見出し画像

新発見!学習と記憶の鍵を握る脳内メカニズムの解明 コロラド大学

2025年1月21日、Journal of Neuroscience誌に掲載された最新の研究により、神経細胞が末端から核へ重要な情報を伝達し、学習や記憶に必要な遺伝子を活性化する仕組みが明らかになりました。

この研究では、神経細胞間のシナプス活動が、脳内で長期的な変化を引き起こすために必要な遺伝子の発現とどのように連携しているかが解明され、記憶形成の分子プロセスに関する重要な洞察が提供されました。

コロラド大学アンシュッツ医療キャンパスの薬理学教授であり、本研究の上級著者であるマーク・デルアクア氏は、「これらの発見は、局所的なシナプス活動と学習や記憶に必要な広範な遺伝子発現の変化を結びつける重要なメカニズムを明らかにしています。このリレーシステムの理解は、脳機能に関する知識を深めるだけでなく、認知障害の治療法の開発にも貢献するでしょう」と述べています。

神経細胞の核、すなわちニューロンの機能を修飾する遺伝子が制御される場所は、シナプスから遠く離れた位置にあります。シナプスは、樹木の枝のように広がる樹状突起の先端に位置し、そこで他の神経細胞からの入力を受け取ります。

本研究では、cAMP応答元素結合タンパク質(CREB)に焦点が当てられました。CREBは、シナプスでの動的変化に重要な遺伝子を調節する転写因子として知られています。

しかし、神経活動中にCREBがどのように活性化されるかについては、これまで明確ではありませんでした。

デルアクア氏の研究グループの大学院生であるカトリン・ゼント氏は、高度な顕微鏡技術を用いて、受容体とイオンチャネルの活性化がカルシウムシグナルを生成し、遠隔の樹状突起のシナプスからニューロンの細胞体にある核へ迅速に情報を伝達する重要なリレー機構を明らかにしました。

デルアクア氏は、「今後、この研究により、これらの経路がさまざまな疾患状態でどのように利用されているかをより詳しく調べることが可能になるでしょう」と述べています。

この研究は、神経細胞のシナプス活動と遺伝子発現の連携メカニズムを解明し、学習や記憶の基盤となる脳の可塑性と適応性を支える仕組みを理解する上で重要な一歩となりました。

さらに、この知見は、認知障害や神経変性疾患の治療法開発に向けた新たな道を開く可能性があります。

脳の複雑な情報伝達システムの理解が深まることで、将来的には、学習能力の向上や記憶力の強化、さらには認知機能の低下を防ぐための効果的な戦略が開発されることが期待されています。

詳細内容は、コロラド大学が提供する元記事を参照してください。

【引用元】

【読み上げ】
VOICEVOX 四国めたん/No.7

いいなと思ったら応援しよう!