「妹ブーム」研究・その9(97~99年ごろのエロゲの実妹に関する補足)
こちらの続きになります。
1997~1999年ごろ
90年代後半、みさきや乃絵美などの非攻略実妹に人気が出てからも、恋愛対象になる妹キャラの多くは、非血縁でした。
これについては、「道徳に反する題材をみだりにあつかわない」という社会的な配慮だけが理由ではなく、
……といった考察もあります。
とはいえ、この時期にも、恋愛相手として実妹を出す作品が皆無だったわけではありません。
てことで、この時期の実妹ゲーについても、少し触れておきます。
『な・い・しょ』
1997年の『な・い・しょ』は、14歳の実妹と相思相愛エンドがあるエロゲでした。
ただし、妹とのエッチシーンは、妹が失禁して途中終了という形で、本番描写は回避されています。
これについては、以前「ちゆ12歳」で紹介したので、詳しくはそちらをご参照ください。
『ポムポムプリてぃパフぇ』
基本的には、90年代のエロゲでも、実妹と両想いでハッピーエンドになれるモノはごく少数でした。
(『魅惑の調書』や『な・い・しょ』みたいなゲームは、そう多くなかったです)
たとえば、1998年の『ポムポムプリてぃパフぇ』は、兄ラブな実妹と2人暮らしなのに、攻略ルートは存在しませんでした。
『Piaキャロ』と同じように、ほかの女の子のエンディングの条件をすべて満たさなかった場合に、妹とのほのぼのエンドになりました。
『おねがい!蓮宝』
1998年の『おねがい!蓮宝』は、どんな相手でも強制的に脱衣麻雀ができる魔法を使って、ヒロインたちを脱がせるゲーム。
ヒロインのうち、終盤で告白した相手とエッチしてハッピーエンドになれるシステムでした。
そして、脱衣麻雀の対象キャラ5人の中には妹が入っているのですが、告白の選択肢は4人。
妹だけ、告白もHも不可能でした。
いちおう、だれにも告白しなくて妹の好感度が高かった場合、「家族さーびすよ」と妹がバスタオル1枚でいっしょにお風呂に入ってくれる妹エンドになるのですが、恋愛関係や肉体関係にはなれません。
『エクドラード』
1997年の『エクドラード』は、生徒会長・巨乳・実妹など、6人の女性と旅をする冒険もの。
終盤で告白した相手とエッチしてハッピーエンドになれるシステムですが、告白相手の選択肢は5人で、妹だけは告白もHも不可能でした。
いちおう、だれにも告白しなければ、妹がバスタオル1枚でいっしょに温泉に入ってくれる妹エンドになるのですが、ラブやHはありません。
と、そこまではよくある攻略できない実妹なのですが……。
このゲームでは、ラスボス戦に負けると妹が凌辱されるイベントがあって、「記念すべき初めての相手は実の兄になってもらうか」と、兄妹でセックスを強要されます。
(その後、輪姦される妹を見ながら主人公が消滅してゲームオーバー)
この子もお兄ちゃんが大好きなのですが、まともな妹ルートはなく、敗北バッドエンドでのみ関係を持てるという不憫なヤツでした。
(当時は、肉親どうしが積極的に求め合うのはダメだけど、無理矢理やらされるのはギリギリセーフ……みたいな判断があったらしいです)
当時のエロゲだと、実兄妹の本番描写は、あまり純粋なラブラブHシーンにならなくて、ダークな要素が絡みがちなのでした。
『不夜城』(98年)では、「自分に好意を寄せる女性を裏切ると興奮する」という性癖を持った鬼畜シスコン男が、自分の実妹を裏切って、笑顔で追い回して犯していました。
『眠れぬ夜に…』
1998年の『眠れぬ夜に…』も、闇が入ったシチュじゃないと妹と結ばれないゲームの例になります。
ストーリーは、他人の夢の中に侵入する話。
夢の中で心や体を犯された女性は、現実世界にも影響が出て、発狂したり痴女になったりします。
基本的に1本道のゲームですが、
「女友達を強く抱きしめて破裂させる」
といった選択をすると、ゲームオーバーになります。
それに、主人公の実妹が登場。
妹との関係は、最初は夢の中。
その影響が出て、現実の妹はオナニーがやめられなくなり、「手が止まらないの」「おに~ちゃんが…なんとかして」と迫ってきます。
そして、
「ずっと、好きだったの…。だから…だから… セックスしてっ!」
「夢の中ではあんなに… あんなにあたしのこと愛してくれたのに!」
という妹を受け入れて中出しすると、その後の展開は2通り。
自分のしたことを後悔した場合は、「そうだ… 行こう…。何もない安息の世界、寂滅の空間へ」と、主人公が植物人間になって終わります。
自分のしたことを後悔しなかった場合は、主人公は日常生活に戻ります。
そして、「いつもと変わらない朝だ」と目覚めると、いつものようにレイプ目の妹が起こしに来て、「あ、こんなになってる…このままじゃ学校行けないね」と朝フェラされて終わります。
ややメタな視点になりますが、「妹が起こしに来る」という定番の萌えシチュエーションがぶっ壊れて終わるというのがポイント高めでした。
『永遠の都』
そんなこんなで、近親相姦を肯定的に描くことは自重されがちで、その結果、実妹と本番セックスした主人公は死んだり狂ったりするという感じになっていました。
とはいえ、ある程度は近親相姦を肯定的に描いたエロゲも存在しており、そのひとつが、1998年10月の『永遠の都』でした。
エロゲの妹系ヒロインは、おおまかに3系統に大別できて……。
みゆき以降、漫画やゲームで雛形が確立された二次元妹(鳴沢唯)
みゆきの系譜がなくても成立するような、小説などで古くからあるタイプの近親もの(夢幻泡影や加奈)
「お兄ちゃん」と慕ってくる年下
『永遠の都』には、1・2・3の全部が登場します。
ざっと紹介してみると……。
まりこ(義妹・16~17歳)
親の再婚でできた主人公の義妹。
「体当たりで兄を起こす」「兄を旅行に誘い『えっちなこと』を期待」「兄とする日のためバナナで練習」など、テンプレ的な二次元妹でした。
夕紀(実妹・15~16歳)
主人公が旅先で出会って恋をする少女。
すぐに父親が同じだと判明しますが、主人公は半日ほど葛藤してから中出しセックスします。
その後、主人公の父はKという人だと思っていたのに、本当はMだったということが分かって、他人オチに。
……と思ったら、実は夕紀の父もKではなくMで、やっぱり実妹でした。
しかし、社会的には他人オチの時点で丸くおさまっており、すでに本人たちは覚悟完了していたので、実妹だけど後悔も心配もまったくないという幸せエンドを迎えるのでした。
ただ、これは「家族的な関係の相手と恋に落ちた」のではなく、「惹かれたのが、実は好きになってはいけない相手だった」という形です。
禁断の恋の物語としては古くからのパターンの一種(『赤い疑惑』などの連ドラや少女漫画に多数)なのですが、二次元エロゲ的な「妹との恋愛」の主流からは外れます。
美紀(他人・14~16歳)
主人公が旅先で出会う少女。血縁や戸籍関係はないけど、年上の主人公を「おにぃちゃん」と慕います。
成長が止まっているという設定で、見た目だけなら「10歳の女の子」「12歳以上には見えない」と作中で言われていました。
彼女は、自分で座薬を入れることもできなくて、
と、座薬挿入シーンが開始。
しかし、彼女のおしりの白さに興奮した主人公は、座薬を入れる場所が前だったか後ろだったかを忘却してしまいます。
……という感じで、この娘とも本番&恋人エンドが可能でした。
「妹ゲー」という話題で『永遠の都』を挙げる人はあまりいないと思いますが、90年代に実妹とセックスしてハッピーエンドになれるエロゲは、まあまあ希少です。
『コ・コ・ロ…』
そして、1998年12月の『コ・コ・ロ…』も、実の妹と幸せになれる作品でした。
このゲームの実妹には、兄を自分の友人とセックスさせて楽しむ性癖があります。
物語の冒頭でも、妹の親友とエッチした後に、実妹が現れて……。
「どうだった? あたし、見てて感じちゃった」「また、見せてよね。楽しみにしてるからね。あはは……きゃははははははは!」
その次の夜。
眠りに就いた主人公は、昔の夢を見ました。
それは、はじめて妹とセックスしたときの夢です。
実は、この兄妹は、ずっと以前からセフレのような関係なのでした。
その次の夜。
眠りに就いた主人公は、母親の性玩具にされていたころの夢を見ます。
幼い主人公は、「気合い入れてしゃぶんなよ。ここから、あんたがひり出されたんだからね」と実母に奉仕させられていたのでした。
その次の夜。
眠りに就いた主人公は、はじめて父親に犯されたときの夢を見ます。
幼い主人公がアナルに挿入されて嫌がると、「なんのために、お前を育ててやってると思ってるんだ」と実父に説教されたのでした。
そんな夢を見ながら毎日妹とエッチしていると、妹ルートのフラグが立ちます。
そうしてお互いの気持ちを確認すると、主人公は「結婚式でも、あげるか」と提案。
ウエディングドレスの妹とHすると、「エンディングナンバー24 インモラルウェディング」と表示されて終わりました。
と、なんていうかそういうゲームで、ほかには、次のようなエンディングがありました。
で、それがさすがにやりすぎだったらしく、ソフ倫が『コ・コ・ロ…』を販売禁止・回収処分にする騒動になりました。
ソフ倫の改訂
この当時、ソフ倫の倫理規程は、
「近親相姦をいたずらに表現した作品は制作しない」でした。
ところが、『コ・コ・ロ…』の回収騒動を受けて、ソフ倫の規程が改訂。
「近親相姦はその行為を描写した作品を制作しない」
と、1999年10月から近親相姦が全面禁止になったのでした。
そんな感じで、2000年~2002年ごろ、流通するエロゲに実妹とのセックスが禁じられた期間が生まれたのでした。
『ねこぱら』
てことで、『コ・コ・ロ…』の回収騒動のあとは、近親相姦ネタはだいぶ自粛されました。
たとえば、1999年4月の『ねこぱら』は、実妹が攻略可能だけど、本番はナシのパターンになります。
最後は告白して両想いになり、
と、妹と旅立つエンディングでした。
『YOU&I』
1999年6月の『YOU&I』は、妹が攻略できるゲームですが、本当は実妹じゃなかったオチになります。
全裸の実妹を前にして、
「違和感もなければ、不道徳感もなかった。愛し合う者同士が求め合うのはごく自然な出来事なんだから」
と、ついに結ばれようとしたそのとき……!
「何かが脳裏を横切る」
「今、何かを思い出そうとした…」
と、主人公が失神。
次に目が覚めると病院のベッドの上で、「俺は長い夢を見てたらしい」。
実は、これまでの物語はすべて夢で、現実では、彼女は妹ではなく赤の他人だったのでした。
そして、現実では「お兄ちゃん」と呼んでくれない彼女とHして、円満な恋人エンドを迎えるのでした。
と、「妹か彼女か二者択一」の価値観は根強いのでした。
『YOU & I』のバッドエンド
なお、主人公が誰とも結ばれずに終わった場合にも、エンディングに妹が登場。
バッドエンドでは、妹に彼氏ができたと紹介されて、さらなる絶望に叩き落されるのでした。
『幻魔戦記レクシオン』
あと、1999年10月の『幻魔戦記レクシオン』では、物語の終盤、主人公の義妹だと思っていたヒロインが、本当は実母だったと判明します。
これについては、過去に「ちゆ12歳」に書いたので、詳細はそちらで。
たぶん、1999年10月にソフ倫の規定が変わる直前ギリギリに通したと思われます。
『コ・コ・ロ…』の件で自重ムードになっている中で、実母を孕ませて結婚するゲームを出したのは凄かったです。
『メモリーズ~夏色の季節~』のこと
2000年3月の『メモリーズ』も、「近親相姦を描写した」などの理由でソフ倫が回収を指示しました。
制作側は、実は義妹という設定だからセーフと考えていたようです。
ただ、それが明かされるのは、一部のルートの最後だけ。
30以上あるエロシーンの全部で、本人は自分たちが血縁関係だと認識していたというのが、ソフ倫としてはアウト判定だったようです。
ソフ倫がこれを認めなかったことで、設定だけ「義理」にしておけば良いという解釈は否定されました。
以下に続きます。
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ちゆ12歳のオタク日記
芸歴20年、ネットアイドルちゆ12歳のエッセイです。サイトやツイッターに書けないこと、読んだ漫画のレビュー、アニメの感想、最近思ったこと、…
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