野球マンガの金字塔『あぶさん』 景浦安武という魅力①
さて顔はともかく、あぶさんはとってもクールな野球人です。始終二日酔いだったりしますが、いつも真面目に、厳しく野球に取り組みます。
時にはチームメイトにもその厳しさを向けます。最たるものが義弟のプロ野球選手・小林満。彼がオフシーズンに遊び呆けている時。
実家の前で昭和的な活を入れます。今なら問題になりそうですが、これを受けて満も頭を坊主にするなど、わかりやすく体育会系な行動を取ります。あ、ちなみに僕は中日ドラゴンズのファンです。
またこの姿勢はメジャーリーガーを相手にしても同じ。例えば、試合前に酒を飲んでいるあぶさんに、メジャーリーガー達が「意識が足りない」と怒ります。
しかし、それに対してあぶさんはこの態度。
正直、酒しぶきは唾と比較にならないほどグラウンドを汚しているのでは? と思わなくもないですが、とにかく確固たるプロ意識を持つのは間違いありません。
一方で、あぶさんも性格的にはかなりマイペースな所があります。そのため時には、とってもユーモラスな姿を見せることも。例えば、家族に噂されている時。
この特大のクシャミです。「ファックション」ってクシャミ、マンガで始めて見たかもしれん。
さらにテニスクラブのコーチから、スポーツに打ち込む姿をメンバーに見せて欲しいといわれた時。
ラケットに酒飛沫を浴びせ、ヘトヘトになりながらも闘志溢れるプレーを見せつけます。おう、でもそのラケット、借りものだぞ。
また意外にお茶目な所を見られるのが、産まれたばかりの息子「景虎」の名前を発表するシーン。
大虎の店の通路に丸められた布と、それにくくりつけたボール。それに向けてあぶさんがスイング。
名前が発表になります。大虎のメンバーは普通に感想を述べます。が、正直、あぶさん自らこれを手作りしてお店まで持ってきた点の方が大分面白い気がしますね。やっぱり前日とかウキウキやったんやろうなぁ……。
そして想像力もとっても豊か。例えば落合博満とのホームラン王争いするシーズン中、ライトを守っていたあぶさんに、落合がバットを向けます。
すると巨大な「挑戦状」をグイっと向ける姿が! そして落合はあぶさんの守るレフトに向かって、ホームランを打ち込むのでした。
ここらへんの描写は水島先生らしい良さがありますね。落合はあぶさんの中盤のライバルとして、ちょくちょく出てきますので、また紹介したい所ですね。