器の旅をする理由。
1週間で800キロほどレンタカーで移動しながら
岡山県・備前焼
山口県・萩焼
佐賀県・唐津/伊万里/有田
長崎県・波佐見焼
と回ってきました。
飲食人として陶器・磁器・釉薬や産地など、勉強したからといって直接売り上げに影響はない。
ボクは器に対して素人です。
土地を訪ねて土を見ても、窯を見ても、別に成長するわけではない。
前もって入れて行った2次元の情報を、ひとつでも3次元になればいいなぁってくらい。
だから、別に行かなくても問題ない。
フランス料理をやってる人がフランスに行ってなくてもいい。
ワイン畑を見たって、作り手回ったってソムリエの能力が上がるわけじゃない。
だから、窯に行っても器を見る力が上がるわけじゃない。
器は割れる。
人間国宝が作ろうが、国宝の器だろうが落とせば割れる。
1億!って思えば持つのは怖い。
レストランは器を扱う。
ぶつけたら欠けて、落としたら割れる。
家庭でも同じこと。
「その器、高いんだから大事に扱え」
「有名な人が作ったんだから気をつけろ」
昔から言われても、正直ピンとこなかった。
出来れば使わないでくれって思ってた。
そんなボクが作ったTIRPSEの器は、ボクがデザインして小石原焼の森山寛二郎くんと共に作っていた。
各器にストーリーやコンセプトがあり、作り手とコミュニケーションをとり、試作を繰り返して生まれた器には愛情を感じていた。
産地を訪問する・器を作る人に会うことで、変わることはここ。
「この土地から」「この人」から、器が届いている。
という気持ちを持つことは「値段」や「先輩のプレッシャー」なんかよりも器を大切にしようという気持ちが自分から湧いてくる。
飲食店で働いていたら、そんな簡単に休みを取って地方に行くことは時間的にも金額的にも難しい。
森山くんはウチにも食事に来てくれていた。
だから「器を大切にしろ」と言葉を使うんではなく、その思いのきっかけみたいな事を自分のスタッフにもシェアしたかった。
そして、たくさんの産地や器に触れる事で「好み」が出てくる。
もっといい器を知りたいと思い、作品展や美術館に行くようにもなる。
その中で出会いや繋がりが出来て、より深く見る機会に会うことができる。
高いものがいいとは思わない。
けど「いい!」って思ったものはだいたい高い(笑)
産地に行くと、本やネット、オンラインショップに載ることができなかったような、曲がったりゆがんだり、色のまばらになった器があったりする。
金額で言えば、マシンメイドのブランド品よりも低いと思うけど、自分用のマグカップや小皿なればとても価値が高くて幸せなアイテムになったりする。
自分の知識の糧にもなって、人に素晴らしさを伝えることもできて、自分用の幸せアイテムもゲットできるなら、6時に羽田空港に行くことも眠気に襲われる運転も、この奥に人住んでるのか?って山道も何の辛さもないワケです。
他にも器の産地はたくさんある。作家さんもたくさんいる。
木・ガラス・金属・錫など器の原料はまだまだある。
まだまだ器の旅をする理由がありそうだ
つづく。