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就職氷河期世代と政治。

 自民党の総裁選挙が始まっていますが、私は自民党員ではないので投票できません。というかそもそもどこか一つの党の党員になるつもりはありません。政治的には中立でないといけないと常々思っているので。
 しかしこれで実質上日本の総理大臣が決まるわけで。そこにどれだけ国民の意思が反映されているのかというのは疑問の残るところではあります。一応国会議員の皆さんは国民の選挙で選ばれたという体にはなっていますが、実際は個々人の自由意思で投票が行われているというわけでもなく、色々と見えない力関係が働いているのは周知のとおりです。というか本当に心から投票したいと思うような政治家なんて日本に一人もいないというのが現状です。今まで何度も書いていますが、最近はそうでもないのかもしれませんが、一度レールから外れると二度と戻れない日本の社会において、一度レールから外れて選挙に立候補しようというリスクをとる人はそうはいません。そう考えると、なぜ霞が関の官僚を経験したような人が多く選挙に立候補しているのかが理解できないのですが、多分そういう人たちは、仮に選挙に落選したとしても、大学教授だったり外郭団体だったりに天下りできるから大丈夫というのもあるのかもしれません。そうやって大学教授になったところで、もともと大学院まで研究に専念してきた人たちにとっては目の上のたんこぶなのかもしれませんが、一応社会人経験がある分、そういう人たちよりは優遇されるんでしょうね。こういうのは、普通のサラリーマンと比べてはいけませんね。
 そもそもなぜここまで自民党の総裁選が盛り上がっているかというと、現職の岸田さんが次の総裁選に出ないと宣言したからです。なぜ出ないかというと、自民党の裏金議員の問題で責任を取るためということです。つまり「政治とカネ」の問題ということです。ただ、政治とカネの問題というのは、田中角栄以来(もしかしたらもっと前から)50年以上議論の俎上に上がっている問題であって、そんな問題は、岸田さんが辞めたぐらいでは解決しないんです。というか、政治とカネの問題というのは、野党が自民党を攻撃する永遠のネタのようなもので、極論をいえば野党が存在する限り永遠に問題として存在し続けるものです。自分たちのことは棚に上げて自民党のことばかり攻撃する。こんなことだから内外の諸問題に対応できないんです。まぁ野党がいなくなったらそれはそれで問題なんですけど。
 今回の自民党の総裁選に立候補している人の中に、小泉進次郎氏がいます。言わずと知れた小泉純一郎元首相の息子さんです。お兄さんの孝太郎氏は俳優として活躍されていますが、弟の進次郎氏が地盤を継いでいます。我が家でも長男の私は父と同じ道を進まず、次男の弟が父と同じ職業に就いています。一緒です。小泉元首相は竹中平蔵氏とともに、新自由主義政策を推し進め、いわゆる就職氷河期世代を作ったとされています。私もその当事者の一人で、かれこれ15年以上正規の職についていません。しかしこれが本当に彼のせいだったのかは微妙なところです。私が当時正職員を辞めた理由は、プロフィール記事にも書きましたが、毎日朝8時半に出勤し、終電があるということで無理やり仕事を切り上げて帰り、月に1度は徹夜残業をし、休日に家にいると5分おきに電話が鳴って出勤を促された(もちろん拒否し続けた)挙句、やるべき仕事をしなかったということで事実上の解雇(表向きは自己都合退職)したためであり、当時の上司が別の人だったら、おそらく私はその仕事を続けていたと思われます。だから私が15年以上正規の職員についていないのは、竹中平蔵のせいでもあるとともに、当時の上司のせいです。その職場は今まで国の機関だったのですが、小泉元首相の政策のために独立行政法人になりました。そういうことで上っ面だけアップデートしようとして失敗したんでしょうね。今ならこんなことはとても許されないですけど、もう15年以上前の話なので…まぁそれでも許されないですけどね。
 その小泉進次郎氏が、自分が自民党総裁になったら解雇規制を進めるとか、年金は80歳になってからでもいいのではないかと発言して、就職氷河期世代を再び作る気か!ということで炎上しています。当の進次郎氏も就職氷河期世代の当事者なのですが、大学卒業後、コロンビア大学の大学院に入学(「『例外中の例外』と言われる『条件付き合格』」とWikipediaに書かれている。真偽は不明)して政治学を専攻し、卒業後父の私設秘書をしていたということで、一度も就職活動をしたことがないんですよね。彼に限った話ではないのですが、就職氷河期世代も40代を迎え、人によっては社会を動かす立場になってきています。進次郎氏もそうですが、最近話題の兵庫県の斎藤知事や、東京都知事候補者だった石丸伸二氏、その他実業界で活躍している人たち、彼らに共通することは、自分たちは就職氷河期世代を生き抜いてのし上がったのだから、のし上がれなかった人間は努力不足だとみなしている点ですよね。確かに自分では何も努力をしていないくせに、いつまでも時代のせいにして時の政治家とかに恨み言しか言わないのも問題だとは思いますが、自分が成功できたのも何も自分が努力したからだけではないということを忘れているんでしょうね。だから斎藤知事のようにパワハラをしても平気でいられるんでしょうね。
 あと年金の件については、80歳からしかもらえないのならば、どうせ自分はもらえないから返してほしいという意見も根強いのですが、年金は老齢年金だけではなく、遺族年金も障害年金もあるんですけどね。まぁ遺族年金は自分がもらえるわけではないし、そもそも配偶者も子供もいない(彼らはこれも自分が正当な賃金を得られなかったからだと主張していますが、今の時代、自分磨きをして異性から選ばれなかったら配偶者も子供もできないんですけどね)から受け取る人がいないし、まだ気持ちは分からなくはありません。ただ障害年金はいつもらうことになるか分かりません。そのためにも年金については適切な手続きをする必要があります。
 だからといって日本もアメリカのように国民が直接国のリーダーを選べるようにした方がいいかというと、アメリカの大統領選挙があの調子ですからね。片や現に訴追されていて、2回も狙撃されている前大統領のトランプ氏と、80歳を超えて再選を狙っていたバイデン氏ですからね。バイデン氏はさすがに撤退してハリス氏に代わったし、昨今のポリコレの流れでマイノリティの女性であるハリス氏に分があるように見えますが、彼女も「アメリカ版蓮舫」と言われているみたいだし…アメリカでも政治家のなり手不足は深刻、というか、アメリカでも政治家になろうという人はそれだけ特別な存在なんでしょうね。
 などということを勢いに任せて書いてしまいました。まぁ世の中にはいろんな人がいるので、最大公約数を求めようとするとこうなってしまうのは仕方ないことではあるのですが、国民の1人として無力感を感じずにはいられません。


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