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バクテリアの「記憶」が次世代に継承される新発見、DNAに頼らない遺伝の謎に迫る ノースウェスタン大学&テキサス大学

近年の研究により、バクテリア細胞が一時的なストレスや環境変化を「記憶」し、その記憶を遺伝的に次世代に継承することが明らかになりました。従来の遺伝学では、形質はDNAによってのみ伝わるとされてきましたが、今回の発見はこの定説を覆すものです。

研究は、ノースウェスタン大学とテキサス大学サウスウェスタン医療センターの共同チームによって行われ、モデル生物である大腸菌(E. coli)を使用して行われました。研究チームは、細胞内の一時的な遺伝子の不活性化が、その後の世代に長期間影響を与えることを発見しました。つまり、細胞の遺伝子調節ネットワークが、DNA以外の情報を伝達する手段として機能しているのです。

この「記憶」の伝達は、細胞内での遺伝子同士の相互作用によって起こるとされ、一つの遺伝子の変化が他の遺伝子にも影響を与えることがわかりました。さらに、この現象は、特定の遺伝子を一時的に不活性化させること以外にも、環境要因(温度、栄養素の供給、pHなど)の変化でも引き起こされる可能性があると示唆されています。

この発見は、医学やバイオテクノロジーの分野での応用も期待されています。例えば、抗生物質耐性を持つ病原菌に対して、その遺伝子ネットワークに微妙な変化を加えることで、次世代の病原菌が治療に対してより敏感になるようにすることが可能になるかもしれません。

この研究は、より複雑な生物にも同様の非遺伝的な継承が起こり得る可能性を示唆しており、今後の研究が期待されます。バクテリアの単純な遺伝子ネットワークが、このような「記憶」を保持する能力を持つことが確認されたことで、今後他の生物や人間における非遺伝的な形質継承のメカニズム解明に一歩近づいたといえるでしょう。

この研究成果は、米国科学財団の支援を受け、2024年8月28日に学術誌「Science Advances」に掲載されました。

詳細内容は、ノースウェスタン大学が提供する元記事を参照してください。

【引用元】

【読み上げ】
VOICEVOX 四国めたん/No.7


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