この小説とこの曲めちゃくちゃ合う!をいくつか選んでみた。
Fight clubという傑作映画がある。この映画には、"Where is my mind"という80年代後半のちょっとマニアックな曲が使われているのだが、これが素晴らしい相性で、この映画の格を何倍にも引き上げていると個人的に感じる。The batmanの冒頭部分でも、"Some thing in the way"というこれまたマニアックな曲が使用され、最高の演出となっていた。
映画には音楽が必ず付随するが、残念ながら小説は音楽の力を借りることはできない。しかし映画と同じように、その小説に合う音楽というのが必ず存在し、それを発見したあとの、二つの世界観がリンクした時の感動ったらない。次、その音楽を聴けば必ずその小説のことが浮かんでしまうし、小説を読めば自然とその音楽が流れてきてよりエモーショナルな体験ができる。そこで今回はその小説に合う音楽をセレクトしてみた。小説も音楽も素晴らしいものばかりなので、知らないものがあったら是非試してみてください!
三日間の幸福✖️花に亡霊
帯その他仰々しいプロモーション一切抜きにも関わらず重版の嵐を巻き起こしているこの小説に近い世界観を歌っているのはやはりヨルシカだろう。
所謂バンプ世代のこの両者は一回対談してるため、ご存知の方も多いのでは?この二つの作品は、リア充な夏から外れた、”日陰を歩む系の夏”という点で共通する。(三秋縋はこれをサマーコンプレックスと呼んでいる)
ただヨルシカは三秋作品と比べれば、まだ具体的な事件が起こっていない感じがある。一言で言うと絶望と切なさが薄い。二人の共通項とも言えるBumpも合わせてどうぞ。
青の炎✖️Rainy Days And Mondays
日本最強のエンターテイメント作家貴志祐介が書く泣き小説。特に主人公が途方もない喪失感に陥るあの雨のシーンが印象的。このシーンにぴったりなのがこの曲。雨を題材にした曲は沢山あるが、あの少し憂鬱な気分をここまで上手く表現できているのはこれ以外知らない。
人間失格✖️Losing My Religion
人間失格は破滅の道を辿る男の話だが、我々の生活からそこまで離れたところにあるわけでもなく、完全な真っ暗闇と言い切ることもできない、なんとも不思議な作品である。
この不思議な感覚を共有できるのが、個人的に日本で最も過小評価されていると思っている海外アーティスト、R.E.MのLosing my religionだ。
不穏な空気があるようで実はそんなにないと言うか、これから絶望的な展開が起こることを暗示するのではなく、この暗い気持ちを抱えながらただひたすらに人生は続いていくといった具合がなんとまあ人間失格のそれである。
ノルウェイの森✖️Good Vibrations
日本文学界の中で最も評価の難しい作家といえば、間違いなく村上春樹のはずだ。春樹作品はとにかく内容に掴みどころがなく、なぜここまで支持されているのかわからない人が沢山いると思う。このアーティストと関連させてみると少し輪郭がクッキリするかもしれない。
春樹が自らが青春時代を過ごした60sのロックを愛好していることは有名な話だ。作中でも度々ビートルズやレッドツェッペリンの名前が出てくる。しかしその中でも彼に絶大な影響を与えたと思われるのがビーチボーイズだ。
特に彼らが66年に出した世紀の名盤、ペットサウンズの影響は彼のクリエイターとしてのアイデンティティに甚大な影響を及ぼしているはずだ。(と言うかそういう本を出している)この頃のビーチボーイズと、”ねじまき〜”より前の春樹は見ている世界がかなり近いと個人的に感じる。
”神のみぞ知る”もいいのだが、あれはアルバム全体を通して聴くものなので、今回は僕がマイベストにもあげるGood Vibrationsを聴いてください。
以上です。他にもこの小説とこの曲めちゃくちゃ合うっていうのあったら是非コメント欄で教えてください!