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THE WORLD EP.FIN : WILL Official Trailerを見る。

2023年11月11日、ATEEZの2ndフルアルバム『THE WORLD EP.FIN : WILL』トレイラーが公開されました。

古い映画のようなモノクロ映像に、これまでの物語との繋がりを思わせる意味深なカット……ということで今回は、このトレイラーをじっくり見ていきたいと思います。

このストーリーがMVやDIARYで描かれるのならアルバム発売を待とうかとも思ったんですが、DIARYのオタクとしてはわくわくしすぎて待ちきれなかった……。こんがらがった頭の中を整理がてらnoteに起こしてみようと思います。結論を出す趣意はないので、眉に唾をたっぷりつけてお読みくださいませ。


▼DIARY本編はこちら

▼DIARYって何? という方はこちら



状況設定

初めに、このトレイラーの状況設定を考えてみましょう。まずは大きく2つの状況を想定します。

 ① 『OUTLAW』DIARYと同じ世界である。
 ② 『OUTLAW』DIARYと同じ世界ではない。


①『OUTLAW』DIARYと同じ世界である。

前回のカムバックでBOUNCYMVなどに登場したプレステージアカデミーと、今回のトレイラー冒頭にあるプレステージアカデミーは外観が異なっています。

プレステージアカデミー:
Z世界にある名門校。政府に所属し働く人間が育てられる。

THE WORLD EP.2 : OUTLAW Official Trailer
THE WORLD EP.FIN : WILL Official Trailer

前提として、ATEEZの世界観では似たような世界が無数にある可能性があります。(A世界とZ世界とHALAZIAのまとめパワポで整理してます)。また、『BOUNCY』MVと『OUTLAW』DIARYは今のところ直接的な繋がりはなく、世界が異なる可能性があります。

同じ世界に複数の校舎があったり、『BOUNCY』MVで破壊された校舎が建て直されたとすれば、トレイラーが『BOUNCY』の続きだと考えることも出来ます。しかし個人的に『BOUNCY』MVは仮想空間などの非現実的な世界の話だと思っているため、今回は「校舎が違う⇒世界が異なる」と定義したいと思います。(仮想空間については『OUTLAW』DIARY感想サイバーパンク解説で少し触れています)

では、トレイラーで描かれている世界はDIARYと同じ世界なのでしょうか。『OUTLAW』DIARY冒頭の情景描写を見てみましょう。

なめらかな表面をたたえる壁が、さながら宇宙船のような姿を誇示するここは、プレステージアカデミーだ。曲線からなる建物たちが巨大な円を描いており、その中心には大きな運動場がある。空からその姿を眺めたときは、まるで要塞のようだった。部外者が簡単に入れないよう、かたく閉ざされた壁のように建物たちが建てられているからだ。
(매끄러운 표면을 자랑하는 벽이 흡사 우주선 같은 모습을 자랑하는 이곳은 프레스티지 아카데미다. 곡선으로 이루어진 건물들이 커다란 원을 그리고 있고 그 가운데엔 커다란 운동장이 있다. 하늘에서 그 모습을 바라보았을 땐 마치 요새와도 같았다. 외부인이 쉽게 들어올 수 없게 단단히 막아 둔 벽들처럼 건물들이 세워져 있으니.)

トレイラーを見てみると、校舎の周りに曲線的なビルがあり、円を描く道路が4つ連なっています。タワー部分を除けば宇宙要塞っぽいような気もします。

完全一致とは言えないですが、一応それっぽいと言える基準はクリアしているんじゃないでしょうか(ガバガバ判定)。これまでも映像との若干の矛盾はあったので、これもセーフとして、「トレイラーはDIARYと同じ世界の話である」とします。妄想は自由なので突き進みます。


②『OUTLAW』DIARYと同じ世界ではない。
一方気になるのが、全編モノクロ映像で描かれていることです。モノクロであることに意味を見出すと、別の視点が浮かび上がってくるのですが……この話は後にしたいと思います。


映像を見ると、DIARYに登場するキャラクターに見えなくもない人物が登場しています。というわけで、まずは「トレイラーは『OUTLAW』DIARYと同じ世界で、DIARYに続く物語である」という仮定を軸にして、映像を順番に読み解いていきます。


『OUTLAW』DIARYと同じ世界の場合

Deja Vu』MVさながらにカメラが急降下した先にあるのは、モニターや機械が並ぶ部屋。おそらく黒い海賊団の地下バンカーだと思われます。『Guerrilla』MVに出てきたものより、ワールドツアー『THE FELLOWSHIP : BREAK THE WALL』VCRに近い内装です。ウヨンとユノがモニターを見ています。

ミンギは停車した車の運転席で前を眺めています。

ジョンホはバーを訪れますが、なにやらしきりに周りを気にしている様子。手前にいる制帽を被った二人の人物がジョンホを見て、ジョンホが彼らの方を振り向くというカットが挿入されています。

手前の二人がジョンホを見ます。
ジョンホは座りながら後ろを振り向きます。
差し出された飲み物を取らないジョンホ

軍人のような出で立ちの客がいるこのバーが政府側の施設なのかレジスタンス側の施設なのか気になるところですが、軍と言えば政府を連想するのに対し、感情が統制されたディストピアにバーがあるのは不自然な気もします。実はZ世界の高官たちには感情があるとすればジョンホが政府のバーに潜入しているとも考えられますし、地下バンカー同様政府の管理が行き届かない施設の可能性もありますね。


ヨサンはフードを被った通行人達が行き交う道を歩いています。このモブ達は、『THE WORLD EP.1 : MOVEMENT Official Trailer 1』などに登場した水色のフードを被ったモブと同じ存在と考えられるでしょう。

政府の見張りとモブ

政府の見張りと思しき人がモブを前に静観していることから、水色フードモブは「感情を失った統制下の人々」であると読み取れます。ただ、ATEEZたちもフードを着用することで感情のないモブに変装しているため、フードを被っているだけでは感情があるかないかは判別できません。その意味では、フードは一般市民を表す記号的なアイテムであると言えます。

見張りが通り過ぎたのを見計らってフードを脱ぐホンジュン

続いて足元が映され、ヨサンが履いているものと似たような編み上げのブーツを履いた人物とすれ違ったところで、ヨサンは後ろを振り向きながら足を止めます。

すれちがう足元
振り向きながら立ち止まるヨサン

同じタイミングでその場にいた全員が立ち止まり、当惑した様子のヨサンが辺りを見回します。モブたちはヨサンをよそに全員同じ方向(斜め上)を向き、どこかへ歩いて行ってしまいます。残されたヨサンは、苦々しい表情で首をひねります。

同じ方向を向くモブと困惑するヨサン
そのまま歩いて行くモブ
残されたヨサン

まずは、止まったモブたちに何が起きたのかを考えてみましょう。モブたちが足を止めてから数回画面に揺れが生じているため、モブたちになんらかの不可視な働きかけが起こっていると読み取れます。

①モブたちに感情がある場合
ヨサンが変装なしで歩いているため、この道はレジスタンスが管理する場所であり、通行人たちも感情があると仮定してみます。その場合、感情を取り戻した人々が再び統制下に入ってしまったと読み取れます。

『MOVEMENT』DIARYでは、政府の使う〝統制リンク〟と黒い海賊団の使う〝ブラックリンク〟という、おそらく意識かなにかのネットワーク的な謎設定が飛び出しました。統制リンクの遮断は統制からの解放を意味することから、統制リンクには感情の統制をする役割があると想像できます。ブラックリンクが何のためにあるのかは不明ですが、名前的にも黒い海賊団の通信網と言ったところでしょうか。

統制リンク
・遮断機を統制チップにあてると統制リンクから抜け出すことができる。

ブラックリンク
・黒い海賊団が使っている。
・遮断機をチップにあてれば、統制チップをブラックリンクに繋ぐことが可能になる。
・人々が自ら意志を持つようになったとき、ブラックリンクに信号が行く。
・ブラックリンクに接続すると黒い海賊団バンカーの近隣地域が推測できる。

統制チップに遮断機を当てると統制リンクから抜け出すことができ、技術的にはそこから強制的にブラックリンクに接続することも可能なようです。とすれば、ブラックリンクから統制リンクに強制接続することも難しくないかもしれません。『OUTLAW』DIARYでは覚醒者(統制から抜け出した人)にはチップ交換で対応していたようなので、プレステージアカデミー襲撃事件で業を煮やしたZが大量洗脳する新技術を開発したのかもしれませんね。

ちなみにリンクの設定はKQも覚えているのか疑わしいほどに『OUTLAW』DIARYでは忽然と姿を消しましたが、私は気に入っているのでこれからも擦り続けます。

②モブたちに感情がない場合
変装なしで非覚醒者と歩ける場所がある、もしくはヨサンが政府の人間として潜入しているとすれば、ヨサンだけがフードを被っていないことを説明できます(にしてはスケスケ衣装で政府っぽくないけど…)。統制リンクは強制的に人の行動を操る力があるのかもしれません。ヨサンが苦々しい表情をしているのは、人々が行く先を知っているからでしょうか。それとも統制を前に何も出来ない自分を歯がゆく思っているのでしょうか。


場面は再びバーに戻り、ジョンホが見上げた先のモニターに監視カメラの映像が映し出されています。モニターの中では、一人の水色モブが黒いフードを被った二人組に往来で連行されていきます。

場面は変わって地下。ウヨンは何かに気づいたようにモニターに食いつきます。

ウヨンが見ているモニターにも、水色モブが往来で二人の黒フードによって連行される映像が。ウヨンはキョロキョロしている通行人の顔をピンチして確認します。

驚いたような表情をしたウヨンはユノを呼び、水色モブの顔を見せながら項垂れるように眉間を押さえます。通行人の水色モブ(Aとします)は連行されたモブ(Bとします)とは反対の方向へ歩き去り、二人はその進行方向を目で追います。

ユノに水色モブAを見せるウヨン
眉間を押さえるウヨン
二人は水色モブAの歩き去った方を見ます。

水色モブAは怯えたような仕草が垣間見えることから、感情を持っていると読み取れます。また、水色モブBと反対方向に歩いて行ったことからも、黒フードモブに捕まることを避けていると推察できます。ここで、水色モブAが誰かを考えてみましょう。

①少年の兄
まずは、連れ去られたのは『OUTLAW』DIARYでATEEZが救った少年の兄だと仮説を立ててみます。

『OUTLAW』DIARYの8章で、少年の兄はATEEZとともに学校を脱出し、少年はアンドロイドガーディアンにさらわれています。今度は兄が弟を助け出すために、ATEEZと行動をともにしていても不思議ではありません。水色モブAは、弟を探すためATEEZに黙って単独行動をしている少年の兄と考えられないでしょうか。ウヨンのいかにも「面倒なことになった」という表情も、少年の兄を黒フードモブに拉致される危険のある場所で見つけたからかもしれません。

アンドロイドガーディアン:
Z世界の超法規的な存在。政府が新技術で開発した。人間の脳に機械を組み合わせてできている。

②Be free少女(Z)
フードの中の顔がかわいらしい感じがするので、もしかしたらBe free少女(Z)かもしれません(知ってるキャラをとりあえず出す)。Be free少女(Z)は『OUTLAW』DIARYの最後でソンファとどこかへ消えて行方知れずなので、そのあいだに何かあったのかもですね。

Be free少女(Z):
A世界でソンファにBe freeのブレスレットを残して去った少女と同じ顔をしている少女。Z世界のプレステージアカデミーで学生団体・サンダーの団体長をしている。

③知らん人
新キャラです。知りません。


ウヨン達は水色モブAしか注視していませんが、スクリーンでは連行される水色モブBにもマーキングされているため、このマークは覚醒者(統制から抜け出した人)につく仕組みなのかもしれません。であれば、連れ去られている水色モブBも感情がある人と考えられます。

気になるのが、ジョンホとウヨンたちが似たような監視カメラの映像をみていることです。どちらもレジスタンスの施設ならそれでいいのですが、もしジョンホが政府高官のバーに潜入しているのなら、ウヨンたちはハッキングした映像を見ているのかもしれません。でも場所がプレステージアカデミーにかなり近いので、ウヨンとユノは政府の施設にいる可能性もあるかも……?


続いて連れ去られる水色モブのカットが入り、車中にいるミンギが映されます。

連れ去られる水色モブ
車中のミンギ

前を見ていたミンギはため息をつくように目を閉じると、何かを目で追い車のエンジンをかけるような動作をします。

目を閉じるミンギ

合間に連行される水色モブが挟まっているので、ミンギは連れ去られるモブを追っていると見るのが自然です。ミンギが何をしているのか、いくつか仮説を立ててみます。

 ① 水色モブB(監視カメラで連行されていた人)を監視していたが、捕まったので後を追った。
 ② 水色モブA(少年の兄かもしれない人)が捕まったので後を追った。
 ③ モブたちが連行される先を捜査している。

①②の場合は、ミンギの目を伏せる表情を「あー捕まった」的なことだと解釈できます。③も無理やり解釈するとしたら、敵の乱暴なやり方に呆れているとか……? 「やれやれ仕事だぜ」の可能性もありますね(ほんまか?)


さて、映像も終盤にさしかかり、場面はZの垂れ幕が降りる建物に移ります。黒フードモブが抵抗するモブを強制連行する先には、〝WARNING AREA08〟の看板が。

Zの垂れ幕。左下にZ-08の文字。
右にAREA08の看板

ここで、黒フードモブがどうやらZ側(政府側)であることがわかります。AREA08が何をする場所かはわかりませんが、警告が掲示されるほど立ち入りが危険な場所なようです。

そして、効率と論理を優先するZ世界にしては非効率的すぎるわちゃわちゃ大騒ぎな集団拉致事件(やめな)を険しい顔で見つめるのが、サンとソンファの二人組。

歩いてきて立ち止まっているので、今しがたここに到着したのかもしれません。ソンファは『OUTLAW』DIARYでBe free少女に誘拐されて行方知れずでしたが……まあ何かあったんでしょう。まずはソンファの帰還を祝福しましょう。

これまで連行される水色モブによってそれぞれのシーンを繋ぐ流れが作られているので、素直に読み取ればミンギとソンファ・サンのシーンに因果関係を見出すことができます。ミンギの追跡が功を奏して、サンとソンファがこの場所にいざ乗り込むところなのかもしれません。

もちろん、映像的に繋がっているだけでストーリーは繋がっていない可能性もありまくるのでなんともいえません。元からこの施設に潜入している可能性もあると思います。……いや、ここまで全部なんとも言えないものをむりくり付会してるんですけど……(笑)

付会ついでに、なぜ水色モブが集団拉致されているのか、この場所はなんなのかも検討してみましょう。

まず、連行されている人達はめちゃくちゃ抵抗しているので、感情がある人と仮定します。前段のヨサンの部分で、プレステージアカデミー襲撃事件で業を煮やしたZが大量洗脳する新技術を開発した説を唱えてみましたが、この集団拉致も、プレステージアカデミーの一件で取り締まりが強化された結果と考えることはできないでしょうか。

『OUTLAW』DIARYでは、レジスタンスはガーディアンズアイランドで廃棄処分されるのに対し、覚醒者(たぶん統制から脱しただけの状態を指す)はチップ交換の段階があることがわかりました。

ガーディアンズアイランド:
中央政府のシステムに反旗を翻した者たちと、人間の感情を刺激する芸術作品、楽器など様々なものを廃棄処理する場所。ヨサンはこの島の美術館に閉じ込められていた。

そんな感じで、大量洗脳とは別に、何らかの理由である条件を満たした人が連行されているのかもしれません。ヨサンのシーンが大量洗脳ではないなら話はもっと単純で、覚醒者がチップ交換の段階なしに連行されるようになったと見ることもできます。まあ、そもそもこれまでの取り締まりがどう行われていたのかわからないのでなんとも(略)

では、AREA08は何をする場所なのでしょうか。感情を持ち、レジスタンスに味方する人間が連行されているのだとしたら、その行き着く先はガーディアンズアイランドです。AREA08はガーディアンズアイランドへ出航するまでの隔離施設かもしれないし、廃人処理をする処理工場かもしれません。

さらに妄想をふくらませてみると、AREA08はアンドロイドガーディアンを製造する工場という見方もできるかもしれません。どうやらホンジュン教授の世界観特講によると、アンドロイドガーディアンは人間の脳に機械を組み合わせた存在らしいのですが……私はこの「アンドロイドガーディアンの材料どっから来た問題」を「廃人処理された人なんじゃない!?」とずっと擦っています。よし、プレステージアカデミーの次はアンドロイドガーディアン製造工場を襲撃だ! ……いや、でもやっぱりティズ達にそんな悲しい問題と向き合ってほしくないから、この線はナシで…………(????)

アンドロイドガーディアン


さあ、最後のシーンとなりました。

番号の振られたドアが並ぶ場所で、白い制服を着た人々が整列して歩いています。その真ん中を逆走するのは、ジャケットにネクタイを締めたホンジュン。その腕にはキャプテンマークがついています。

辺りを見回しながら歩いていたホンジュンは、何かに気づいて足を止めます。その視線の先には、14と書かれたドアの前に立つ人物が。

足を止めるホンジュン
14のドアの前に立つ人

この人物はKstyleの翻訳記事で少女と紹介されていたので少女とします(ちなみに韓国語の元記事では性別が指定されていませんでした)。少女の胸元にはプレステージアカデミーのシンボルらしきものがあり、この場所がプレステージアカデミーであることが想像できます。

ホンジュンは少女に手を差し出しますが、少女は一歩前に出て口の端を結び、ホンジュンの脇を通って去って行きます。

手を差し出すホンジュン
少女はホンジュンの方へ踏み出すが……。
歩き去る少女とホンジュン

そして、一人残されたホンジュンは不敵な笑みを浮かべ、映像が終わります。

…………怖いですね。(素直な感想)

単純に笑顔が怖いし、この状況もわけわかんなくて怖いです。まんじゅう怖いじゃないです。率直に怖いです。

とりあえず、まずこの少女が誰かを考えてみましょう。少女といえば、まず思い浮かぶのがBe free少女(Z)ことサンダー団体長です。

Be free少女(Z):
A世界でソンファにBe freeのブレスレットを残して去った少女と同じ顔をしている少女。Z世界のプレステージアカデミーで学生団体・サンダーの団体長をしている。

『OUTLAW』DIARYにて、「そして彼らの胸元には、紋章とともに〝THUNDER〟と刻まれていた。(그리고 그들의 가슴팍에는 문양과 함께 'THUNDER"라고 새겨져 있었다.)」とあるので、胸元にサンダーとあれば一発なんですが……ちょっとよくわかりませんね。

他にも、サンダー団体長は『OUTLAW』DIARYで「まさか感情を感じるのか?」「微笑んでいるようだ」と感情を感じている伏線がありました。そこで映像を見てみると、この少女も若干口角をあげて笑っているようにも見えるんですよね。立ち去る顔もすまし顔に見えるような気がします。整列した生徒と離れて一人立っているところも、一般生徒と違う権限を持つ団体長っぽく見えなくもないです。

向かって右の口角が上がっているような……。
スン……て顔。

次に気になるのが、ホンジュンはどの立場で手を差し伸べているのか、ということです。とりあえず、仮説を二つひり出してみます。

 ①  ホンジュンがプレステージアカデミーに潜入している。
 ②  ホンジュンが堂々とプレステージアカデミーに乗り込んでいる。

①の場合、ホンジュンは(キャプテンマークがバッチリついているのが気になるものの)フォーマルな格好をしているので、管理者として潜入しているとみるのが自然かなと思います。なんらかの目的で潜入したとして、サンダー団体長にホンジュンであることを見破られ、「やるじゃねぇか……(ニヤァ)」かもしれません。

②はキャプテンマークがついているので、ありのままのホンジュンとして考えてみました。その場合は団体長を探しにきたとかですかね。フラれたのに何わろてんねんて感じにはなりますが……。


正直DIARYの続きとして考えると、いずれにせよ「またプレステージアカデミー侵入してるの!?」って感じではあります。あんな大規模なテロを起こしたばっかりなのに、中央政府のセキュリティが本気で心配になります。また校長の首が飛んじゃうよ(物理)

なんだかこの世界が『OUTLAW』DIARYの続きであるかどうか疑わしくなってきたところで、続いては、「『OUTLAW』DIARYと同じ世界ではない」可能性について考えていきたいと思います。


『OUTLAW』DIARYと同じ世界ではない場合

ここからは、『WILL』トレイラーの世界が『OUTLAW』DIARYと同じ世界ではない場合、どんな世界の話なのかを考えていきます。

今回のトレイラーは、全編が古い映画のようなモノクロの映像で描かれています。もし「モノクロ映像であること」に意味があるとすれば、どんな物語が隠されているのでしょうか。

モノクロの映像はこれまでも何度かありましたが、中でも意味深な演出でモノクロ映像が挿入されていたのが、THE WORLDシリーズ1作目である『MOVEMENT』のトレイラー『THE WORLD EP.1 : MOVEMENT Official Trailer 2』、そしてタイトル曲『Guerrilla』MVです。

まずトレイラー2から見ていきましょう。カラー映像でATEEZたちの作戦の様子が描かれ、後半はモノクロ映像に変わります。

カラー映像では、『MOVEMENT』DIARYと同じくATEEZとレフトアイが黒い海賊団のバンカーで語らうシーンが挿入されています。セリフもDIARYと同じものです。

レフトアイ:
FEVERシリーズから登場している、ATEEZと黒い海賊団を助けてくれるおじいちゃん。

一方モノクロ映像に切り替わると、レフトアイのセリフはDIARYとは違う、トレイラー固有のものとなります。

当たり前になった統制に亀裂を作ること
すべてを反対に戻すこと
止まっていた機械の心臓を再び戻すこと
基準を立てて 隠されていた感情を取り戻して 人々を目覚めさせるんだ
この世の統制から抜け出して 再び動けるようにすること
それが、僕らがやっていることだ

公式YouTube字幕より

映像では作戦を遂行するATEEZたちが映されます。サンは政府側と思しき武装した人々に追いかけられており、今にも捕まりそうなところでシーンが切り替わります。

そして映像の終わり、大きな工場のような場所で一人立つホンジュンの後ろには、黒煙を上げ墜落していく飛行船が。

ものすごい大惨事です。こんなシーンはDIARYにはありません。

この飛行船が政府のものか黒い海賊団のものか気になるところですが、残念ながら今のところ判断のつく手がかりはありません。

作戦準備中に映る飛行船。あまりにも堂々としているので多分政府の物と思われます。(メタ的に見ればインスパイア元・映画『リベリオン』的にも)
『Guerrilla』MV中盤で登場するビラ撒き飛行船。右側にAマークがついています。おそらく元々政府のものを黒い海賊団が手に入れたと思われます。

また、カラー映像ではATEEZたちはストリックランド廃棄場にいましたが、モノクロの工場が同じくストリックランド廃棄場かはわかりません。カラー映像に比べて施設がちょっと古いような気もします。

ストリックランド廃棄場の文字

ストリックランド廃棄場:
ストリックランドにあるゴミ処理場。政府の実験による廃棄チップなどが手に入る。レフトアイはここの元管理人。

しかし、いずれにせよこんな大きな飛行船が墜落したら建物や多くの人々を巻き込む大事故が予想できます。それはATEEZや黒い海賊団の本懐ではないでしょう。作戦が成功したとはとても言えません。
(『BOUNCY』MVではプレステージアカデミー爆破してただろというツッコミが聞こえてくる気がしますが、そのへんの違和感も私があの世界を仮想空間だと思う理由の一つです)

そして、これらのモノクロ映像は『Guerrilla』MVにも登場しています。

モノクロ映像はMVの随所に挟まれていますが、いずれも走査線が入り、ブラウン管テレビの映像のような演出がされています。明らかにカラー映像と区別する意図が感じられます。

飛行船に向かって走るホンジュン
映像はテレビ画面の中に。

以上のことから、ここでは「カラー映像とモノクロ映像で世界が異なり、モノクロ映像はよくない方向に向かってしまった世界を示している」と仮説を立ててみます。

いきなりそんなこと言われても……となるかもしれませんが、一応、ATEEZの世界観にそんな概念があると読めなくもないヒントは存在しています。(たくさん世界ある説についてはこちら

そのヒントは、1stフルアルバムである『TREASURE EP.FIN : All To Action』に見ることができます。まずはアルバム概要を見てみましょう。

この旅路はなぜ始まったのだろうか? 不死の秘法を探し迷うギルガメッシュのように、必ず家族に帰ると誓う宇宙迷子になった飛行士のように、僕たちには心が示す場所があった。 息を切らして走ってきた今、まだ一寸先も分からない道だが、再び後ろを振り返る。 僕たちはなぜこの旅に出て、またどこへ向かっているのか。

(이 여정은 왜 시작된 걸까? 불사의 비법을 찾아 헤매는 길가메시처럼, 반드시 가족에게 돌아가겠다고 다짐하는 우주 미아가 된 비행사처럼, 우리에겐 마음이 가리키는 곳이 있었다. 숨 가쁘게 달려온 지금, 아직도 한 치 앞을 알 수 없는 길이지만 다시 뒤를 돌아본다. 우린 왜 이 길을 떠나왔으며, 또한 어디로 가고 있는가.)

恐怖とわくわくする震えを抱いて旅立った旅路は、思いもよらなかった人々に出会い、まるで夢のように感じられる経験をすることになるが、そのために旅の行路が微妙に変わり、そうしてこの旅に出ることになった理由が何なのか少し分からなくなってしまった。しかし、僕たちはぼんやりと感じている。 ずいぶん前に経験したこの旅路の記憶と波紋を思い出し、そうするうちにふと僕のそばにいる人が僕にとってどんな存在だったのか、自分がどんな人なのか、もう少しわかるだろうということを。

(두려움과 설레는 떨림을 안고 떠난 여정은 생각지도 못한 사람들을 만나고, 마치 꿈처럼 느껴지는 경험을 하게 되는데, 그로 인해 여정의 행로가 미묘하게 달라지고, 그래서 이 길을 떠나게 된 이유가 무엇인지 조금은 알 수 없게 되어 버렸지만, 우리는 어렴풋이 느끼고 있다. 한참의 세월이 지나, 오래전에 겪은 이 여정의 기억과 파장을 떠올리고, 그러다 문득 내 옆에 있는 사람이 나에게 어떤 존재였는지, 자신이 어떤 사람인지 조금 더 알게 될 것이라는 걸.)

正直何を言っているかよくわかりませんが、どうやら迷走しているようです。この迷走は、他にも収録曲『Dazzling Light』や『霧』でも見ることができます。

暗闇の中でたどり着いたこの場所
何もないんだ
僕の夢の中で輝いていたあの場所
僕たちはどこにいるのだろうか

(어둠 속에 도착한 이곳 그 무엇도 없는 걸
내 꿈속에 빛나던 그곳 우린 어디에 있나)

Dazzling Light

Dazzling Light
到着した約束の地で向き合った自分が姿が今の自分なのか、それともまた違った自分なのかというミステリーを含んだFuture R&B曲だ。

(도착한 약속의 땅에서 마주한 나의 모습이 지금의 나인지 아니면 또 다른 나인지에 대한 미스터리를 담은 Future R&B 곡이다.)

もしも 他の道だったなら
もしかしたら 僕は怖がらずにいられただろうか

(만약에 만약에 만약에 다른 길이었다면
어쩌면 어쩌면 어쩌면 난 두렵지 않을 수 있었을까)


自分たちが選択したこの道が正しい道なのか、うまくいっているのかを、苦悩し襲われた不安に比喩したR&Bジャンルの曲だ。

(우리가 선택한 이 길이 맞는 길 인지, 잘 가고 있는지를 고뇌하며 휩싸인 불안한 마음을 안개에 비유한 R&B 장르의 곡이다.)

※ ここでは2曲とも世界観に絡めて紹介しましたが、壁にぶつかったATEEZとATINYが共に歩んでいく曲としても受け取ることができる曲だと思います。実際、世界観でもATEEZが見つけた宝(星、光)としてATINYが組み込まれているメタフィクション的な側面もあるようです。あと『Dazzling Light』はちょっとATEEZとハラティズっぽいですね。


よくない方向に向かってそうなのはこれだけではありません。『TREASURE EP.FIN : All To Action』といえば忘れてはいけないのがタイトル曲WONDERLAND


不思議世界にいるATEEZと黒い軍服を着たATEEZが登場するこのMV。詳細はわかりませんが、物々しい雰囲気、そして「終わりが待つ始まりへと(끝이 기다리는 시작으로)」という歌詞からも不穏な空気が感じられます。

そして『Answer』活動期のVCRでは、この『WONDERLAND』がハラティズの物語であることが示唆されていました。

向かい合う白いATEEZとハラティズ。白ユノが鏡を持ち、“Are you evil?”という問いかけのあと、鏡には『HALAHALA』と『WONDERLAND』が映ります。

しかし、ハラティズといえばアナキズム(無政府主義)のシンボルでもあるAマークを掲げ、全体主義的な政府の統制に反抗するレジスタンス・黒い海賊団です。そんな彼らが権力を連想する軍装をしているのはいささか違和感があるような気もします。もしかしたら、『WONDERLAND』は『Guerrilla』のモノクロ映像と同じく、よくない方向に向かってしまった世界なのかもしれません。


話を『WILL』トレイラーに戻します。トレイラーは、ヨサン、ウヨン、ミンギを始めとして、何かに失敗したようなネガティブな表情が印象的でした。

苦々しい表情のヨサン

『WILL』トレイラーのATEEZたちは、作戦の進行が芳しくないのかもしれません。そして、このトレイラーは全編モノクロ映像で描かれています。

ということはつまり、『Guerrilla』のモノクロ映像と照らし合わせて、「モノクロ映像である『WILL』トレイラーは、よくない方向に向かった世界を描いている」と類推することができるのです。

ちなみにこのnoteを書いているあいだ、「ATEEZの作戦は失敗したのか?(ATEEZ의 작전은 실패했는가?)」という文言と共にモノクロのATEEZが並んでいる動画がアップロードされました。

映像の終わりではホンジュンだけがカラーになり、「失敗」の文字にバツが描かれます。やはりカラーとモノクロ成功と失敗を表しているような気がしてなりません。


最後に、少し踏み込んだ妄想の話をします。マジで本当に思いつきの妄想なので真に受けないで下さい。

前段でトレイラーをDIARYになぞらえてあれこれ想像していましたが、彼らがどこにいるか考えると、「政府側に潜入している」とも見える人が多すぎるんですよね。なんなら全員政府側に潜入していると見ることもできます。

気になるのが、ジョンホがいたバーの軍人っぽい人たち。

手前の二人です。

ディストピアSFを繰り広げるDIARY公開以降(FEVER以降)のATEEZ世界観において、制帽を被るようなカッチリした軍服は異質な存在です。でもそれ以前にはあるんですよね。そう、またまた登場『WONDERLAND』です。

『WONDERLAND』のハラティズたちは、ちょうど制帽が似合うようなカッチリ軍服を着ていました。そして、『WILL』トレイラーではATEEZたちがなんかめっちゃ政府に潜入しているっぽい……。こうなると、モノクロ映像が古いフィルムのような演出なのも気になってきます。もしかして、『WILL』トレイラーは『WONDERLAND』と同じ世界で、前日譚だったり……??? ハラティズが政府に潜入してそのまま内部に入り込んでしまったとか…………。なんか今回アリス繋がりだったりフルアルバム繋がりだったりで何かとワンダラの名前聞くし……ハラティズ過去編がついに来てしまった……???

ハラティズが政府に入り込んでいると考えると、なんだか政府っぽい人たちが砂時計のワッペンをつけているのも怖い意味があるような気がしてしまいますが……それは考えないようにしておきましょう。

赤い砂時計のようなワッペンをつけている政府っぽい人

……とまあ、こんな妄想はハラティズのスピンオフを願うオタクの戯れ言なので気にしないで下さい。今書きながら自分でも「何を言っているんだ?」と思っています。

そもそも私はハラティズとATEEZの関係について、「なんか最終的に同化するっぽい」ことしか把握していないので、「ハラティズの過去」が何を意味するかはちょっとよくわかりません。もし『Guerrilla』MVのモノクロ映像もハラティズなら、ヨサンがバイオリンを弾いているので生い立ちがフィバティズ(A世界のATEEZ)と似ている可能性もありますね。同じ存在かもしれません。はい、今も自分が何を言っているかわかりません。いつかわかる日がくることを願って、まとめに入りたいと思います(?)


あらすじにまとめてみる

というわけでまとめとして、うだうだ考えた仮説を無理矢理繋げていくつかあらすじを考えてみます。もはやただの妄想文なので、再三再四になりますが「この映像からそんな話も創作できる」くらいに思って下さい。

①『OUTLAW』DIARYと同じ世界である。【少年の兄編】
プレステージアカデミー潜入作戦以後、Zの統制はさらに厳格なものとなった。一度感情を取り戻したものも新技術で再度統制され、市民に紛れ込んでいたレジスタンスも次々と連行された。そんな中、少年の兄はガーディアンにさらわれた弟を助けるため、一人危険な町へと繰り出し政府に捕まってしまう。サンとソンファは少年の兄を助けるべく、敵の拠点〝AREA08〟に乗り込む。一方プレステージアカデミーに潜入していたホンジュンは、サンダー団体長の少女に正体を見破られてしまう。

②『OUTLAW』DIARYと同じ世界である。【強制連行の謎編】
プレステージアカデミー作戦の後、人々が政府に強制連行されはじめる。その謎を探るべく、それぞれの場所で任務についていたATEEZ。そして突きとめた場所、〝AREA08〟にサンとソンファが乗り込むが――。

③『OUTLAW』DIARYと同じ世界ではない。【失敗世界編】
政府の統制に抗うべく、それぞれの場所で任務についていたATEEZ。しかし作戦は思うように進行せず、難航する。

④『OUTLAW』DIARYと同じ世界ではない。【ハラティズ過去編】
『WONDERLAND』へと続く物語。政府に潜入して各々の任務についていたハラティズたち。そしてハラティズは更に政府の深部へと身を落とすことになり――。

こんな感じですかね! みなさんもぜひオリジナルのあらすじを考えてみて下さい!!!


おわりに

1分45秒の映像を見るのに1万字かかりました。今回も長い文章を最後まで読んで下さりありがとうございます泣

「(先の展開)予想とかしませ~ん」と余裕をこいていた初めの感想記事からまんまとKQの手中にハマり、すっかり先の展開が気になりすぎて待ちきれない人になってしまいました。元々KPOPのMV考察などとは無縁の人間なので、こんな角度でアイドルを楽しむのは初めてでとっても新鮮です。

ハラティズの謎とか世界の謎とかこの記事を書くにあたっても関係することなのでちょっと調べてみましたが、やっぱ全然わかんないですね。推理コンテンツ大好きKQのことなのでヒントは隠されているとは思うんですが……過去のコンテンツとかどこからどんな風に手をつけていいかわからずお手上げ状態です。ロジックで解けるようになっているかもわからない。でもわからないなりにもハラティズが何者か整理してみる記事もいつか書きたいとは思っています。

今はKQからの課題図書こと『宇宙の目(EYE IN THE SKY)』を読んでいます。加速器が暴走して8人の登場人物の精神世界に飛ばされる話らしいんですが、量子エネルギーとやらで不思議な出来事が起こる世界が出てきて、8人の主人公がいて、そして「次元がふたたび8つに割ける話」であるらしいATEEZ世界観と根幹で関わっている気がしてなりません! でもATEEZ世界観は引用をモリモリ多用しつつもDIARYをはじめ独自の物語を突っ走っているところも魅力だと思っているので、『宇宙の目』で世界観が説明できてしまったらそれはそれでさみしいですね。今回もATEEZ作品同士のアナロジーで読み解くのとても楽しかったです。なにはともあれまずは読んでみなきゃですが!

本日はウサギのMitoちゃんからお便りがきたりして、一層カムバが近づいている実感が湧いてくる今日この頃です! カムバ楽しみ! ではまた!