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20240703

森に行けば季節がわかる
ひと足お先に、季節がやってくるからだ

セミの声をきいたのは、たしか先週のこと
今朝はその声が迎え入れてくれた
やっぱり、幻じゃなかったんだ
梅雨のさなか、先だって夏が到来しているらしい

坊やが昇った遊具のうえに、カブトムシがいた
動きはないものの、なかなかのインパクト
はじめて間近にみた子はめずらしく警戒し、柄にもなくか細い声で『こわいー』と不安げな表情を浮かべる

カブトムシの名を聞きつけたらしいご婦人が、声をかけてくれた
おそらく小学生くらいかな、彼女の息子さんに呼びかけると、そばで遊んでいた少年はすかさず駆けつけてくれた

手を伸ばし、腕に乗せる
そろりそろりと動きをみせたカブトムシは、都会育ちのわたしからみると立派にみえる

坊やもおそるおそる覗きこんでいた
こわい反面、気にはなってるみたい

お兄ちゃんはするするっと遊具から降りて、近くの木の幹へと戻してやった
坊やもあとに続いて、木のほうへと向かう

カブトムシの存在はおとなにも看過できぬようで、ウォーキングをしていた方々も足を止めてしげしげと覗きこんでいた
そのうちのお一方が言うことによると、『まだまだちっちゃいね 生まれたばかりなのかな』だそう
そうか、こんな立派な姿でも、まだひよっこなんだね

じき少年のお友だちがやってきて、虫取りあみでとっては自分たちに携えていっしょに遊んでいた

先のお母さんいわく、お兄ちゃんも最初はこわがってさわれなかったらしい
そうかそうか、経験とともに徐々に距離が近づいていくものなんだね

きょうは一時預かりの日
彼らにありがとうとお礼を伝え、バイバイとお別れした
朝から夏らしく、いいふれあいだったなぁ

いざお預けし、母からわたしの時間へ

敬愛する方の著書が出版となり、手元にやってきてくれた
喫茶店に向かい、ひとり開封の儀を取り為す

ヤレ紙で丁寧に包まれたものを、薄皮をはがすようにそうっと外す
なかから出てきたのは、うつくしい造本だった

ふうっとひと息ついて、ページをひらく
ことばを依代にして、豊かな感性がのびやかにあらわれる
こんなにも彩り鮮やかな文章があるだろうか
みずみずしさに触れた読み手まで、感化され清められていく

じっくりゆっくり、読み進めていこうっと

本を閉じて、次なる行き先へ
友人の間借り営業におじゃまして、ランチとデザートをいただく

いろんな話をしながら、順々にこしらえてくれる
その所作のうつくしさ、出来上がったものの完成度に、その都度うなってしまう

彼女のつくるものって、どうしてこんなにおいしいんだろう
素材とよく対話して、そのよさを存分に引き出してやる手腕は右に出る者なしだ
手の込んだ、しかも旬の絶品をいただけるよろこびたるや
ましてや、ひとりでゆったりと食事することができるなんて
そんな贅沢をたっぷり味わう真夏日の昼下がり
存分に満喫し、ごちそうさまとあとにする

そのあとは、おなじ街に構える別の友人夫妻のお店へ
酸味を欲しがる身体に、清涼感のあるドリンクを与える
みるみるうちにすうっとして、うえに上ってきていた気が静まっていくのを感じる

久しぶりにゆっくり話す機会がめぐってきた
“いま”感じていることを、感じたままに話せるってなんて心地いいんだろう
いい時間を過ごした

代わる代わる友人たちもやってきて、つかの間おしゃべりできたのもうれしい偶然だ
ここに来れば、誰かしら、会いたいひとにも会えてしまうのだ
つくづく磁力のはたらく、吸引力のある場所だ

こうしたひとときがあるから、わたしがわたしでいられる
当たり前のことを当たり前に感じられること、それがわたしなりに必要なチューニングなのだなぁ

さぁ、すこしはやめに戻り、お迎えまですぐ近くでひと勉強しようっと
1日のうち、いくつかやりたいことができると、その日の満足度が増し増しになるね

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tinytacco
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