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ナノスケールで織りなす「量子もつれ」の奇跡、次世代テクノロジーを革新する新たな一歩 コロンビア大学
量子力学の世界では量子もつれと呼ばれる現象が注目を集めています。これは、二つの粒子が空間的に離れていても互いに関連付けられた状態を保つという現象です。理論物理学の深奥で語られるこの現象は、SFのように思えるかもしれません。しかし、コロンビア大学の研究者たちは、この不思議な現象を活用して、技術的な進化を促す画期的な研究に成功しました。
これまで、量子もつれを生成するにはマクロサイズの大きな結晶が必要でした。しかし、コロンビア大学の研究チームは、ナノスケールという極小の領域で量子もつれを生成する方法を確立しました。この成果は、量子コンピュータや量子通信といった次世代技術の進化において、大きな可能性を切り開くものです。
研究チームは、厚さわずか3.4マイクロメートルのデバイスを利用して量子もつれを実現しました。このデバイスは、シリコンチップ上に組み込むことができ、エネルギー効率の向上を実現するとともに、量子技術全体の性能を飛躍的に向上させます。
この成果の鍵となるのは、光の非線形性を活用した設計です。非線形光学とは、光が特定の条件下で通常とは異なる挙動を示す現象のことです。今回の研究では、特に光子対を生成するプロセスが注目されており、この生成過程が極小サイズのデバイス内で効率的に行われることが確認されました。
研究に参加したP. James Schuck准教授は、「ナノスケールの光学デバイスで量子もつれを生成することは、マクロとミクロの間を橋渡しする重要なステップです」と述べています。彼の言葉からも、この研究が科学と技術の両面で大きな意味を持つことが分かります。
ナノスケールでの量子もつれ生成技術は、通信技術や量子情報処理、さらには量子インターネットの実現にも寄与する可能性があります。例えば、量子鍵配送という高度な暗号技術が、より効率的かつスケーラブルに実現されることが期待されています。
さらに、今回の成果は従来のデバイスのサイズやコストに関する制約を大きく緩和する可能性があります。これにより、量子技術がより広く普及し、私たちの生活に直接的な影響を及ぼす日も近いかもしれません。
コロンビア大学の研究チームの成果は、量子技術の発展における新たな幕開けを告げるものです。量子もつれの生成をナノスケールで実現することで、量子力学の神秘を解き明かすだけでなく、それを実際の技術に応用する道が大きく開かれました。
詳細内容は、コロンビア大学が提供する元記事を参照してください。
【引用元】
https://www.engineering.columbia.edu/about/news/engineering-quantum-entanglement-nanoscale
【読み上げ】
VOICEVOX 四国めたん/No.7