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赤い光にさらされると止まるハエを作成、脳の停止メカニズムを解明 マックス・プランク・フロリダ神経科学研究所

日常生活で、私たちは無意識のうちに「停止」する動作を繰り返しています。例えば、歩いている途中で立ち止まる、食事中に手を止めるなど。しかし、この「停止」という動作がどのように脳で制御されているのかは、長い間謎に包まれていました。今回、マックス・プランク・フロリダ神経科学研究所の科学者たちが、ショウジョウバエを用いてこの謎を解明することに成功しました。

この研究は、ショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)をモデル生物として使用しました。ショウジョウバエは、神経系がシンプルでありながらも、人間を含む他の動物と多くの共通点を持つため、神経科学の研究において非常に有用です。研究チームは、特定の神経細胞を光で活性化する「オプトジェネティクス」という技術を用いて、ハエの動きを制御しました。

研究者たちは、赤い光を当てることで特定の神経細胞を活性化し、ハエが歩行を停止する様子を観察しました。この実験により、3種類の神経細胞が停止動作に関与していることが明らかになりました。それぞれの神経細胞は異なる方法でハエの動きを制御しており、これにより停止動作が実現されます。

1.フォックスグローブ(Foxglove)ニューロン:この神経細胞は、前進歩行を抑制する役割を果たします。赤い光を当てると、ハエは前進を停止し、その場に留まります。
2.ブルーベル(Bluebell)ニューロン:この神経細胞は、方向転換を抑制します。光を当てることで、ハエは方向転換をやめ、直進を続けるか停止します。
3.ブレーキ(Brake)ニューロン:この神経細胞は、すべての歩行指令を上書きし、脚の関節の抵抗を強化します。これにより、ハエは完全に動きを停止します。

この研究は、停止動作が単純な行動ではなく、複数の神経メカニズムが関与する複雑なプロセスであることを示しています。さらに、この発見は、他の動物や人間の脳における停止メカニズムの理解にもつながる可能性があります。例えば、パーキンソン病や他の運動障害の治療において、新たなアプローチが開発されるかもしれません。

研究チームは、今後さらに詳細なメカニズムの解明を進める予定です。特に、これらの神経細胞がどのように相互作用し、環境の変化に応じてどのように動作を調整するのかを明らかにすることが目標です。また、この研究成果を基に、他の動物モデルや人間に応用することで、より広範な理解と治療法の開発が期待されます。

詳細内容は、マックス・プランク・フロリダ神経科学研究所が提供する元記事を参照してください。

【引用元】

【読み上げ】
VOICEVOX 四国めたん/No.7

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