にせもの

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にせもの

本読む人。 http://blog.livedoor.jp/s_nisemono/ から引っ越してきました。

最近の記事

宮澤伊織「裏世界ピクニック 8」

「知ってる? 共犯者って、この世で最も親密な関係なんだって」……裏世界の中、鳥子が出逢ったばかりの空魚へ投げかけた言葉。あれから一年あまり。因縁の閏間冴月の危機が去った今、空魚には向き合わなければいけない感情があった。鳥子からの本気の告白、返事までの期限は1週間。空魚は周囲や自身と対話を重ねながら、積み重ねてきた鳥子との関係性を少しずつ捉え直していくがーー?怪異探検サバイバル、2人の佳境 (以上、裏表紙より)    * * * アニメ化もしてるんで多くは語るまい。 人気の

    • ベルンハルト・シュリンク「オルガ」

      クレスト・ブックスっていうか外国文学って高いんですよ。 現行の物価感覚についていけてないんでちょっと以前の実感で言うけど、ハードカバーの日本文学が1,300円とか1,400円なのに対して外国文学だと軽く2,000円は超えてたからね。 本当ならぜひとも新刊で購入して、いつもまだ見ぬ素晴らしい世界へ連れてってくれる作家先生たちに感謝と応援の意を示すべきなんだろうけど、毎度毎度それをやっていたら自分は早晩破産する。 愛する作家先生たちに等しく金で感謝を還元できない貧乏人で本当に不甲

      • 澤村伊智「怖ガラセ屋サン」

        「人間が一番怖い人も」 怪談ネタを蒐集する職場の後輩を家に呼んだばっかりに表題。 「救済と恐怖と」 霊感商法にはまる母親。昏い目で見守るしかできない幼い娘。まさかこうくるとはっていう展開。 「子供の世界で」 いじめに加担したばっかりに追い詰められていく。未必の故意なんでちょっとかわいそう。 「怪談ライブにて」 文字通りのライブ感が文面から伝わってくる。怪異の臨場感を味わえる一篇。 「恐怖とは」 車内の密室。男と女。緊迫した会話劇。やべー人はどっちだ。否どっちもやべーわ

        • 澤村伊智「さえづちの眼」

          「わたしは人じゃないの。強いて言うなら”さえづち”かしら」郊外にある架守家では不穏な出来事が続いていた。短期間で入れ替わる家政婦、廊下に響く何かの這いまわる音、深夜に現れる赤い目。やがて架守家の一人娘・冴子が失踪し、数十年後には当主が「アカイ、メ」と言い残して死ぬ。 架守家への祟りを鎮めるために依頼された霊能者は、比嘉琴子と名乗りーー書き下ろしの表題作ほか2篇を収録した、比嘉姉妹シリーズ初の中篇集! (以上、裏表紙より)    * * * 「母と」 児童保護施設に現れる怪

        宮澤伊織「裏世界ピクニック 8」

          アントワーヌ・ローラン「赤いモレスキンの女」

          本とか図書館とかがきっかけでお話が始まり出すとわくわくしてくるこの感覚、本が好きな人ならわかるよね(なんでだろうね)? ここに出てくるのは手帳なんだけども、誰かの紡いだ物語が書いてあったりするのかな~って思い込んで手に取ってみた。 結論から言うと手帳の中身はただの個人的な感想の断片の書きつけに過ぎなかった。 けど、それでも人のプライバシーにこっそり触れる愉悦、ほのかな背徳感。それはそれで心地良い。 「拾得物を届けるため」という大義名分があるにせよ、ローランと一緒に後ろめたさを

          アントワーヌ・ローラン「赤いモレスキンの女」

          ブライアン・エヴンソン「遁走状態」

          前妻と前々妻に追われる元夫。見えない箱に眠りを奪われる女。勝手に喋る舌を止められない老教授。ニセの救世主。「私」は気づけばもう「私」ではなく、日常は彼方に遁走するーー。奇想天外なのにどこまでも醒め、滑稽でいながら切実な恐怖に満ちた、19の物語。幻想と覚醒が織りなす、脅威の短編集。 (以上、カバー折り返しより) 「どこまでも醒めた、19の悪夢。  謎と恐怖は何度も甦り、そのたびに容貌を変える。  終わりなく続く遁走曲(フーガ)のように。  ホラーも純文学も超える、脅威の短編集

          ブライアン・エヴンソン「遁走状態」

          ミランダ・ジュライ「最初の悪い男」

          43歳独身のシェリルは職場の年上男に片思いしながら、孤独な箱庭的小宇宙からなる快適生活を謳歌。9歳のときに出会い生き別れとなった運命の赤ん坊、クベルコ・ボンディとの再会を夢見る妄想がちな日々は、上司の娘が転がり込んできたことにより一変。衛生観念ゼロ、美人で巨乳で足の臭い20歳のクリーだ。水と油のふたりの共同生活が臨界点をむかえたときーー。幾重にもからみあった人々の網の目がこの世に紡ぎ出した奇跡。ミランダ・ジュライ、待望の初長編。 (以上、カバー折り返しより)    * * 

          ミランダ・ジュライ「最初の悪い男」