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20240709

砂のお山をつくった

バケツいっぱいに詰めて、それをひっくりかえして嵩ませてみたり
ここの砂はさらさらしているから崩れやすくって、スコップだけではまとまらない

いよいよ意を決して、両手をつかってととのえていった
およそ30余年ぶりのこと

海岸の砂や泥に足を埋めていく心地よさは鮮明に記憶されているのに、手のひらで砂の稜線を固めていく感覚はだいぶ遠く彼方に追いやられてしまっていたらしい
なつかしい、とも、新鮮だ、とも思わず、ただただその感触を知覚していた

”子どものままおとなになってしまった”という自己認識があるため、「”童心にかえる”必要などない、いまだ”童(わらべ)”であるのだから」と思っていた節がある
それゆえ、先のような感覚と認識との間にある隔たりを目の当たりにし、ちょっと驚きを隠せなかった
自分が思ったよりもずっとずっと、わたしはおとなになってしまっていたのだと悟った

おとなになることは決して悪いことではない
けれど、衒いもなく天真爛漫であれたらいいなと心得てきた
少なくとも、心がけと行動は一致させていれば、そうあれるだろうと思っていた

童心を取り戻すには、どうやらそれ相応のリハビリが要りそうだな
奥底で深く深く眠りについていたのだから、そう簡単には起き出さないだろう
目覚めの兆しを得て、薄皮をはがすようにゆっくりゆっくりと顕になってくるのだろうか
主観を持ちながら、俯瞰で客観視しつつ、じっくりと観察していきたい

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