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20241123

はとバス のろーね!

坊やの口ぐせ

初秋ごろからだったかな
きっかけは憶えていないけれど、いつしか、毎日のようにそう呼びかけられるようになった

東京に長く住んでいると案外乗る機会はないけれど、都心に出向けばわりとよく遭遇する黄色い観光バス
常連でもないのに不思議と馴染みがあり親近感がわく、そんな存在だった

首都圏近郊を目的地とした日帰りツアーの印象が強かったけれど、幌を全開にした2階建てオープンバスで東京の名所をめぐる1時間ほどのショートトリップもあると知ったのはつい最近のこと
これならば、坊やの希望を叶えてやることができる
そう思い至り、満を持して予約したのだった

ちょっと早めの9:30発の便に乗り込み、いざ出発!
東京駅の南口から皇居を目指し、国会議事堂、霞ヶ関の官庁街、東京タワー、湾岸線を経由してレインボーブリッジ、お台場の脇を抜けて有明、豊洲、勝どき、築地から銀座を経て日比谷に戻り、ふたたび東京駅へと戻ってくる

ガイドさんの豆知識がまた興味深く、勉強になった
いちょうの樹々が見事に紅葉していて、うつくしい光景をみせてもらったなぁ


このコースは、高校時代を思い出さずにはいられなかった
東京タワーのふもとにある高校に通っていた
教室の窓から、通学路から、大きくそびえる赤い塔がわたしたちのことを見守ってくれていた
そんな安心感を覚えていたのは、わたしだけではないはず

女子バスケットボール部に所属していたときには、筋トレの一環でよく校外の至る所を走り込んでいた
日によっては東京タワーへと向かう坂を全力でダッシュして駆け上るというメニューもあったし、冬休みなど長期休暇にもなると桜田通りを進んで桜田門から皇居の敷地内に入り、お濠のまわりを走って高校まで戻ったこともある
当時は”皇居ラン”ということばさえ存在しなかったから、数年後にブームになったときにはほんとうに驚いた

土地勘のないひとたちにとっては想像し難い話かもしれないけれど、このあたりはいわば庭のようなところだったのだ
人生で最も、都心で過ごしていた時間のひとつに違いない
(余談だが、新卒当初には銀座の百貨店内のテナントに1年ほど配属されていたこともあるので、これと匹敵する経験だと思っている)

わたしにとって欠かすことのできない3年間だったなぁ


とまぁ、思い出話はこのへんまでにして
肝心の2階建てバスの旅で坊やがどんなふるまいをしていたかというと…

席につくなり出発が待ちきれずソワソワしている
天を見上げれば聳え立つビル群のすきまから青空がのぞき、そのなかを泳ぐように進む雲が目に留まった
「ほら、お空がきれいだよー!」と声をかけてみると、それに応じて視線が上向く

くも うごくのはやいねー

坊やのつぶやき

冬の入り口ならではのひかりのシャープさときよらかをはらみ、まだ街が動き出す前の休日の朝らしい独特の静けさもわずかに残っていて、ほんとうにうつくしかった
ほんのつかの間のひととき、いっしょに空を見上げられたこと
ささやかだけど、とってもしあわせだったなぁ

いざ動き出せば窓にかぶりつきで、外の景色(主に往来するくるまたち)を眺めては歓声をあげていた
はとバスはじめあらゆる観光バスに反応し、パトカーがいれば指差し確認、だいすきなごみ収集車を見つければ声をあげて報告してくれていた

最初こそ興奮そのものだったけれど、さすがに2歳さんに1時間ずっとじっとしてましょうは難しかったようで、じきに飽きてしまい、シートベルトで遊び出したり、しまいには前の座席にもぐりこんでしまったり、結構なカオスだった

そんなマイペースさんも彼なりにとってもたのしんでいたようで、停車して降車の案内がある頃には、あまりの名残惜しさに泣きじゃくってしまった
同乗されたみなさんもとっても寛容で、そんな坊やを微笑ましく見届けてくれていた
今回もまた、みなさんの広い心に救われたなぁ
いつもながらひやっとすることは多々あったけれど、オープンバスゆえに青空や雲と隔たりがなかったからか開放的な心地になれたのかな
振り返れば、いつもよりヤキモキが少なかったように感じられた

寒さが厳しくなる前に体験できてよかったね
またあたたかくなったら、乗ってみたいな



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tinytacco
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