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混雑した既存のインターネットの光ファイバーで量子テレポーテーションに成功 ノースウェスタン大学
米国ノースウェスタン大学の研究チームが、既存のインターネット通信に使用されている光ファイバーケーブル上で、量子テレポーテーションを初めて実証しました。この成果は、量子通信と従来のインターネットインフラの統合に向けた重要な一歩となります。
量子テレポーテーションは、量子もつれと呼ばれる現象を利用して、情報を物理的な移動なしに遠隔地へ転送する技術です。具体的には、2つの粒子が量子もつれ状態にあると、一方の状態が瞬時に他方に影響を与えることが可能となります。これにより、情報を高速かつ安全に伝送できると期待されています。
従来、量子通信には専用のインフラが必要と考えられていました。しかし、今回の研究では、既存のインターネット通信に使用されている光ファイバーケーブル上で量子テレポーテーションを実現しました。これにより、新たなインフラを構築することなく、量子通信技術を既存のネットワークに統合できる可能性が示されました。
光ファイバーケーブルは、既に大量のデータ通信に使用されており、量子情報を伝送する際には干渉やノイズが問題となります。研究チームは、光の波長を工夫し、混雑の少ない波長帯を選択することで、これらの問題を回避しました。さらに、特殊なフィルターを追加することで、通常のインターネット通信によるノイズを低減し、量子情報の正確な伝送を可能にしました。
30キロメートルの光ファイバーケーブルを使用した実験では、通常のインターネット通信が行われている中で、量子情報の伝送に成功しました。ただし、現時点で約10%のエラーレートが報告されており、さらなる精度向上が求められています。今後、研究チームはより長距離での実験や、地下に敷設された光ファイバーケーブルを使用した実験を計画しています。
量子テレポーテーション技術の発展により、将来的には量子インターネットの実現が期待されています。量子インターネットは、従来のインターネットと比較して、以下のような利点があります。
高速通信: 量子もつれを利用することで、情報伝達速度が光速に近づき、遅延の少ない通信が可能となります。
高いセキュリティ: 量子暗号技術により、盗聴や改ざんが極めて困難な通信が実現します。
新たな計算能力: 量子コンピュータ同士のネットワーク化により、複雑な問題の高速解決が可能となります。
今回の研究成果は、これらの未来像に向けた重要なステップであり、量子通信と従来のインターネットの融合が現実味を帯びてきました。今後の技術革新と実用化に向けた研究の進展が期待されます。
詳細内容は、ノースウェスタン大学が提供する元記事を参照してください。
【引用元】
【読み上げ】
VOICEVOX 四国めたん/No.7