教団内での生活では異端とされる、または理解されないであろう部分を、社会に出てからも隠し続ける。笑顔の裏で、深い孤独感や自己否定感と戦いながら。
私自身、社会復帰の際に「普通」のふりをしました。アルコールやギャンブルに逃避しながらも、表面上は「普通」の生活を。でも、それは本当の自分ではありませんでした。対人援助職として働く今、そして多くの宗教2世の方々とピアサポーターの立場で対話をさせていただいていますが、皆さん同じようにこのカモフラージュに疲弊しています。
なぜこの話をするのか
この話をするのは、宗教2世の方々が一人でも多く、そのカモフラージュから解放され、本当の自分で生きる道を見つけてほしいからです。また、社会全体にも理解を深めてもらい、宗教2世の当事者が安心して「素顔」でいられる環境を作るためです。
私たちに必要なこと
対話の場:
同じ経験をした者同士、または専門家との対話は、自己理解と回復への大きな一歩です。
社会の理解:
宗教2世が直面する困難について、教育やメディアを通じて知識を広めることが大切です。
支援システム:
心理的ケアだけでなく、社会生活への復帰をサポートするシステムが必要です。
カモフラージュを脱ぎ捨てることは、時に恐ろしく、痛みを伴います。
私自身は45歳まで「カモフラージュ」をして生きてきたことすら気付かずにいました。
自分の「カモフラージュ」に気付いてからは、自分の中にある「深くて複雑な傷つき体験」と「自分でも気づけなかった脆弱性」に向き合いながら、現在も「回復のらせん階段」と上っている途中です。
以上、宗教2世としての経験を踏まえ、社会的カモフラージュ行動について解説しました。
宗教2世の方々が直面する適応の困難さやカモフラージュのリスクについてご紹介しましたが、同じような悩みを持つ方々に対して、対話の場や社会の理解、支援システムの必要性を提唱しています。
この記事が宗教2世の方々の自己理解や回復に一歩でも役立ち、本当の自分で生きる道を見つけるお手伝いになれば幸いです。
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