2019年に月面着陸に失敗したイスラエルの探査機に搭載されていたクマムシが月で生存している可能性あり!?
Science Alertの記事より、
2019年2月、民間初の月面軟着陸を目指してイスラエルの探査機「ベレシート」が打ち上げられました。この探査機には、過酷な環境でも生き延びることで有名なクマムシが搭載されていました。クマムシは月を汚染してしまったのでしょうか?
クマムシは体長1ミリにも満たない、顕微鏡でしか見えない動物です。水中で生活するのが一般的ですが、実はあらゆる環境に生息しています。乾燥すると活動を停止し、体内の水分を最大95%まで失うこともできます。
この状態は「クリプトビオシス」と呼ばれ、宇宙空間のような極低温 (-272℃) や高温 (150℃) にも耐えることができます。しかし、復活できるのは一部の個体に限られ、放射線への耐性も種によって異なります。
ベレシートは着陸に失敗し、高速で月面に衝突しました。衝撃で壊れた可能性が高いですが、クマムシの一部は生き残ったのでしょうか?
実験では、真空状態で時速3,000kmで衝突したクマムシは死亡しましたが、2,600km以下であれば耐えられることがわかっています。ベレシートの衝突速度はこれよりも遅かったため、可能性はゼロではありません。
しかし、月面は太陽粒子や宇宙線に常にさらされており、特にガンマ線への耐性が重要です。ドイツの研究チームによると、月のガンマ線量は低く、10年間の被曝でも1Gy程度とされています。これはクマムシが耐えられる範囲内です。
しかし、クマムシが活動再開するには、致命的な問題が他にもあります。月には液状の水がなく、昼は100~120℃、夜は-170~-190℃と、極端な温度変化が起こります。また、餌となる微生物も存在しません。
したがって、クマムシが活動を再開し、繁殖することは不可能です。しかし、休眠状態のクマムシが月面に存在することは、宇宙空間の汚染という観点から倫理的な問題を提起します。今後、宇宙開発が進むにつれ、地球外生命の発見を妨げるおそれが出てくるからです。
クマムシの月旅行は、生命の強さと限界、そして宇宙開発に伴う倫理的課題を教えてくれました。
詳細内容は、Science Alertが提供する元記事を参照してください。
【引用元】
【読み上げ】
VOICEVOX 四国めたん/No.7