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ギリシャの猫たち⑤
四日目の夜。手頃なお店で食事を済ませた帰り道。
人気のない雑居ビルの入り口にも猫がいた。
入り口に大理石を敷いてあるのがなんともギリシャらしい。
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五日目、パリへ帰る日。午前中は時間があったので最後の朝の散歩へ。
ザッペイオンガーデンのあたりを彷徨く。
すると、人からご飯を貰っている雰囲気の猫が寄ってくる。
残念ながら何もあげるものがないので、ひと撫でしてごめんねを伝える。
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宿に戻る途中、ブランチをする人々の喧騒の中、昼寝する猫がいた。
街の至る所にある小さな遺跡は猫たちの溜まり場だ。
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空港へ向かうバスの中。
新しい街に来ると、また来ることがあるだろうかと考える。
当時の心境としてはこの街はなんとなく縁がないような気がした。
しかし、時間が経った今は懐かしいという感情に変わっている。
そして、いつの間にか知っている街になっていて、また縁があるだろうなと思えている。
時間が街との縁を縮めてくれたのかもしれない。
目を閉じると街の記憶は今も鮮やかに思い出すことができる。
友との再会も近いだろうか。そしてあの街の猫たちとも会うのかもしれない。