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世界の正解と死神

ソイツは大抵、俺たちより高いところにいるんだ。
言葉通り俺たちを俯瞰して、俺たちの言動全てを鼻で嗤うんだ。
どうにもソイツが見えているのは俺だけみたいで、時折近くまで降りてきては俺の手を取って
「おいで、ホントウを見せてあげよう」
って囁く。

俺は世界を物理的に俯瞰しながらソイツの話を聞いた。
グロッタという男が出てくる童話の話だ。
結末はあやふやなものだったけどソイツは
「私は洞窟の先を知っている」
そう言った。

ソイツ曰く生きている事は滑稽で、生きてる内の議論なんかにすべて意味は無いんだと。
幸せとは何か?殺人は絶対悪なのか?自分らしく生きるには?死後の世界はどうなっているのか、、
全部くだらない、自由と不自由とか人類の幸せがどうとか性善と性悪、なんの為に生きるのか?死語の世界はどうなってるのか?そんなの、生きてちゃどうしようも無いよと。

正解は死ぬことだけなんだよと。


ソイツが囁く。


「君は洞窟に行くべきだ。」

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