人間とパン酵母のDNA複製メカニズムの驚くべき共通点が明らかに ヴァン・アンデル研究所とロックフェラー大学
私たち人間とパン酵母、一見まったく異なる存在のように思えますが、実はDNA複製のメカニズムにおいて驚くほどの共通点があります。最近発表された二つの研究は、このメカニズムに関する新たな知見をもたらし、人間とパン酵母の間の進化的なつながりを明らかにしました。
DNA複製は生命の基本的なプロセスであり、正確な遺伝情報の伝達には欠かせません。しかし、このプロセスが失敗すると、癌をはじめとする多くの病気が引き起こされる可能性があります。今回の研究では、DNA複製における「クランプ」を取り付ける複合体の構造と機能に焦点を当てました。
研究チームは、高性能のクライオ電子顕微鏡を用いて、クランプローダーと呼ばれる分子複合体の詳細な構造を初めて可視化しました。人間およびパン酵母でCTF18-RFCと呼ばれるこの複合体は、DNAの複製機構がDNA鎖から離れないようにする「クランプ」を装着する役割を果たします。
DNA複製は、DNAの二重らせんをほどいて二つの鎖を作ることから始まります。次に、これらの鎖に新しいDNAの半分を組み立てる「分子建設クルー」が働きます。この作業の大部分はポリメラーゼという酵素によって行われますが、ポリメラーゼは単独ではDNA鎖に留まるのが苦手です。そこで、クランプローダーが重要な役割を果たします。
この研究により、人間とパン酵母のDNA複製機構の進化的なつながりが明らかになり、パン酵母が遺伝学の研究において強力なモデルであることが再確認されました。また、この発見はDNA複製に関連する健康状態の理解を深め、将来的には治療法の開発につながる可能性があります。
人間とパン酵母のDNA複製のメカニズムには多くの共通点があり、これらの発見は生命の基本的なプロセスの理解を深めるとともに、医学研究における新たな道を開くものです。今後もさらなる研究が進むことで、DNA複製に関する新たな知見が得られることが期待されます。
本研究は、ヴァン・アンデル研究所とロックフェラー大学の共同研究チームによって行われ、国立衛生研究所(NIH)やハワード・ヒューズ医学研究所(HHMI)からの支援を受けています。
詳細内容は、ヴァン・アンデル研究所が提供する元記事を参照してください。
【引用元】
【読み上げ】
VOICEVOX 四国めたん/No.7
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